サステナビリティマネジメント

信越化学グループのサステナビリティ

信越化学グループは企業規範のもと、サステナビリティの基本方針を定め、9つのサステナビリティの重要課題に取り組んでいます。なお、2024年5月に、全取締役、監査役および執行役員が出席する常務委員会の承認を経て、サステナビリティの基本方針を改訂しました。

図:信越化学グループのサステナビリティ。
							企業規範:持続可能な企業活動を積極的に行い、他の追随できない素材技術によって社会と産業の求める価値を生み出す。
							サステナビリティの基本方針:重要課題: 全ての活動の礎:法令遵守、公正な企業活動。働く人の安全の確保と健康の促進。省エネルギー、省資源、環境負荷の低減。製品の品質の向上、製品の安全性管理。CSR調達の推進、原料調達の多様化。人間尊重、人材育成、多様性の推進。知的財産の尊重と保護。社会貢献活動。適時、的確な情報開示、ステークホルダーとの対話。

信越化学グループ企業規範

持続可能な企業活動を積極的に行い、他の追随できない素材技術によって社会と産業の求める価値を生み出す。

サステナビリティの基本方針

信越化学グループは、

  1. 持続的な成長により企業価値を高め、多面的な社会貢献を行います。
  2. 安全を常に最優先とする企業活動を行います。
  3. 温室効果ガス排出量削減に貢献する事業を拡充します。
  4. 製品の開発、製造時での効率を極め、その製品供給により社会の効率化に貢献します。
  5. 生物多様性に配慮し地球環境との調和を図りながら事業活動に取り組みます。
  6. 人権の尊重と雇用における機会の均等を図り、働く人の自己実現を支援していきます。
  7. 適時そして的確な情報開示を行います。
  8. 遵法に徹し、倫理に基づいた健全で信頼される、透明性ある企業活動を行います。

2024年5月改訂

ガバナンス

サステナビリティの取り組みの体制

信越化学グループの社会的責任は企業規範を実践し、株主、投資家、お客さま、お取引先、地域社会、従業員といった全てのステークホルダーに貢献することです。

その実現のためにサステナビリティの基本方針と各種社内規程を定め、活動を行っています。企業活動のあらゆる面において、サステナビリティ活動を推進するために、信越化学の取締役、執行役員、部門長、グループ会社のサステナビリティ担当者など約60名からなるサステナビリティ委員会を組織し、社長が委員長を務めています。

サステナビリティの取り組みの体制

図:サステナビリティの取り組みの体制。取締役会、常務委員会、委員長(社長)、委員、事務局、監査役会、信越化学グループ会社
サステナビリティを担当する役員一覧
地位 氏名 担当職務
(サステナビリティ関連のみ)
関係するサステナビリティの重要課題など
代表取締役
取締役会議長
秋谷 文男 技術関係担当 製品の品質の向上、製品の安全性管理
代表取締役
社長
斉藤 恭彦 サステナビリティ委員会委員長
常務執行役員 秋本 俊哉 サステナビリティ委員会副委員長
広報、法務関係担当
デジタル推進室長
リスクマネジメント委員会委員長
全ての活動の礎:法令遵守、公正な企業活動
知的財産の尊重と保護
適時、的確な情報開示、ステークホルダーとの対話
リスク管理
常務執行役員 荒井 文男 資材関係担当 CSR調達の推進、原料調達の多様化
常務執行役員 宮島 正紀 業務監査関係担当 コーポレートガバナンス
執行役員 笠原 俊幸 経理部長、社長室関係担当 コーポレートガバナンス(適正な納税、グループ会社の管理)
執行役員 髙橋 義光 総務、環境保安関係担当 コーポレートガバナンス
働く人の安全の確保と健康の促進
省エネルギー、省資源、環境負荷の低減
執行役員 安岡 快 人事関係担当 人間尊重、人材育成、多様性の推進
執行役員 祢津 茂義 特許関係担当 知的財産の尊重と保護

2024年6月27日現在

国連グローバル・コンパクトへの参加

当社グループは、2010年11月に国連グローバル・コンパクトに参加しました。

近年、社会生活が複雑化、多様化する中で、企業の社会的な責務はますます増大しています。その中で、信越化学グループは「持続可能な企業活動を積極的に行い、他の追随できない素材技術によって社会と産業の求める価値を生み出す。」という企業規範を実践し、社会や経済の環境変化への柔軟な対応を進めています。

