働く人の安全の確保と健康の促進

課題の認識

信越化学グループは安全を何よりも優先しています。同時に、安心して働くことが出来る職場環境を整えています。事故や災害のない操業は、働く人を守り、顧客への供給責任を果たすこと、そして、企業の永続的な発展につながると認識しています。また、近年、自然災害が多く発生しており、その対策も重要な課題として取り組んでいます。

主なリスクと機会

リスク

  • ・事故、環境問題が地域社会と従業員に与える影響。
  • ・台風、地震などの自然災害による設備への損害。
  • ・感染症の流行に伴う操業への影響。

機会

  • ・事故を未然に防ぐための対策と新しいプロセス開発が、安定生産と生産性の向上を可能にすること。
  • ・優秀な人材の採用と定着。
  • ・自然災害を想定した工場の設計とリスク対策による、操業継続、安全な操業停止と再稼働。
  • ・従業員の健康増進とワークライフバランスの実現。仕事へのやりがいと充実感の醸成。

信越化学グループのアプローチ

■ 方針

「事故を絶対に起こさない」、「休業災害ゼロ」を目標に、安全で快適な職場づくりに取り組みます。

基本的な取り組み

  • ・防災訓練や教育講座などを通じた従業員への安全教育の実施
  • ・環境保安監査の実施
  • ・職場環境の改善や健康の促進

活動ハイライト

管理項目 重点課題 2019年度の実施状況 評価 2020年度の実施予定項目
管理
システム
1.
安全衛生マネジメントシステムの継続的改善と実行
  • ・工場長および部門長がコミットメントを発信し、積極的に関与
  • ・安全衛生マネジメントシステムに基づく、適切なPDCAサイクル*1を実行
  • ・内部監査の充実による、実効ある安全活動の推進 (PDCAと安全活動の有効性、実効性を監査する)
  • ・社長、工場長および部門長の積極的な関与
  • ・安全衛生マネジメントシステムの適切なPDCAサイクルの展開と実効ある活動の推進
2.
環境保安監査の
質的向上
  • ・環境保安監査での指摘事項に対する的確なフォローアップの実施
  • ・工場地区内の関連会社の環境保安監査の質的向上
  • ・海外製造拠点へ、指導や監査による積極的な関与
  • ・工場地区内の関連会社の環境保安監査の質的向上(継続)
  • ・マザー工場として海外製造拠点への指導や監査による積極的な関与(継続)
3.
変更管理の整備と遵守徹底
  • ・工場の変更管理の運用状況の確認と遵守徹底
  • ・4M*2変更時のリスクアセスメント(危険性評価)を実施
  • ・工場の変更管理に関する規程、基準類の整備
  • ・工場の変更管理の運用状況の確認と遵守徹底(継続)
保安防災 1.
重大事故件数ゼロ
  • ・重大事故件数ゼロを達成
  • ・重大事故件数ゼロ
2.
設備やプロセスの安全性の向上
  • ・計画的なプロセスリスクアセスメントの実施
  • ・非定常作業・非定常操業の安全対策や事故やトラブルの事例検討の実施
  • ・安全基盤情報の整備と活用
  • ・アラームやインターロックの適正な運用
  • ・プロセスリスクアセスメントの継続と内容の充実化
    (爆発火災、化学反応による事故が想定される設備や化学プラント限定)
  • ・非定常作業、非定常操業の安全対策や事故やトラブルの事例検討の実施(継続)
  • ・安全基盤情報の整備と活用(継続)
  • ・アラームやインターロックの適正な運用(継続)
3.
設備および保全管理の向上
  • ・設備トラブルや事故事例の情報収集、原因の解析、および再発防止の徹底
  • ・設備保全の維持向上(安全装置・安全システムの機能維持や管理方法の構築、老朽化した配管や設備の計画的な補修)
  • ・設備トラブルや事故事例の情報収集、原因の解析、および再発防止の徹底(継続)
  • ・設備保全の維持向上(継続)
4.
有事、緊急時の想定と対応
  • ・重大事故や大地震などの最悪の事態が発生した際の、被害想定と被害最小化の検討
  • ・緊急時対応基準・ マニュアルの整備
  • ・事業継続計画訓練の計画的な見直しと想定訓練の実施
  • ・重大事故や大地震、洪水が発生した時の被害想定と被害最小化の検討(継続)
  • ・トラブル、事故、災害を想定した緊急時対応マニュアルの整備(継続)
5.
工場の保安の強化
  • ・外部侵入者の防止対策の強化
  • ・工場来場者への、危険情報および事故災害発生時の避難方法などの通知
  • ・外部侵入者の防止対策の強化(継続)
  • ・工場来場者への、危険情報および事故災害発生時の避難方法等の通知(継続)
労働安全 1.
休業災害人数ゼロ
  • ・信越化学グループは8名
  • ・信越化学は0名
  • ・休業災害人数ゼロ
2.
不休以上の災害度数率0.5以下
  • ・信越化学グループは0.77
  • ・信越化学は0.49
  • ・不休以上の災害度数率0.5以下
3.
ヒューマンエラーの低減
  • ・ヒューマンエラーによる事故災害の未然防止
  • ・ヒューマンエラーによる事故災害の未然防止(継続)
4.
作業の安全性の向上
  • ・「ゼロ災」活動の推進(KY活動、指差し呼称、5S*3活動の実践)
  • ・ヒヤリハット提案および改善提案の活性化
