人間尊重、人材育成、多様性の推進

方針

全ての企業活動で人権を尊重し、人材の育成と多様性を推し進めます。

課題の認識

信越化学グループは、人権を全ての企業活動の礎として尊重しています。
世界的に人権に対する関心が高まる中、この方針を遵守し、当社グループと全てのステークホルダーの人権尊重に取り組んでいます。さらに、人材の育成と多様性の推進が事業を成長させ会社を永続的に発展させていくために必要不可欠と考えています。

人権の尊重

信越化学グループは世界人権宣言を支持するとともに、国際労働機関(ILO)による中核的労働基準にのっとり、基本的人権を尊重しています。全世界の事業所で人権を常に尊重することを礎として事業に取り組み、その方針を2019年5月に「人権方針」としてとりまとめ、当社グループ内で徹底するとともに、社外に発信しました。
また、人権方針の遵守状況を確認するために、毎年、連結会社に対して人権尊重に関する項目*1や労務管理、雇用が各国や地域の法令に従って適正に実施されているかを調査しています。さらに、工場の新設時には、人権に関する地域への影響を考慮しています。

*1人権尊重に関する項目
強制労働および児童労働の禁止、適正な労働時間、適正な賃金、書面による適正な雇用契約、非人道的な扱いの禁止、差別の禁止、結社の自由や団体交渉権の尊重

信越化学グループ人権方針

信越化学グループ人権方針

信越化学グループ(以下、当社グループ)は、「遵法に徹して公正に企業活動を行い、素材と技術によって他の追随できない価値を社会と産業のために生み出す」を企業規範として事業に取り組んでいます。その礎となるのが人権の尊重です。当社グループは全ての人々の人権を尊重します。全世界の当社グループ会社が人権尊重を永続的に実現していくために、国際的な行動規範を遵守し、人権尊重のために下記に掲げる活動を力強く推進してまいります。

人権の尊重

  1. 1.差別の禁止
    私たちは、いかなる場合においても、国籍、人種、民族、性別、宗教、思想・信条、年齢、社会的身分、障がいの有無、性的指向、性自認、組合加入、傷病、婚姻の有無、政治的見解などの事由による一切の差別を行いません。
  2. 2.尊厳を傷つける行為の禁止
    私たちは、いかなる場合においても、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメントなど、人間の尊厳を傷つける行為を行いません。
  3. 3.プライバシーの保護
    私たちは、個人のプライバシーを保護し、個人情報については各国の関連法規に則り、適正に取り扱います。
  4. 4.労働基本権の尊重
    私たちは、労働者の団結権、団体交渉権などの労働者に与えられた権利を尊重し、労使間の対話を通じて信頼と良好な協力関係を構築し、維持向上に努めます。
  5. 5.児童労働・強制労働の禁止
    私たちは、あらゆる国、地域における事業活動において、その国の法令で定める就業年齢に達しない児童労働並びに強制労働をさせません。
  • *国際的な行動規範
    世界人権宣言、ILO国際労働基準、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、国連グローバル・コンパクト「グローバル・コンパクトの10原則」などを指す。

人権尊重のための活動

  1. 1.人権啓発
    当社グループは、各事業所、各会社において人事を担当する部門の責任者が、従業員への人権に関する啓発などの活動を通じて、人権に対する正しい理解と人権尊重の意識の浸透を図ります。
  2. 2.人材育成
    当社グループは、多様な人材が能力を十分発揮できる環境を整え、全ての従業員に対してその適性に応じた能力の開発、活用の機会を公平に与えていきます。
  3. 3.職場環境
    当社グループは、健全で働きやすい職場づくりと安全の確保に努めます。
  4. 4.人権侵害の防止
    当社グループは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に従って人権デュー・デリジェンスを実施し、事業活動を進める上で人権侵害が発生することがないように努めます。
  5. 5.問題発生時の対応
    当社グループは、事業活動において人権侵害への懸念が生じた場合には、適切な対策を速やかに実施し解決します。
  6. 6.人権尊重の推進
    当社グループは、当社グループに関わる全ての人々に人権に関する国際規範の遵守を働きかけます。
  • *人権デュー・デリジェンス
    自社の人権方針に基づいて、人権リスクの特定・評価、防止・是正措置、追跡・モニタリング、情報開示を繰り返すこと。