当社グループは2010年11月から、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)にも参加しています。同ネットワークでは環境経営分科会やESG分科会、人権教育分科会などにも参加し、そこで得られるサステナビリティの最新動向を当社グループのサステナビリティの取り組みに生かしています。

なお、当社グループは2018年2月に、GCNJ「腐敗防止強化のための東京原則」の内容に賛同し、日本企業の中で最も早く同原則に署名しました。

グローバル・コンパクトの10原則

人権

原則1
企業は、国際的に宣言されている人権の保護を支持、尊重し、
原則2
自らが人権侵害に加担しないよう確保すべきである

労働

原則3
結社の自由と団体交渉の実効的な承認を支持し、
原則4
あらゆる形態の強制労働の撤廃を支持し、
原則5
児童労働の実効的な廃止を支持し、
原則6
雇用と職業における差別の撤廃を支持すべきである

環境

原則7
企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持し、
原則8
環境に関するより大きな責任を率先して引き受け、
原則9
環境にやさしい技術の開発と普及を奨励すべきである

腐敗防止

原則10
企業は、強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗の防止に取り組むべきである
ロゴ:グローバル・コンパクトの10原則

社外からの評価

当社は以下のサステナビリティ投資指標に組み入れられています。

FTSE4Good

FTSE Blossom Japan Sector Relative Index

FTSE Blossom Japan Sector Relative Index

S&P/JPX カーボンエフィシェント指数

2023 CONSTITUENT MSCI日本株 女性活躍指数 (WIN)

2023 CONSTITUENT MSCI日本株 女性活躍指数 (WIN)

2024 Sompo Sustainability index

FTSE Russell (FTSE International Limited と Frank Russell Companyの登録商標)は、ここに信越化学工業㈱が第三者調査の結果、FTSE4Good組み入れの要件を満たし、 FTSE4Good Index Seriesの構成銘柄となったことを証します。FTSE4Good Index SeriesはグローバルなインデックスプロバイダーであるFTSE Russellが作成し、環境、社会、ガバナンス(ESG)について優れた対応を行っている企業のパフォーマンスを測定するために設計されたものです。FTSE4Good Indexはサステナブル投資のファンドや他の金融商品の作成・評価に広く利用されます。
https://www.lseg.com/en/ftse-russell/indices/ftse4good

FTSE Russell はここに信越化学工業㈱が第三者調査の結果、FTSE Blossom Japan Sector Relative Index組み入れの要件を満たし、本インデックスの構成銘柄となったことを証します。FTSE Blossom Japan Sector Relative Indexはサステナブル投資のファンドや他の金融商品の作成・評価に広く利用されます。
https://www.ftserussell.com/products/indices/blossom-japan/

FTSE Russell はここに信越化学工業㈱が第三者調査の結果、FTSE Blossom Japan Index組み入れの要件を満たし、本インデックスの構成銘柄となったことを証します。FTSE Blossom  Japan IndexはグローバルなインデックスプロバイダーであるFTSE Russellが作成し、環境、社会、ガバナンス(ESG)について優れた対応を行っている日本企業のパフォーマンスを測定するために設計されたものです。FTSE Blossom ・Japan Indexはサステナブル投資のファンドや他の金融商品の作成・評価に広く利用されます。

信越化学⼯業株式会社のMSCIインデックスの組み⼊れ、およびMSCIロゴ、商標、サービスマーク、またはインデックス名の使⽤は、MSCIまたはその関連会社による信越化学⼯業株式会社のスポンサーシップ、推薦またはプロモーションを意味するものではありません。MSCIインデックスは、MSCIの独占的財産であり、その名称とロゴは、MSCIまたはその関連会社の商標またはサービスマークです。

2024年6月現在

サプライチェーンCSR管理システムの活用

当社グループはRBA Online※1、Sedex※2、EcoVadis※3、CDP※4などのサプライチェーンCSR管理システムなどを活用し、CSR情報を開示しています。なお、2023年度のCDPの評価はA-でした。

