マネジメント
コーポレートガバナンス

信越化学は、コーポレートガバナンスを経営上の重要課題の一つと考え、以下の点に注力しています。

  • ・効率的な組織体制や諸制度の整備
  • ・経営の透明性の確保
  • ・内部統制の強化
  • ・適時、的確な情報開示

企業統治の体制

取締役会は取締役9名で構成され、そのうち5名は豊富な企業経営の経験や卓越した識見を有する社外取締役です。
業務執行を検討し決定する機関として取締役会と常務委員会があり、それぞれ月1回以上開催しています。取締役会では、会社の基本方針の決定や法令および定款により決議を必要とする事項をはじめ、経営に関する重要事項などを議題として、審議および決議を行っています。常務委員会では業務執行を迅速かつ効率的に行うため、業務全般についての審議および決定(取締役会付議事項を除く)を行っています。取締役会の全体の実効性について社外取締役と毎年個別に面談しています。社外取締役から当社の取締役会は実効性が確保されているとの評価を受けました。また、「取締役会の議題および議論のさらなる充実」や「社外役員の責任と役割」などについて貴重な意見を得ることができました。以上の通り、当社の取締役会は、適切に運営されていることに加え、取締役会の自己評価と分析の結果から、取締役会全体の実効性は確保されており、取締役会が果たすべき機能を十分に発揮しています。

信越化学は監査役制度を採用しています。監査役会は、社外監査役3名を含む4名の監査役で構成され、監査の方針および計画、内部統制システムの構築および運用の状況(企業集団の内部統制の状況確認を含む)、会計監査人の選解任または不再任、会計監査人の報酬等に関する同意、監査報告の内容などを検討しています。監査役は取締役会、常務委員会などの重要な社内会議に出席するほか、取締役、執行役員および使用人などからの職務の執行状況についての報告、事業所および子会社の往査、その他の調査などを通じて取締役の業務執行を監査しています。また四半期ごとに会計監査人から会計監査に関する報告、説明を受け、意見交換を行っています。さらに、定期的に内部監査部門から内部監査の状況に関する報告、説明を受け、意見交換をしています。
なお、信越化学は執行役員を設けています。

信越化学のコーポレートガバナンス体制図

信越化学のコーポレートガバナンス体制図

2023年6月29日現在

  • ※ サステナビリティ委員会、リスクマネジメント委員会、G委員会など

取締役の有する専門性と関与する領域

取締役の有する専門性と関与する領域

2023年6月29日現在

関連情報

役員紹介

サステナビリティデータ集

社外取締役

当社は、経営に対する独立した立場による監督機能の充実を図るため、5名の社外取締役を迎えています。社外取締役からは、成長戦略やガバナンスの充実について助言を得ています。これらは当社が持続的な成長を続けていく上で重要であると考えています。 2023年6月には、長谷川眞理子氏を社外取締役として招聘しました。取締役会のダイバーシティをさらに進めることにより、視点の多様性を一層高め、経営と事業の進化に結び付けることをめざします。

社外取締役一覧

2023年6月29日現在

福井 俊彦

福井 俊彦 重要な兼職など
日本銀行元総裁、 一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所理事長、キッコーマン(株)社外取締役  >社外取締役メッセージ

小宮山 宏

小宮山 宏 重要な兼職など
国立大学法人東京大学元総長、(株)三菱総合研究所理事長  >社外取締役メッセージ

中村 邦晴

中村 邦晴 重要な兼職など
住友商事(株)取締役会長、日本電気(株)社外取締役

マイケル・マクギャリー

マイケル・マクギャリー 重要な兼職など
PPG Industries, Inc. 取締役会長
United States Steel Corporation取締役(社外)

長谷川社外取締役

長谷川 眞理子 重要な兼職など
国立大学法人総合研究大学院大学前元学長、独立行政法人日本芸術文化振興会 理事長

※中村邦晴氏の氏名の正式表記は、こちらをご参照ください。

社外監査役

当社は、独立した立場による経営に対する監査機能の充実を図るため、3名の社外監査役を選任しています。社外監査役は、それぞれの分野の専門家としての見地から、当社の経営を監査しています。社外監査役の監査は、当社のコンプライアンス体制の確保に貢献しています。

