経営方針

アニュアルレポート2021より

会長メッセージ

代表取締役会長 金川 千尋
代表取締役会長
金川 千尋

経済環境の変化へ迅速に対応し
成長の機会を捉え
企業価値の一層の向上を図ってまいります。

 

 

 

 

 

お客さま、お取引先、株主、地域社会の皆さま、信越化学グループの製品をご愛顧いただくとともにさまざまなご支援、ご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

 

2020年度は、国際社会全体が新型コロナウイルス感染症という未知の課題に直面しました。このため、世界的に経済活動が制約を余儀なくされる局面も生じました。当社では従業員の健康と安全を最優先としてリスク管理を徹底するとともに、お客さまとの緊密な意思疎通のもと高品質な製品の安定供給を進めることで着実な成長を図ってまいりました。経営に臨んでかねて「順風にあって危機を忘れず、向かい風の中で成長の布石を打つ」を旨としてまいりましたが、今回もこれに徹して市況の変化等に迅速に対応することで、堅調な業績推移となりました。

 

当社は引き続き企業価値の向上を目指して2020年度も成長に向けた投資を着実に進めてまいりました。米国のシンテック社では、ルイジアナ州で建設中の塩ビの一貫生産工場が、今年稼働する予定です。また同地では次の塩ビ増設工事にも着手しました。2023年末のこの工事完了後、シンテック社の生産能力は年間362万トンとなり、世界一の塩ビメーカーとしての地位はさらに強化されます。半導体シリコン事業では研究開発、生産工程の革新、安定供給に向けた取り組みを全社一丸となって推進し、お客さまからの高い品質へのご要望にお応えしています。また、シリコーン、電子・機能材料事業等の全ての事業におきましても、成長に向けて研究開発および設備の充実に人材、資金をはじめとした経営資源を積極的に投じています。

 

持続可能な社会の実現と環境負荷の抑制は、世界全体の課題です。当社では、SDGsに貢献することを経営指針の一つとして、課題解決に資する素材の開発と上市、環境負荷の低減、温室効果ガス排出の削減を進めています。これまでも当社は温暖化防止に寄与する製品を数多く送り出しています。塩ビの製品は資源の有効利用と省エネルギー、さらにリサイクルによる廃棄量の削減に貢献しています。また、半導体シリコンやレア・アースマグネット、シリコーン樹脂などは、電気自動車や情報通信機器などに欠かせない素材であり、社会全体の省エネルギー化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に貢献しています。当社は生産技術のさらなる革新を通じて、資源の有効利用や温室効果ガス排出の削減に取り組んでいます。今後とも高品質の素材や製品の開発と安定供給、高度な生産技術等に力を注ぎ、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

 

これからも当社は皆さまと成長の歩みをともにすることで、企業価値の一層の向上を目指してまいります。皆さまには引き続きご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

代表取締役会長 金川 千尋
代表取締役会長 金川 千尋

 

 

社長メッセージ

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長
斉藤 恭彦

世界の産業と人々の生活を支える
エッセンシャルサプライヤーとして、
引き続き社会の持続的成長の実現に
貢献してまいります。

 

 

 

 

1年以上にわたる新型コロナウイルス感染症の流行の中で、私たちは多くのことを学び、さまざまな思索と実践を重ねてきました。世界中が感染症に立ち向かい、各国ともさまざまな規制や行動制限が施される中で、社会、経済、そして市場は変容を余儀なくされました。それとともに新たな展開も生じてきました。その中には一過性のものもありますが、流行の終息後に残るものも少なくないでしょう。この期間を通じて当社は変化に的確に対処し、適応力を発揮してきました。その背景には、前例のない状況や難問に直面する中でそれぞれの業務に集中し続けてきた従業員の存在があります。当社にとって従業員はまさにかけがえのない存在であり、私は大変誇りに思っています。

 

また、今回の経験は当社の事業構成が社会や経済環境の変化に対しても優れた対応力を備えていることを証してくれました。ただし、私はその対応力が今後の変化にも十分なものであるとは捉えていません。この力を強化し更に磨きをかけ実効性を高めていきます。当社ではさまざまな変化を糧として、より一層の成長を図っていきます。同時に、当社は従来にも増してお客さまとの関係を緊密にしています。すべてのお客さまに最高水準の品質、技術を提供することを通じて、お客さまの業務の遂行をお手伝いする最も信頼できるサプライヤーでありたいと考えています。今後とも、お客さまが直面している課題の解決に資する多くの製品を開発していきます。

 

近年、主要国は温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、カーボンニュートラルの達成に向けた動きを加速しています。当社の事業には、それ自体が温室効果ガス排出量の削減に役立つものが揃っています。これらの事業を拡充し、さらに目標に適合したものにしていくよう努めていきます。また、環境負荷を抑えつつ人間社会の持続的な発展とその質の向上が強く求められていますが、その実現には効率性を極めていくことが不可欠です。その実現に向けて、当社は重要な役割を担うことができるものと確信しています。当社の多くの製品が産業と人々の暮らしに貢献し、それらが用いられれば用いられるほど持続可能な社会の実現に寄与できるように取り組みます。さらに、温室効果ガス排出量の削減に役立つ技術を可能な限り多く、かつ速やかに導入していきます。世界の産業と人々の生活を支えるエッセンシャルサプライヤーとしての役割を果たします。

 

グローバル化は再評価され変容し、米中対立に起因する世界経済のデカップリング(切り離し)が起こり得る情勢下で、それが如何に展開しようと、エッセンシャルサプライヤーとして枢要な役割を継続して果たすべく、柔軟かつ迅速に取り組みます

 