※1RBA Online
非営利団体レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(旧電子業界CSRアライアンス)による、サプライチェーンにおける労働、安全衛生、環境保全、倫理的事項を管理するためのオンラインシステム。レスポンシブル・ビジネス・アライアンスには、世界の電子業界などの企業が参加している。

※2Sedex
同名の非営利団体Sedexによる、倫理的で責任ある商慣行に関するデータを保管、閲覧するためのオンラインシステム。Sedexには、世界150ヵ国の食品業界、自動車業界、化粧品・アメニティ業界など28業界の企業が参加している。

※3EcoVadis
同名のフランス企業EcoVadisが運営するサプライチェーンCSR管理システム。北米、アジア、ヨーロッパの150ヵ国の多国籍企業が利用している。

※4CDP
2000年に英国で設立された、企業や自治体を対象とした世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非営利団体。毎年実施される環境情報開示とその評価プロセスは、企業の環境情報開示における国際標準として広く認知されている。

戦略

地球環境や社会が抱える重要な課題は、信越化学グループの持続的な成長を脅かすリスクとなる一方で、課題解決に向けた取り組みは新しい事業機会を生み出します。そこで当社グループは、こうした重要課題に関わるリスクと機会を認識し、リスクの低減に努めるとともに、地球環境問題を含む社会課題の解決に資する製品の提供を通じて、「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続可能な成長」の両立を目指しています。

重要課題のリスクと機会

信越化学グループは、全ての重要課題に対してリスクと機会を認識し、それぞれに対処しています。

重要課題 リスクと機会(代表例) 課題に対する主な取り組み
全ての活動の礎:法令遵守、公正な企業活動 リスク
  • 法令違反や不正の発生による企業経営への影響。
  • 社会からの信頼の喪失による企業価値の毀損。
  • 研修などを通じた役員および従業員へのコンプライアンス意識の徹底
  • 贈収賄の防止に関し、不当な便宜の供与や要求を絶対に行わないことを徹底するとともに、海外グループ会社各社で社内規程を整備
  • 反社会的勢力との関係を遮断
  • 下請事業者との望ましい取引慣行の遵守
  • 「パートナーシップ構築宣言」への賛同

KPI(2023年度実績)
重大な法令違反件数:0件

機会
  • 法令遵守と公正な企業活動を徹底することで、

    ①企業価値の礎の形成

    ②リスクの排除

    ③顧客からの信頼の醸成と商機の拡大

    ④優秀な人材の採用と定着につながること。

働く人の安全の確保と健康の促進 リスク
  • 事故、環境問題が地域社会と従業員に与える影響。
  • 台風、地震などの自然災害による設備への損害。
  • 感染症の流行に伴う操業への影響。
  • 防災訓練や教育講座などを通じた従業員への安全教育の実施
  • 環境保安監査の実施
  • 職場環境の改善や健康の促進

KPI(2023年度実績)
業務中に死亡した従業員数:0人
重大事故:0件
休業災害度数率:0.15(国内)、0.75(海外)
休業災害強度率:0.01(国内)、0.03(海外)

機会
  • 事故を未然に防ぐための対策と新しいプロセス開発が、安全な職場環境の形成ならびに安定生産と生産性の向上を可能にすること。
  • 優秀な人材の採用と定着。
  • 自然災害を想定した工場の設計とリスク対策による、操業継続、安全な操業停止と再稼働。
  • 従業員の健康増進とワークライフバランスの実現。仕事へのやりがいと充実感の醸成。
省エネルギー、省資源、環境負荷の低減 リスク
  • 温室効果ガス排出に関する規制の強化による追加費用の負担。
  • 原料の価格上昇、必要量の調達が困難になる。
  • 水の枯渇や洪水などの水リスクの増大。
  • 環境負荷低減の推進
  • 廃棄物削減
  • 汚染物質対策
  • 気候変動への対応
  • 資源循環
  • 水資源の保全、水質汚濁物質の削減
  • 生物多様性保全