社外監査役一覧

2023年6月29日現在

小坂 義人

小坂 義人 重要な兼職など
公認会計士・税理士、飛悠税理士法人代表社員、アストマックス(株)社外監査役、(株)オキサイド社外監査役

加々美 光子

加々美 光子 重要な兼職など
弁護士、加々美法律事務所パートナー弁護士、(株)メディパルホールディングス社外取締役、相鉄ホールディングス(株)社外取締役

金子社外監査役

金子 裕子 重要な兼職など
金融庁企業会計審議会委員、三菱 HC キャピタル(株)社外取締役監査等委員、横浜ゴム(株)社外取締役、神奈川中央交通(株)社外取締役監査等委員、(株)日本政策投資銀行社外監査役

役員報酬委員会

役員の報酬の審査および評価や、経営陣幹部、取締役、監査役候補者の指名などに関わる過程での透明性と妥当性を確保するために、役員報酬委員会を設置しています。 委員会は社外取締役の福井 俊彦氏を委員長とし、社外取締役3名を含む取締役4名で構成されています。年2回の定例会議および必要に応じて行う電話会議などにより開催されます。委員会では役員報酬の審査および評価を行うほか、取締役および監査役候補者の指名などの審議を行い、取締役会に答申しています。
役員報酬委員会の構成
委員長 社外取締役   福井 俊彦 
委員  社外取締役   小宮山 宏
委員  社外取締役   マイケル・マクギャリー
委員  代表取締役社長 斉藤 恭彦

内部統制システム・業務監査

当社は会社法および法務省令で定める「取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制、その他株式会社の業務並びに当該株式会社およびその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するための体制」を整備するため、「内部統制基本方針」を定めており、この方針に従って、内部統制システムを構築し運用しています。また、適時その見直しを行い、より適切で効率的な内部統制システムの整備に努めています。
内部監査は、専任部署である業務監査部が業務活動の適法性や合理性の観点から各部門の業務監査を実施するほか、財務報告に係る内部統制の整備・運用の状況について独立した立場から評価を行い、それらの結果については、代表取締役を含む取締役並びに監査役等に直接報告を行っています。

納税および税務への取り組みに関する方針

当社グループは企業規範において、遵法に徹して公正に企業活動を行うことを掲げています。この考えのもと、当社グループで働く一人一人が誠実に日々の仕事に取り組んでいます。その結果得た利益を、事業活動を行う国、地域の法令に従って適正に納税することは、企業としての社会的責務であり、貢献の一つと考えています。
そのための取り組みとして、税務コンプライアンス意識の浸透および向上に努め、特に税務担当者など税務に関係する従業員に対して教育を実施し、税務知識や実務能力の向上を図っています。重要な税務問題については、専門家に適宜助言を受けながら税務処理の適正性を検討し、各国の法令に基づく適切な税務申告に努めています。また、各国の税務当局に対して誠実な対応を行い、良好な関係を保つことも重視しています。なお、租税回避を目的とした事業活動は行っていません。 2022年度の連結会社全体で納税した法人所得税の納税額は2,668億円でした。その地域別内訳は、日本1,286億円、米国1,261億円、欧州50億円、アジアオセアニア71億円です。

グループ会社の運営

当社はグループ会社の自主性を尊重し、支援することで、グループ全体の発展を目指しています。
グループ会社は、「信越化学グループ会社運営規程」に基づいて運営されています。連結子会社99社については、以下の案件について当社に事前協議や報告を行っています。

  1. (1)事前協議事項の例
    増減資、合併、解散、定款変更
    新規事業や設備投資の計画
    事業の譲渡や譲受
    役員や出向幹部の任免、異動
  2. (2)報告事項の例
    業務概況
    決算
    グループが認識したリスク情報
    内部統制の不備などに関する重要情報

