人間尊重、人材育成、多様性の推進

方針

全ての企業活動で人権を尊重し、人材の育成と多様性を推し進めます。

課題の認識

信越化学グループは、人権を全ての企業活動の礎として尊重しています。
世界的に人権に対する関心が高まる中、この方針を遵守し、当社グループと全てのステークホルダーの人権尊重に取り組んでいます。さらに、人材の育成と多様性の推進が事業を成長させ会社を永続的に発展させていくために必要不可欠と考えています。

教育・研修、自己啓発

信越化学グループでは、さまざまな研修制度によって従業員の成長を支援しています。研修制度には、階層別研修、国際化対応研修、聴講生制度、環境教育、安全教育、メンタルヘルス教育などがあります。2021年度からデジタル化の一環としてAI研修も開始しました。

階層別研修

階層毎に求められる、業績向上に必要不可欠なマネジメント力、リーダーシップ、コミュニケーション力、課題解決力などを学ぶため、各種階層別研修を行っています。

  • ・部長層研修 (アドバンストマネジメント研修、S職群・M職群研修)
  • ・課長層研修 (ミドルマネジメント研修)
  • ・係長層研修 (ラインマネジメント研修、スタッフマネジメント研修)
  • ・一般社員研修 (中堅層研修、女性社員研修、ジュニアリーダー研修、入社3年目研修)

国際化対応研修

当社グループの事業活動は世界各地に広がっており、円滑な業務遂行のためには外国語でのコミュニケーション能力が必要不可欠となっています。そこで、当社では、以下のような研修を行っています。

  • ・英語研修(ミーティングスキルコース、プレゼンテーションスキルコース)
  • ・異文化間コミュニケーション研修
  • ・中国語会話教室

AI研修

2021年度より、AIを使いこなせる人材を発掘、育成し、社内全体のレベルアップを図るために、以下のようなAI研修を開始しました。

  • ・AIリテラシー習得研修:新入社員、若手社員を対象にしたeラーニング
  • ・データ解析スキル習得研修:中堅社員を対象に課題解決型学習により実務課題解決を行う
  • ・AIプロジェクトマネジメント研修: プロジェクトに係る部課長を対象にしたeラーニング

聴講生制度

信越化学は、1962年に聴講生制度を設けました。現場力の向上を目的として、当社グループの生産現場のオペレーターなどを毎年数名から10名程度を選抜し、1年間大学で学ぶ制度です。発足以来60年間で延べ547名の従業員が同制度を修了し、各現場のリーダーとして活躍しています。

研修制度一覧

研修制度一覧

コロナ禍での新しい研修スタイル 
中国語講座 講師 YDさん

私は約20年前から信越化学の中国語講座を担当していますが、現在は、「新型コロナウイルス」の世界的感染拡大の影響で、対面ではなくWeb会議ツールを使った「オンライン」という、これまで経験のない形態で講座を行っています。当初は、オンラインに不慣れであり、講座の進行に遅れが生じるなどご迷惑をおかけすることもありましたが、そんな悪条件にもめげずに一生懸命取り組んでいただいた受講者の皆さまに感謝申し上げます。
1日も早くコロナ騒動が収束し、オンラインだけでなく、皆さんと直接お会いして講義ができることを願っています。
引き続き、皆さんにわかりやすく、仕事や旅行に役立てていただける講座になるよう務めていきます。

能力成果主義による人事考課制度

当社グループでは、従業員の能力や仕事での成果を重視した人事制度を導入しています。高い目標に向かって挑戦することを評価し、その成果と姿勢を処遇に反映することで、従業員の意欲向上につなげています。人事制度を公正かつ適切に運用するために、人事考課を行う全ての管理職を対象とした考課者訓練を実施し、公平な評価ができるように取り組んでいます。また、評価基準を従業員に周知することで透明性を高めています。さらに、上司と部下との面談制度を設けて、両者の意思の疎通を図っています。面談では、「コミュニケーションシート」を活用し課題をお互いに確認し合いながら、半年間の目標を設定、その成果のフィードバックを行い、さらなる能力開発を進めています。

関連情報

「マルチステークホルダー方針」

当社は、2023年4月に「マルチステークホルダー方針」を公表しました。

多様性の推進

多様な人材の活躍促進

当社グループは、海外グループ会社での現地採用に加え、日本における外国人の採用も行っています。
また、グループ全体で障がいのある方が働きやすい環境づくりを推進しており、障がい者の雇用に積極的に取り組んでいます。
さらに、当社グループは女性の活躍を推進するため2016年度から5年間の目標を掲げて取り組み、2021年度から、新たな5年間の目標を設定し、取り組みを開始しました。