KPI(2023年度実績)
温室効果ガス排出量(スコープ1+スコープ2):6,507千CO2-t
1990年比生産量原単位指数:57.0%(信越化学グループ)、53.4%(信越化学)
エネルギー使用量の生産量原単位平均年率:0.3%増加
取水量原単位平均年率:17.7%削減
BOD排出量原単位平均年率:1.6%増加
廃棄物最終埋め⽴て処分率:1.08%(国内連結)
大気汚染物質の生産量原単位平均年率:ばいじん11.1%増加、SOx7.1%削減

機会
  • 絶え間のない技術革新への挑戦が「ものづくり力」を高めることにつながる。
  • 省エネルギー、省資源、環境負荷の低減と生産性の向上による競争力強化。
  • 環境に貢献する製品の需要の拡大。
  • 水を循環利用する技術開発は事業の継続性に貢献。
製品の品質の向上、製品の安全性管理 リスク
  • 品質問題による信頼喪失。
  • 製品の安全性に係る直接的、間接的な影響。
  • 品質管理
  • 品質監査、支援
  • 製品の安全性管理
  • 品質保証、検査の自動化推進(人的関与の削減)
  • 検査バラツキ、規格幅の統計的妥当性の検証
機会
  • 約束した品質の製品を期日どおりに納入し続けるという実績は、お客さまからの信頼を高めることにつながる。
  • 製品の安全性確保への誠実な取り組みと実績の積み重ねが、顧客と社会からの信用につながる。
CSR調達の推進、原料調達の多様化 リスク
  • 原材料が調達できないことによる製造の停⽌、顧客への出荷への影響。
  • サプライチェーンでの問題発生。
  • 「信越化学グループCSR調達ガイドライン」を策定し適宜改訂する
  • 講習の受講や内部監査による下請法の遵守
  • 紛争鉱物排除の取り組み
  • お取引先へのサプライヤーCSR調達調査票の実施
  • RSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」への参加
機会
  • 調達先を多様化することで、安定した調達、最適価格での購買、公正な取引による原材料等の調達が可能になる。
  • CSR調達を徹底することによる、顧客と社会からの信頼につながる。
人間尊重、人材育成、多様性の推進 リスク
  • 自社の事業活動やサプライチェーンにおける人権侵害の発生。
  • OJTの実効性における差や偏りが生じること。
  • 実績主義がもたらす負の影響の発生。(短期成果に重点をおくことや部署によって評価に偏りが生じること、外的要因による実績低下など)
  • 働き方の多様化に対するニーズに応えられないことによる離職率の上昇や求職者の減少
  • 世界人権宣言に基づいた人権尊重の推進。
  • 人権デューデリジェンスの実施。
  • 研修制度を通じた個人の成長支援の強化。
  • 上司と部下のコミュニケーションの促進。
  • 能力開発に主眼を置いた評価報酬制度の浸透促進。
  • 性別や年齢にかかわらず活躍できる環境の整備。
  • ワークライフバランス制度の充実。

KPI(2023年度実績)
児童労働件数:0件
強制労働件数:0件

採用時の女性比率:事務系33.3%、技術系9.9%(信越化学および出向者)
係長を含む女性の管理職者数2014年度比:3.47倍(信越化学および出向者)