また、主要なグループ会社の社長が出席する会議を年1回以上開催するなど、グループ会社間の情報の共有や交換も積極的に行っています。

社員の取り組み

S.E.H ヨーロッパ社(イギリス)EHさん

S.E.H ヨーロッパ社(イギリス)
コーポレートガバナンス部門
EHさん

1.担当業務を教えてください。
S.E.H.ヨーロッパ社のコーポレートガバナンス部門に所属しています。入社後、会社の制度を利用して、UKICGI(英国およびアイルランドコーポレートガバナンス協会)で4年間勉強し、公認会社秘書役 およびガバナンス・プロフェッショナルの資格を取得しました。現在はシニア・コーポレート・ガバナンス・アドバイザーとして、日本の金融商品取引法に基づく内部統制報告制度 (J-SOX) の監査の調整と報告を行っています。また、会社が法律および倫理的項目に準拠し、社内規程および環境、社会、ガバナンスの方針に従って運営されていることを確認する責任も担っています。具体的には、英国の現代奴隷法への対応、贈収賄と腐敗防止の取り組み、男女間の賃金格差の撤廃、情報資産の保護、ステークホルダーエンゲージメントなど、さまざまな分野について管理しています。また、品質や安全性など、ビジネスの他の項目についても監査員としてトレーニングを受けました。これらにより、会社全体の理解を深めることができました。

2.S.E.H.ヨーロッパ社のコーポレートガバナンスやESG全般への取り組みについて教えてください。
信越化学グループは、国連グローバル・コンパクトのメンバーであり、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) に貢献することを約束しています。当社もさまざまなステークホルダーと協力して当社グループのサステナビリティの基本方針を推進し、SDGsの目標達成に向けて取り組んでいます。
当社はさまざまなステークホルダーと協力して、当社グループのサステナビリティの基本方針を推進しています。特に、地域社会に利益をもたらす活動を奨励、支援、促進することに尽力しています。当社の健康労働生活委員会が窓口となり、地元の学校や大学の産業経験イベントを支援し、学生たちが私たちの業界に興味を持つような取り組みを行っています。その他、地元のフードバンク、ウクライナの難民支援など、さまざまな寄付活動に加え、当社工場敷地内の野生動物の保護活動も行っています。
当社の企業規範、行動規範、倫理とコンプライアンスに関する声明、現代奴隷法に関する声明、男女間賃金格差の分析、多様性の推進など、サステナビリティに関するフレームワークを定期的に見直すことで、意思決定が高い基準のビジネス規範と優れたガバナンスを促進する方法で行われていることを確認しています。

3.ダイバーシティの推進について課題はありますか?
男性中心の業界で働く女性は、男性にはないさまざまな課題に直面しています。また、その他のマイノリティグループも、差別や固定概念、無意識的な偏見を経験する可能性があります。近年、企業ではダイバーシティへの取り組みが進み、多種多様な人々が活躍できるような施策や慣行が導入されつつあり、こうした課題に対する意識は高まっています。
しかし、これらの新しい措置を実施する負担は、全体ではなくマイノリティグループにかかりがちです。私たちは皆、自分自身や他人を教育し、さまざまな人々の声に耳を傾け、自分自身の内なる偏見を認識し、男女平等に向けて改善が必要な場合には行動を起こす責任があります。社会として圧力をかけ続けることで、男女平等は達成されると確信しています。

4.コーポレートガバナンスやサステナビリティの取り組みについて、今後どのようなことに注力していこうと考えていますか。
ここ数年、外部監査人による監査基準が厳しくなってきています。監査の透明性の向上に対する需要が高まるにつれて、要件を満たすために私たちもより多くのことに対応する必要があるでしょう。
ステークホルダーからの変革の要求が高まる中、企業が今後の経営戦略やコーポレートガバナンス戦略を策定する際にESGの取り組みは引き続き重要となります。これまでのESGの注目は気候変動の緩和や社会的な取り組みに集中していましたが、今後はガバナンス計画にも焦点が当てられるようになると考えています。英国のコーポレートガバナンスの状況は常に進化しているので、政府レベルで議論されている重要なガバナンスの課題を常に把握し、来るべき変化が起こる前にその準備をすることが重要です。

関連情報

コーポレートガバナンス報告書

サステナビリティデータ集