トップメッセージ

人間社会の持続的発展と境負荷抑制を両立する素材の提供を通じて、SDGsに貢献してまいります。

ESG活動

当社グループは、事業活動と一体となったESG*1活動を展開しています。気候変動に対する取り組みでは、2019年5月には気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)*2の提言への支持を表明、TCFDコンソーシアム*3に参加することで大きな前進を遂げました。従前から取り組んでいる徹底した省エネルギー活動に加え、気候変動が事業に与えるリスクと機会の分析も進めています。気候変動に対する当社の取り組みは、この報告書の中で詳しくご紹介しています。

人権尊重も現在取り組んでいる重要な課題の一つです。当社では予てから、全世界の事業所で人権を常に尊重しながら事業を展開してきました。2019年5月には当社が進めてきました人権尊重の経営をまとめた「信越化学グループ人権方針」を制定し、全グループ会社に周知徹底しました。現在、人権デューデリジェンス*4を進めています。全世界のグループ会社で人権尊重を永続的に実現していくために、今後とも国際的な行動規範*5の遵守と人権尊重の事業活動を推進してまいります。

SDGsへの貢献

環境負荷を抑制しつつ人間社会の持続的発展と質の向上を図っていくには、効率を極めることが必須です。そのために当社グループが担い、果たせる役割は大きいと信じています。当社は、2020年度経営目標においても昨年に引き続き「SDGs*6に貢献」を指針の一つに掲げました。SDGsの17の目標は、21世紀を生きる私たちが取り組む課題です。

当社では日々の業務ではもちろんのこと、設備投資、新製品の開発と新規事業を進める際には、常にSDGsの課題解決を念頭においています。信越化学の2019年度の投資案件のうち、94%以上がSDGsに貢献するものです。当社の製品を提供することがSDGsの達成に貢献し、同時にSDGsによって当社の事業機会も拡大すると考えています。今後、人間社会が持続的な発展とその質の向上、人間の活動がもたらす環境への負荷を大幅に減らしていくことを同時に追求していくために、効率性を極限まで高めることが必須と考えます。 当社はインフラ投資に欠かせない塩化ビニル樹脂、高度情報化社会を支える半導体シリコンウエハー、幅広い用途に利用されるシリコーン樹脂をはじめとした多岐にわたる製品群を有しています。さらに新製品の開発にも力を注ぎ、2019年度には、石英クロス、熱硬化性樹脂、放熱材、窒化ガリウム基板などの5Gに対応する新製品を公表しました。接続性、資源効率、生産性の向上、スマートインフラストラクチャ―、健康促進は、当社が現在取り組んでいる主要なテーマです。これらを進めるために、当社が生産する既存の製品を提供し改良することに加えて、事業を通じて革新していくことに力を注いでいます。

当社は既存製品の新しい用途の拡大、新製品の開発のいずれにおいても、効率を極めることをめざし、SDGsの目的に資するように取り組んでまいります。

公正な企業活動、環境、安全への取り組み

当社グループは、2010年より「国連グローバル・コンパクト」に参加し、人権、労働基準、環境、腐敗防止の4分野にわたる10原則の実践に取り組んでいます。また、2018年2月には、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン*7が定めた「腐敗防止強化のための東京原則」に賛同する第一号の会社として署名しました。本原則への賛同は、当社の「遵法に徹し公正な企業活動を行う」という企業規範に合致するとともに、SDGsの目標16「平和と公正をすべての人に」の達成にも貢献するものです。グループ全社で本原則を共有して、企業活動の重要な規範として腐敗防止を徹底することで、日々の仕事に取り組んでいます。さらに、当社はレスポンシブル・ケア*8世界憲章に従い、環境保全や保安防災、労働安全衛生などに取り組んでいます。2019年度には、国内外の延べ22事業所で環境保安監査を実施するなど、同憲章を踏まえた活動を実行しました。

当社は既存製品の新しい用途の拡大、新製品の開発のいずれにおいても、効率を極めることをめざし、SDGsの目的に資するように取り組んでまいります。

人材育成

当社グループは全ての生産拠点において、安全と品質を最優先にしながら高稼働を続けています。各拠点では、意欲あふれる仲間が当社の使命を果たすために日々取り組んでいます。働く仲間の実行力と熱意が当社に成功をもたらします。当社では、従業員が技能を高めるとともに、全ての人が敬意をもって尊重され、活躍できる機会が等しく与えられる企業風土を育んでいます。人材育成の面でも、マネージャーの指導によるOJTに加え各種の研修や能力開発プログラムなど、多様な機会を提供しています。強い目的意識を持って仕事に取り組む仲間は当社の誇りです。

私たちが取り組むESG活動の一端をご紹介しました。詳細はこのレポートの各項に詳しく説明しておりますので、ご参照いただけましたら幸いです。

当社グループの製品によって生活の質が向上し、市場の課題が解決したと評価される、そのような素材価値の提供にこそ当社グループの役割があると考えています。私たちがめざすもの、それは「Shin-Etsu Everywhere」です。あらゆる場所、あらゆる産業、あらゆる最終製品において当社の製品が役割を果たすことで、社会とともに当社も持続的な成長を図ってまいります。皆さまには、今後ともなお一層のご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2020年6月

代表取締役社長 斉藤 恭彦

  • *1 ESG

    投資家などが企業のCSRの取り組みを評価するために定義したCSRの要素。Eは環境(Environment)、Sは社会(Social)、Gはガバナンス(Governance)。

  • *2 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)

    国際金融に関する措置、規制、監督などの役割を担う国際機関である金融安定時理事会(FSB)が2015年9月に設立した、気候変動の情報開示に関する特別チーム。2017年12月に、「企業は、中長期の複数の気候変動シナリオ(2℃またはそれを下回る将来の異なる気候シナリオ)を元に自社のリスクと機会を分析し、財務への影響度を開示すべきである」との提言を発表した。

  • *3 TCFDコンソーシアム

    2019年5月に、経済産業省、金融庁、環境省が中心となって設立した団体。TCFDの提言に賛同する企業や金融機関などが一体となって、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関などの適切な投資判断に繋げるための取り組みを推進することを目的としている。

  • *4 人権デューデリジェンス

    人権に関連する悪影響を認識し、防止し、対処するために企業が実施すべき事項。人権に関する方針の策定、企業活動が人権に与える影響の評価、パフォーマンスの追跡や開示などを行う。

  • *5 国際的な行動規範

    世界人権宣言、ILO国際労働基準、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、国連グローバル・コンパクト「グローバル・コンパクトの10原則」などを指す。

  • *6 SDGs

    2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための国際目標。17の目標と169のターゲットで構成されている。

  • *7 グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

    国連グローバル・コンパクトの理念や使命を各国の企業に浸透させるために設置されている、ローカル・ネットワーク(各国支部)の一つ。経営層向けサステナビリティ教育やテーマ別勉強会、各種シンポジウムの開催など、日本におけるサステナビリティのプラットフォームとして活動している。2020年3月末現在で350以上の日本の企業や団体が参加。

  • *8 レスポンシブル・ケア

    化学物質を扱うそれぞれの企業が、化学物質の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄、リサイクルに至る全ての過程において、自主的に「環境・安全・健康」を確保し、活動の成果を公表し、社会との対話やコミュニケーションを行う活動。当社グループは、2006年に国際化学工業協会協議会(ICCA)が定めた「レスポンシブル・ケア世界憲章」への支持と実行を表明し、2014年に同憲章の改訂版にも署名。