機会
  • 人権尊重を推進することで市場評価の向上。
  • OJTを通じて実践力を養った優れた人材の活躍。
  • 知識や技能、経験の蓄積。
  • 目標達成に向けた高い挑戦意欲がもたらす組織活力の維持向上。
  • 有能な人材の採用、育成、抜擢による事業の成長と新規事業の育成。
知的財産の尊重と保護 リスク
  • 当社の知的財産が侵害されたことによる、製品販売への悪影響。
  • 他者の特許による当社の製品販売と事業への制約。
  • サイバー攻撃による生産、販売、研究活動への影響。
  • 情報漏洩の発生による当社への信頼の喪失。
  • 知的財産の管理
  • 情報資産の管理
  • 個人情報保護の取り組み
  • サイバーセキュリティーの取り組み
機会
  • 当社の知的財産を守り活用することで、製品開発と独自の製造方法を促進。
  • 発明を公開することによる、産業の発展と社会への貢献。
  • 情報資産の保護と管理、サイバー攻撃への対策を徹底した上で、デジタル技術を活用し、技術の革新と業務の改革を実現。
社会貢献活動 リスク
  • 社会貢献活動が地域の要望と合致しないことによる、地域社会からの信頼の喪失。
  • SDGsが目指す持続可能な世界の実現の遅れが世界に与える影響。
  • SDGsのゴールとターゲットへの貢献
  • 国連「世界難民の日」募金活動
  • 交通立哨活動
  • 工場近隣の小学生にサマースクールを開催
  • 工場周辺の清掃活動を実施
  • 海外グループ会社の社会貢献活動
機会
  • 事業が発展することによる雇用機会の創出と安定雇用、納税による貢献。
  • 地域社会との対話と継続的な活動による信頼関係の醸成。
  • 事業を通じたSDGsの課題解決に取り組むことで、より良い世界の実現に貢献。
適時、的確な情報開示、ステークホルダーとの対話 リスク
  • 情報の非開示や不十分な開示による企業価値の毀損。
  • 説明責任を果たさないことによる、ステークホルダーをはじめとする社会からの信用の喪失。
  • 適時、的確な会社情報の開示
  • ステークホルダーとの対話
  • 決算発表後のアナリスト、投資家との電話会議へのマスメディアの参加
  • 展示会の開催
機会
  • 適正な市場評価の形成と企業価値の向上。
  • ステークホルダーと社会からの信頼の獲得。

リスク管理

リスクマネジメント委員会

当社では、取締役、執行役員および部門長など約20名で構成されるリスクマネジメント委員会を設置し、リスク管理体制の構築や諸規程の整備、事業活動に伴って発生するリスクの洗い出しと未然の防止に取り組んでいます。また、事業継続計画の策定、教育、情報提供など、部門間、グループ会社間で横断的な活動を推進しています。なお、リスク管理で重要な事項については、取締役会や常務委員会、監査役会に報告しています。 2023年度は委員会を4回開催したほか、事務局による会議を毎月実施しました。会議ではインフラ停止時の製造リスクのほか情報漏洩リスクなどについて議論し、その内容を委員会内で共有し、リスク対応の充実を図っています。さらに、委員会内で意見聴取し、2024年度以降に重点的に取り組むべきリスクマネジメントの課題を策定しています。

リスク管理規程

当社では、「リスク管理規程」を定め、当社グループの事業活動の中で考えられる包括的リスクを長期的な視点で想定し、リスク管理体制や発生したリスクへの対応について定めています。

リスク管理規程で定義するリスク

図:リスク管理規程で定義するリスク。経営リスク、環境・保安リスク、研究開発リスク、情報管理リスク、製造・品質管理リスク、知的財産・契約・訴訟リスク、営業・販売リスク、不正リスク、購買リスク、カントリーリスク、財務・会計リスク、法的リスク、人事・労務リスク、その他のリスク

リスク管理手順

リスク管理は各リスクの特性を見極めながら、下図のPDCAサイクルに沿った手順で運用しています。

図:リスク管理手順。1.リスクの特定:各部門の事業・業務に関連するリスクを特定し、把握する。→2.リスクの評価:当該リスクの大きさ、範囲等を評価する。→3.リスクの制御:評価したリスクの大きさ、範囲等を制御する。→4.緊急時対応マニュアルの策定:リスク発現時における対応を策定する。→5.監査・検査:現状を評価し、対応策等を確認する。

2024年度のリスクマネジメント委員会の活動について

リスクマネジメント委員会では、経営と事業活動に影響を与える可能性があるリスクを事前に排除し、リスクが発生した場合の影響を最小限に抑え再発を防ぐことを目指し、部門を横断した多面的な取り組みをしています。

2023年度は、国内外のグループ会社を含め地政学リスク、サイバーセキュリティ、インフラリスクなどに対し継続テーマとして対策を検討するととともに、人材の確保・流出対策、原材料の安定調達などに取り組みました。

2024年度も不安定な国際情勢を踏まえ、引き続き下記のリスクの予防と対策強化に努めます。

  • 工場の地震対策の強化(BCP)
  • 原材料の安定調達
  • 人材の確保、維持
  • 工場の安全対策
  • 情報漏洩、サイバー攻撃などへの対策の強化
  • コンプライアンスの強化 など