  • ・グループ事故災害事例や他社事例の水平展開の実施
  • ・ルールやマニュアルを遵守する安全風土の醸成
  • ・安全のための諸活動の推進(KY活動、指差し呼称、5S活動の実践)(継続)
  • ・作業方法や作業環境の積極的な改善(継続)
  • ・グループや他社の事故災害事例や他社事例の検討と水平展開の実施(継続)
  • ・中高年齢者の事故災害の防止
  • ・設備機器などの危険個所、危険部位への接触などによる事故防止対策
  • ・危険または有害性のある作業の保護具、防護衣などの工場基準の見直し
5.
作業マニュアルの整備と遵守の確認
  • ・作業マニュアルの計画的な見直しと内容の充実
    (定常、非定常、緊急時対応など)
  • ・作業および操業マニュアルの遵守状況の確認
  • ・作業マニュアルの計画的な見直しと内容の充実(継続)
  • ・作業および操業マニュアルの遵守状況の確認(継続)
  • ・ルールやマニュアルを遵守する安全風土の醸成(継続)
6.
作業のリスクアセスメント
  • ・計画に基づく作業のリスクアセスメントの実施(中災防*4式、または手順HAZOP*5による)
    労働安全衛生法で定められているリスクアセスメントの実施
    自職場の危険な作業および非定常作業のリスクアセスメントの実施
  • ・計画に基づく作業のリスクアセスメントの実施(中災防式、または手順HAZOPによる)(継続)
    労働安全衛生法で規程しているリスクアセスメントの実施
    自職場の危険な作業、非定常作業を計画的にリスクアセスメントする
7.
工事および非定常作業の安全対策
  • ・明確な作業指示、作業手順の明確化、KYの実施
  • ・工事の着工許可、工事中の安全管理、引き渡し、終了確認などの実施事項の明確化と確実な履行
  • ・工事の施工業者への安全情報の提供、工場ルールの教育などの徹底
  • ・工事の着工許可、工事中の安全管理、引き渡し、終了確認などの実施事項の明確化と確実な履行(継続)
  • ・工事の施工業者への安全情報の文書での提供、工場ルールの教育などの徹底(継続)
  • ・非定常作業などにおける明確な作業指示、作業手順の明確化、KYの実施(継続)
8.
教育、訓練の推進
  • ・教育訓練の計画的な推進
  • ・資格取得の奨励
  • ・各種安全自主活動の表彰・賞金制度の積極的な導入
  • ・教育訓練の計画的推進(継続)
  • ・資格取得の奨励(継続)
  • ・各種安全自主活動の表彰・賞金制度の積極的導入(継続)
  • ・重要な安全スキル習得のための計画的トレーニングの実施
9.
業務委託の安全確保
  • ・製造元方としての業務委託先の安全管理への積極的な関与
  • ・十分な安全教育の実施
  • ・製造元方としての業務委託先の安全管理への積極的な関与(継続)
  • ・派遣社員や請負社員への計画的な安全教育の実施(継続)
労働衛生 1.
快適職場づくり
  • ・作業環境の測定の実施と結果に基づく作業環境の改善の推進
  • ・化学物質の取扱い教育と保護具着用の徹底、および保護具着用の遵守状況の確認の実施
  • ・労働安全衛生法に基づく適正な対応の実施
  • ・適切な報告、連絡、相談や、良好なコミュニケーションの推進
  • ・良好な作業環境の実現
  • ・適切で安全な作業環境の徹底
  • ・適切な健康管理の実施
  • ・適切な報告、連絡、相談や、良好なコミュニケーションの推進(継続)
2.
心身の健康増進
  • ・健康診断の結果の有効活用の具体的指導などの実施
  • ・法規制改正による追加の検査項目への適正な対応実施
  • ・心と体の健康体力作りのための具体的な活動の推進
  • ・健康診断結果の有効活用の具体的指導等の実施(継続)
  • ・労働安全衛生法などの改正による追加の検査項目への適正な対応実施(継続)
  • ・心と体の健康体力作りのための具体的な活動の推進(継続)
  1. *1 PDCAサイクル
    事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。 Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。
  2. *2 4M
    人(Man)、機械(Machine)、環境(Media)、管理(Management)。これら4つの意味である英語の頭文字「M」をとったもの。
  3. *3 5S活動
    整理、整頓、清掃、清潔、しつけを実践すること。5Sは、5項目のローマ字での頭文字がいずれも「S」となっていることに由来する。
  4. *4 中災防
    中央労働災害防止協会の略称。労働災害防止団体法に基づいて、昭和39年に労働大臣(現:厚生労働大臣)の認可により設立された公益目的の法人。事業主の自主的な労働災害防止活動の促進を通じて、安全衛生の向上を図り、労働災害を絶滅することを目的としている。
  5. *5 HAZOP
    Hazard and Operability Studyの略。化学プロセス産業における、標準的なプロセス危険解析手法。

※評価の目安
◎:目標を達成 ○:概ね目標通りに活動 △:目標の半分程度を達成 ×:目標未達