2019年5月21日制定

人権デューデリジェンスの取り組み

人権推進体制

当社グループは、サステナビリティ委員会内に設置した⼈権デューデリジェンス分科会と人権啓発推進委員会が中⼼となり、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて⼈権デューデリジェンス全般を進めています。分科会では人権方針の策定や当社グループの人権リスク調査の実施、人権リスクの優先課題の特定、⼈権に関する相談や通報への対応の仕組みの構築、整備などを関係部署と協力して行っています。
なお、当社グループは、東京⼈権啓発企業連絡会および⼤阪同和・⼈権問題企業連絡会に加盟しています。連絡会の事業や⾏政の運動団体が開催する研修会から⼈権に関する世界の流れや最新情報を⼊⼿し、当社グループの⼈権推進に⽣かしています。

⼈権リスク調査の実施

当社グループのバリューチェーンにおける人権リスクを把握するために、2019年12月から国内外グループ会社を対象に人権リスク調査を実施しました。その結果、当社の人権方針に抵触するような重大な人権侵害は発生していないことが確認できました。当社グループは引き続き、人権の尊重を礎に企業活動を行っていきます。

⼈権リスク優先課題の特定

当社グループで想定される人権リスクに基づいて、2021年に人権課題の優先度を「潜在的な人権への影響の深刻度」と「人権リスクと当社の関係性」の2軸から評価しました。その結果、当社グループにおいては安全衛生と労働時間に関係する項目の潜在リスクが高いと特定しました。また、人権リスク調査の回答内容の分析では、約4割のグループ会社がサプライチェーンでの人権管理が重要であると回答し、サプライチェーン全体を通して人権尊重の取り組みを推進していく必要があることを再認識しました。評価結果については、社外取締役、社外監査役に報告し、いただいたご指摘内容と合わせて当社グループの人権優先課題としてグループ内に周知しました。今後段階を追って、優先課題への対応を行っていきます。

信越化学グループ 人権の優先課題

2022年度の取り組み
労働時間:
信越化学グループは、パソコンのログなどに基づいて正確な勤務時間を把握する仕組みの導入に積極的に取り組んでいます。また、フレックスタイム制や在宅勤務の運用など、柔軟かつ生産性の高い働き方を可能にする制度と環境整備を進めています。

安全衛生:
「信越化学グループ環境保安管理計画」を策定し、労働安全に関する具体的な数値目標を設定して取り組んでいます。

働く人の安全の確保と健康の促進に関する課題、実施状況、評価、実施予定項目

サプライチェーンマネジメント:
2022年から段階的に、当社グループの主要なお取引先に「信越化学グループ人権方針」、「調達基本方針」、「CSR調達ガイドライン」を配布し、人権の尊重を含むサステナビリティ活動に関する当社グループの方針を周知しました。また、人権を含めたサステナビリティの取り組みに関する調査票への回答にもご協力をいただき、お取引先のサステナビリティの取り組み状況について確認しました。

人権啓発教育の実施

信越化学の人権啓発推進委員会が中心となり、人権の啓発、教育を進めています。委員会では役員および従業員を対象とした人権啓発研修の実施や社内報での人権Q&Aの連載、毎年12月の人権週間に合わせた人権啓発標語の募集を行っています。2022年度は、人権尊重に関する研修を40回実施し、988人の従業員が研修に参加しました。研修ではパワーハラスメント、セクシャルハラスメント、LGBTQなどについての基礎知識や対応策について説明し、従業員の人権に関する意識の向上に努めました。

ハラスメント研修(2022年5月 信濃電気製錬)

ハラスメント研修
(2022年5月 信濃電気製錬)

人権に関する相談、通報

当社グループでは、以下の3つの窓⼝で対応しています。相談者や通報者の秘密は守られ、相談や通報したことを理由として不利益な扱いを受けることはありません。

  • ・コンプライアンス相談室
    当社グループの役員、社員、顧問、嘱託、パート、アルバイト、派遣社員が、匿名でメールや電話で通報することができます。
  • ・ダイヤルShin-Etsu
    当社国内グループの社員、顧問、嘱託、パート、アルバイト、派遣社員が匿名で、電話で相談することができます。
  • ・サプライヤーホットライン
    当社グループのお取引先さまが、メールで通報することができます。