さらに、事業の主体である各事業部とグループ会社におけるこれらのリスクへの取り組み状況を確認し、必要な対策を事業体とともに進めます。リスクマネジメント委員会は、リスクを未然に排除しリスクへの備えを強化することで、会社の持続的な発展を支援してまいります。

事業継続計画と緊急時の対応

当社グループは、日本のみならず世界での市場占有率の高い製品や、最先端の産業で特殊な用途で使われる製品を数多く提供しています。そのため、大規模な地震や火災などの重大な災害、事故によってそれらが供給できなくなると、社会に影響を及ぼす恐れがあります。

当社では、各事業部と各工場が「全社事業継続マネジメント基準」に基づいて事業継続計画を策定し、災害や事故に備えています。

また、災害や事故が発生した場合、以下に示した体制で取り組みます。それぞれの対策本部や組織は、事前に定められた業務基準に基づいて緊急対応および復旧対応を行います。

災害、事故の発生時の体制と主な対応業務

図:災害、事故の発生時の体制と主な対応業務。
								災害対策本部
								本部長:社長
								災害対策本部
								対策本部付(本社管理部門)
								 ・事故、災害の状況の把握
								 ・情報収集、伝達
								 ・従業員の安否確認、必要な人員の確保
								 ・お取引先さまの状況把握、代替調達先の確保
								 ・社外からの問い合わせへの対応
								事業部対策本部(当該事業部)
								 ・被害状況の把握、在庫の確認
								 ・お客さまの状況の把握
								 ・お客さまの問い合わせへの対応
								 ・代替対策の実施、復旧計画の再検討
								工場対策本部(当該工場)
								 ・官庁、地域、本社、従業員への通報、連絡
								 ・従業員の安否、生産設備の被害状況の把握
								 ・二次災害の防止
								 ・必要人員の確保
								 ・復旧計画の提案、実施

総合防災訓練を実施

(2023年6月 信越化学 群馬)

(2023年11⽉ 信越化学 鹿島)

指標と目標

信越化学グループは、サステナビリティの基本方針に沿って重要課題を認識し、それらに対する取り組みを管理する指標と目標を設定しています。その実績は以下のとおりです。

サステナビリティの取り組みに対する指標と目標
KPI 実績
(2023年度)
目標 対象範囲
法令遵守 重大な法令違反件数 0件 0件 連結
環境 温室効果ガス排出量
(スコープ1+2)
6,507千CO2-t 0 CO2-t
(2050年度)
連結
1990年比生産量原単位指数 57.0%(信越化学グループ)、53.4%(信越化学) 45%
(2025年度)
信越化学および国内外グループ会社
エネルギー使用量原単位平均年率 0.3%増加 エネルギー使⽤量を⽣産量原単位で平均年率1%削減する 連結
取水量原単位平均年率 17.7%削減 原単位で平均年率1%削減する 連結
BOD排出量原単位平均年率 1.6%増加 原単位で平均年率1%削減する 連結
廃棄物最終埋め⽴て処分率 1.08%(国内連結) 廃棄物ゼロエミッション
(廃棄物発生量に対する最終埋め立て処分量の割合1%以下)の達成
国内連結
大気汚染物質排出量原単位平均年率 ばいじん11.1%増加、
SOx7.1%削減
大気汚染物質の排出量を、原単位で平均年率1%削減する 連結
社会 業務中に死亡した従業員数 0人 0人 連結
重大事故 0件 0件 連結
休業災害度数率 0.15(国内)、0.75(海外) 0 国内:信越化学および国内連結
海外:海外連結
休業災害強度率 0.01(国内)、0.03(海外) 0
児童労働件数 0件 0件 連結
強制労働件数 0件 0件 連結
採用時の女性比率 事務系33.3%、技術系9.9% 事務系40%、技術系10% 信越化学および出向者
係長を含む女性の管理職者数 2014年度比で3.47倍 2014年度比で4倍 信越化学および出向者

排出量の算定にあたり、電力のCO2排出係数は電力の削減努力が明確になるよう、2000年から2009年までの平均値を使用しています。また、当社のエネルギー削減や合理化などの努力が明確になるよう、2024年から施行された地球温暖化対策の推進に関する法律の改正に伴う追加の算定項目は加算していません。

その他の指標に関しては、サステナビリティデータ集をご覧ください。