経営方針

アニュアルレポート2019より

会長メッセージ

代表取締役会長 金川 千尋
代表取締役会長
金川 千尋

次世代の事業を支える独創的な
新製品、サービスの創出に努めるとともに、
社会が必要とする素材の提供を通じて
地球が直面する課題の解決に
貢献してまいります。

 

 

 

信越化学グループの事業と経営を深くご理解いただき、ご支援いただいています株主、投資家をはじめとする、すべてのステークホルダーの皆さまに、心より感謝申し上げます。

 

今年度、私たちは高収益の実現を経営目標に掲げ、「販売先行」、「積極投資」、「適時で迅速な仕事」、「リスク管理」を徹底することで多面的に世界一を目指し、積極的に事業を推進してまいりました。その結果、前事業年度に比べ22%の大幅な増益を達成して過去最高益を更新することができました。

 

私たちは、安定した成長こそ企業価値の増大に結びつくと考えております。このため単年度の業績成果に満足することなく、さらなる成長に向けた投資を積極的に進めております。

 

当社グループの塩ビ事業の中核をなすシンテック社では、新たに原料からの一貫製造工場の新設を決定し建設を進めています。この新たな工場が完成すると同社の年間生産能力は約10%増強されて324万トンに拡大し、世界最大の塩化ビニル樹脂メーカーとしての地位がさらに強固なものになります。

 

シリコーン事業およびフォトマスクブランクス事業においても、生産能力の拡大に向けた設備増強を行っております。この他の各事業とも業況やお客さまからの声などをもとに、適時的確な投資を実行しています。このような現業への投資に加えて、お客さまと社会のニーズに真摯に耳を傾けた積極的な研究開発により、次世代の事業を支える独創的な新製品、新サービスの創出に努めております。

 

このように将来にわたる事業成長の基盤を着実に整えるとともに、地球規模の課題にも目を向けております。私たちが住む地球は今さまざまな課題に直面しており、私たち企業も持続的な開発目標(SDGs)の達成を念頭においた事業活動が求められています。当社グループではこのかけがえのない地球の未来へ貢献するために、社会が必要とする素材の提供等を通じて、地球が直面する課題の解決に貢献してまいります。

 

現在、世界経済は大きな転機を迎えております。日々変化し続ける事業環境の中にあって、企業として着実に成長し続けていくには、状況に応じて最適な決断を下し、実績を積み重ねていくことが最も重要です。今後とも当社グループの強みをさらに強化することで、変化し続ける世界市場の中にしっかりと地歩を築き、継続的な成長を目指してまいります。皆さまには、当社グループの事業および経営につきまして、今後ともご理解と一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 

代表取締役会長 金川 千尋
代表取締役会長 金川 千尋

 

 

社長メッセージ

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長
斉藤 恭彦

お客さまの期待にお応えすべく
経営努力と新たな取り組みを
重ねた結果、
昨年に続き過去最高益を
達成しました。

 

 

 

日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 

2018年度は当社にとりまして注目すべき事業年度でした。はじめて4,000億円を超える税引前利益を上げ過去最高益を連続して更新しました。年間配当金は、当社の歴史の中で最も高い一株当たり200円を公表しました。更に、複数の大型投資を発表しました。これらについては後段でご紹介します。また、当社は1,000億円相当の自己株式の買取を実施しましたことを、経営における重要事項としてご報告いたします。このように2018年度は当社にとりまして画期的な一年でした。

 

当期の売上高は現地通貨では、対前年比10.7%増加し、日本円に換算すると10.6%増加しました。全ての事業セグメントで過去最高を更新する増収増益による成長を遂げました。当社は、お客さまから求められている有用性、品質、製品の進化にお応えできるよう絶えず力を注いでいます。この経営努力と新たな取り組みが、事業セグメントと会社全体の力強い成長に寄与しています。営業利益は対前年比19.9%増の4,037億円、税引前利益は同22.0%増の4,153億円、税引後純利益は同16.1%増の3,091億円となりました。これにより9年連続の増益を達成しました。2009年度からの累積成長は、税引前利益で2,883億円、税引後利益で2,253億円で、年平均の成長率はそれぞれ14.1%と15.6%でした。

 

過去最高益と自己株式の買取は、重要な経営指標に反映されています。前事業年度に比べ、投下資本利益率(ROIC)は3.3ポイント改善し21.5%に、自己資本利益率(ROE)は0.9ポイント改善し12.8%にそれぞれ高めることができました。これらの経営指標は何れも高い水準であり、維持することに取り組んでいます。

 

当社の製品に対するお客さまからの更なる要望にお応えできますよう、積極的でありながら注意深く取り組んでいます。このために、昨年はいくつかの投資に着手しました。その中の主なものは、シンテック社の新工場建設への14.9億ドルの投資、シリコーン事業への1,100億円の投資、フォトマスクブランクス事業への140億円の投資です。当期の設備投資額は前期より約2割多い3,000億円を予定しています。

 

当社グループは世界中の生産拠点において「安全と品質」を最優先としながら高稼働を続けています。グループ全体で2万1千人の意欲と熱意溢れる仲間が、当社の使命を果たすために取り組んでいます。マネジャーの指導によるOJTに加え、各種の研修プログラムや能力開発の機会を従業員に提供しています。技術とエンジニアリングの専門性は当社のものづくりの基盤です。従業員の安全と品質への責任ある取り組みと当社の高い技術力が、品質の高い製品を約束した期日に継続的に供給することを可能にしています。