女性の活躍推進のための2021年度からの5年間の目標

  1. 1. 採用時の女性比率を事務系40%、技術系10%とする。
  2. 2. 係長を含む女性の管理職者の数を2014年度比で4倍にする。

女性活躍推進のための取り組み

  1. 1. 育児と仕事の両立支援に向けた環境整備の推進
    ・両立支援のための情報提供の充実
    ・継続就業に資する施策の継続と拡充
  2. 2. 女性管理職登用に向けた公正な人事評価制度運用の推進
    ・考課者訓練の定期開催による制度理解の浸透推進
  3. 3. 社員の意識改革を促す学びの機会の提供
    ・研修を企画開催し、女性活躍に対する社員の意識改革を進める

女性管理職者2014年度比の推移

2020年度 2021年度 2022年度
2.58倍 2.84倍 3.00倍

採用時の女性比率の推移

2021年4月 2022年4月 2023年4月
事務系 36.4% 40.0% 42.9%
技術系 6.9% 4.5% 6.3%

障がい者雇用率

障がいの有無に関わらず、活躍することができる職場づくりを進めています。本社では障がいの程度や状況に応じた就業時間や就業場所の設定などフレキシブルに対応し、雇用機会の最大化を図っています。工場では、障がいがある場合にも安全かつ安心して就業していただけるように、施設設備面などハード面と防災訓練などを含むソフト面の両面から環境整備を進めています。

障がい者雇用率

車椅子用のスロープ(信越化学 群馬)

車椅子用のスロープ(信越化学 群馬)

関連情報

サステナビリティデータ集

定年年齢の引き上げ

当社は信越化学労働組合と協議を重ね、2019年4⽉から定年年齢を60歳から65歳に引き上げました。化学大手では初めての制度です。60歳以降は、59歳時点の給与の80%が支給されます。また、人事評価に基づいた昇給や昇格も実施されます。60歳以降の雇用環境を整えることで、製造現場の熟練者が技術や経験を生かし、次世代に受け継いでいくことが可能になります。

社員の取り組み

シムコア オペレーションズ社(オーストラリア) 人事部 SHさん

シムコア オペレーションズ社(オーストラリア)
人事部
SHさん

1.担当業務を教えてください。
入社後に人事部門に配属され、当社の人権尊重、人材育成、従業員が働きやすい環境の整備に取り組んでいます。当社は小規模な会社であるため、従業員と直接関わる機会も多く、彼らとの良好な関係の構築に努めています。また、人事部門だけでなくその他の部門と緊密に連携することもあり、チームとして当社の課題に取り組むことができるのは素晴らしいことだと感じています。

2.人権尊重、人材育成への取り組みについて教えてください。
当社は、ステークホルダーとのエンゲージメントの向上と採用プロセスの改善に継続的に取り組んでいます。当社は、サプライチェーン上で人身売買に関与しないようにするための取り組みを実施しています。2018 年にオーストラリア現代奴隷法に準拠するために、オーストラリア国境警備局に現代奴隷法に関する声明を提出しました。また、当社の従業員はサプライチェーンで人権尊重の取り組みを進めることの重要性について、外部の専門家からトレーニングを受けています。その他、階級別の研修や設備や装備の取り扱いに関する安全教育など、当社にはさまざまな研修制度があります。さらに、従業員が働きやすいように、ワークライフバランスのための制度も導入しています。

3.ダイバーシティの推進の取り組みについて教えてください。
現在、私はオーストラリアの政府機関であるWGEA(職場男女平等庁)と緊密に連携しています。ダイバーシティ&インクルージョンや男女間の賃金格差に関する年次報告書を提出しています。また、職場のジェンダーと平等に関する他の企業やオーストラリア政府とのワーキンググループにも参加しています。定期的にチームとのミーティングに参加し、職場でのダイバーシティ&インクルージョン、人権の尊重を促進するために各社が何を行っているかをチームメンバーと情報を共有しています。その他、法務部門によるオンラインセミナーや、職場が安全で多様性があり、いじめや嫌がらせがない状態を確保する方法について、オーストラリア労働安全衛生セミナーにも参加し勉強しています。

4.人権の尊重、人材育成、ダイバーシティの推進について、今後注力していきたいことは何ですか?
現在、法律を確実に遵守するために、いくつかの新しい方針と手順を更新および実施しています。例えばシムコアでは、「人権に関する救済方針」、「チームビルディング活動方針」、人材流出防止のための「リテンション方針」を完成させています。これらの方針により、当社はすべての従業員を公正かつ公平に扱うことを保証します。当社のサプライチェーンに関しては、当社は継続的にもモニターし、戦略を実行し、当社のサプライチェーンとの関係を改善して、標準以下の労働条件で人間を搾取するサプライヤーと当社が関与しないようにしていきます。

  • ※「人材開発/多様性の推進」での信越化学グループの対象は、信越化学の従業員と出向者です。