 

当社は研究開発への取り組みを更に強化しています。当社は564億円、売上高のおよそ3.5%を研究開発に費やしています。おおよそ5,000品目の新製品を上市し、1,779件の特許を取得しました。売上高の30%以上が特許に裏打ちされた製品の販売です。研究者はお客さまや産業の課題を解決することに力を注いでいます。研究開発に対する投資効果については、過去5年間における営業利益を研究開発費で割った「対営業利益率」を指標として見ると、同業他社の中でも群を抜いた効率を示しています。

 

当社の製品構成と研究開発がめざしていることはSDGsが掲げる課題と合致しており、SDGsを常に念頭において活動しています。当社の製品を提供することがSDGsの達成に貢献し、同時にSDGsによって当社の事業機会も拡大します。人間社会の持続的な発展とその質の向上を果たすためには、人間の活動がもたらす環境への負荷を大幅に減らすことが重要です。このために、効率性を極限まで高めることが必須と考えます。増殖するデータの処理、IoT、5G、AIなどの技術はこの目的のために活用され、進歩していくはずです。当社の製品をこうした目的に利用され、改良し革新につなげることに注力しています。当社の素材があったからこそ、生活が改善、向上し、事業の課題が解決したと称される―そのような素材として価値のある製品を至るところに提供できるよう、当社は望んでいます。

 

私たちは、株主の皆さまへの還元に大きな注意を払っています。従って、昨年度は配当金を前年に比べて40%増加させ、大規模な自己株式の買取も実施しました。当社は自己株式の買取は資本の配分戦略の一つとしてとらえています。

 

当社がお客さま、株主の皆さま、地域社会に継続して価値提供を図っていくには、会社が成長を続けていくことが必須です。そのために、事業構成の幅を広げ事業領域の拡大に向けて、多岐にわたる新たな計画に取り組んでいます。当社は引き続きお客さまのニーズにお応えすることに注力し、企業統治を適切に行うことで、社会への責任を果たしてまいります。

 

株主の皆さまからお寄せいただいているご信頼とお客さまとのパートナーシップに厚く御礼申し上げますととともに、信越化学に働く皆さんの日ごろのご努力に心から感謝申し上げます。

 

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長 斉藤 恭彦

 

事業などのリスク


当社グループ(当社、連結子会社および、持分法適用会社)の経営成績、財政状態およびキャッシュ・フローなどの業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

当社グループにおいては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることにより、リスクの軽減を図っております。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、記載した事項は、2019年3月31日現在において当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

1. 経済動向および製品市況による影響

当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。 当社グループは事業の多角化・グローバル化などによってそのリスクをヘッジしておりますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

2. 為替相場の変動による影響

2019年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は74%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社などの財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約などによりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、同様な可能性があります。

 

3. 自然災害・事故災害の影響

当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検および設備保守、また、安全のための設備投資などを行うとともに生産拠点の複数化に努めております。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故などの影響で、製造設備などが損害を被った場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

4. 公的規制

当社グループが事業活動を行っている国および地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替などの各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

5. 資材等の調達

当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めておりますが、これらについて供給の逼迫や遅延、また、それに伴う価格上昇などが生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

6. 新製品の開発

当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速であり、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めております。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

7. 環境問題について

各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、大きな新たな設備投資などの必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

8. 製造物責任

当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

IR活動の基本方針


IR活動を通じて、当社の事業と経営を正確にご理解いただくとともに、株主・投資家の皆さまとの対話を重ね、ご意見に耳を傾けて経営に生かしてまいります。

情報開示方針


1. 基本方針

当社は、株主・投資家の皆さまに対する適時適切な会社情報の開示が、当社に対する理解の促進と適正な市場評価につながるとの認識のもと、金融商品取引法および当社が上場している証券取引所の定める有価証券上場規程に従い、公平かつ透明性のある情報開示を行います。

 

2. 情報開示方法

有価証券上場規程が定める重要事実に該当する情報は、東京証券取引所の適時開示情報伝達システム(TDnet)、当社ホームページ、および関係する記者クラブでの発表を通じて公開しています。

また上記以外にも、株主・投資家の皆さまの投資判断に実質的な影響を与えると考えられる情報や、当社の理解を深めていただく上で有用と考えられる情報は、本ホームページを通じて公平かつ迅速に開示していきます。

 

3. 将来の業績見通しに関する事項

当社が開示する情報のうち、将来の業績予想などに関する見通しを含むものは、公表時点で入手している情報による判断および仮定に基づいた見通しであり、リスクや不確実性を含んでいます。このため、さまざまな要素により実際の業績などが変動する可能性があることをご承知おき下さい。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、当社および当社グループ会社の事業領域をとりまく経済情勢、市場の動向、為替レートの変動などが含まれます。ただし、業績に影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。

 

4. 沈黙期間

当社は、決算情報の漏洩を防ぎ、公平性を確保するために、四半期ごとの決算期日の翌日から決算発表日までを沈黙期間として定めています。この期間は、決算に関するお問い合わせへの回答やコメントは差し控えさせていただきます。ただし、この期間中に有価証券上場規程の開示規則に該当する事実が発生した場合には、適時適切に開示します。