続いて事業セグメントの要旨を説明します。

塩化ビニル樹脂(塩ビ)では、住宅やインフラ向けの需要の増加に加え、環境に対する関心の高まりにより、主要市場での需要の拡大が見込まれています。塩ビは、機能面に加え環境面からも選好される素材です。北米におけるシンテック社の増設は今年半ばに完工し稼働を予定しています。並行して次の増強工事にも着手しました。

シリコーン事業では、最終製品の生産能力増強を進め、全世界のお客さまへの品揃えの拡充に取り組んでいます。お客さまの課題解決に貢献する製品と用途の開発をより一層推し進めます。

セルロース事業では、これまで注力してきました製剤用や産業用に加え、食品用でも需要の広がりに応えていきます。農産物の収穫向上に貢献するため、フェロモン製品の品揃えを増やします。森林保護に寄与するフェロモン製品も加えます。ポバール他の製品の新規用途においても拡販を推進します。

半導体デバイスに対する需要があらゆる分野でたいへん強く、半導体の不足が続いています。半導体が戦略物資に位置づけられる中、サプライチェーンの要諦の一角として、さらなる微細化を支える最高の品質とともに製品の安定供給を行います。いわゆる経済の「脱物質化」(ディマテリアライゼーション)に向けたデジタル化に貢献します。

露光関連分野では、進行する微細化、高集積化、多層レジストシステム、先端パッケージングに開発速度を高めて即応していきます。お客さまからの品質や供給量の要望に適時応えるために生産能力の増強計画を加速します。レア・アースマグネットは、自動車(特に在来車に比べ概ね10倍多く希土類磁石を用いる環境対応車)、ファクトリーオートメーション、データセンター、そして風力発電向け用途が大きく伸長しています。電動モーターや駆動のすべての分野・用途に当社技術を展開します。また希土分離精製技術を積極的に活用していきます。

5G対応製品では、開発と量産対応を加速します。マイクロLED部材、リチウムイオン電池性能向上剤、異種基板材料製品も立ち上げます。

 

要約しますと、当社は3つの流れを捉えることで成長してまいります。その3つの流れとは、半導体需要の増勢、カーボンニュートラルの進展、そしてインフラや住宅の機能向上に対する需要の高まりです。

 

当社は株主の皆さまへの還元に特に留意しています。1株当たり250円の年間配当金を公表しましたが、これは当社の歴史の中で最も高い配当金額です。

 

これまでお客さま、株主の皆さま、地域社会に実施してきましたことをこれからも継続していくには、会社が成長し続けることが必須です。事業領域をさらに広げるために多岐にわたる新たな取り組みを進めています。当社は引き続きお客さまとお客さまのニーズにお応えすることに注力し企業統治を適切に行うことで、株主の皆さまに、そして地域社会への責任を果たしてまいります。

 

株主の皆さまからお寄せいただいている信頼とお客さまのパートナーシップに厚く御礼申し上げますとともに、信越化学グループに働く皆さんの業務への献身的な取り組みに心から感謝申し上げます。

 

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長 斉藤 恭彦

 

事業などのリスク


有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)においては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることにより、リスクの軽減を図っております。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、記載した事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

1. 経済動向および製品市況による影響

当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。 当社グループは事業の多角化・グローバル化などによってそのリスクをヘッジしておりますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

2. 為替相場の変動による影響

2021年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は74%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約などによりリスクを軽減させる措置を講じておりますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、同様な可能性があります。

 

3. 自然災害・事故災害の影響

当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めております。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備などが損害を被ったり、サプライチェーンの分断が発生した場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

4. 公的規制

当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

5. 資材等の調達

当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めておりますが、これらについて供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の変更、また、それらに伴う価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

6. 急速な技術革新

当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速であり、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めております。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、上記以外の業界向け製品についても、競争力の高い代替製品の出現により、同様の影響を及ぼす可能性があります。

 

7. 環境問題について

各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、効率を極めることにより、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでおります。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、技術的に対応が難しくなったり、大きな新たな設備投資などの必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

8. 製造物責任

当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

9. 新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスの影響を最小限に抑えるため、当社グループの事業拠点では安全衛生対策を徹底しております。しかしながら、今後の同ウイルスの蔓延や、それを受けた各国における経済活動抑制の方針が当社製品に対する需要の大幅な減少や当社事業拠点を含むサプライチェーンに損害を生じさせた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

IR活動の基本方針


IR活動を通じて、当社の事業と経営を正確にご理解いただくとともに、株主・投資家の皆さまとの対話を重ね、ご意見に耳を傾けて経営に生かしてまいります。

情報開示方針


1. 基本方針

当社は、株主・投資家の皆さまに対する適時適切な会社情報の開示が、当社に対する理解の促進と適正な市場評価につながるとの認識のもと、金融商品取引法および当社が上場している証券取引所の定める有価証券上場規程に従い、公平かつ透明性のある情報開示を行います。

 

2. 情報開示方法

有価証券上場規程が定める重要事実に該当する情報は、東京証券取引所の適時開示情報伝達システム(TDnet)、当社ホームページ、および関係する記者クラブでの発表を通じて公開しています。

また上記以外にも、株主・投資家の皆さまの投資判断に実質的な影響を与えると考えられる情報や、当社の理解を深めていただく上で有用と考えられる情報は、本ホームページを通じて公平かつ迅速に開示していきます。

 

3. 将来の業績見通しに関する事項

当社が開示する情報のうち、将来の業績予想などに関する見通しを含むものは、公表時点で入手している情報による判断および仮定に基づいた見通しであり、リスクや不確実性を含んでいます。このため、さまざまな要素により実際の業績などが変動する可能性があることをご承知おき下さい。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、当社および当社グループ会社の事業領域をとりまく経済情勢、市場の動向、為替レートの変動などが含まれます。ただし、業績に影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。

 

4. 沈黙期間

当社は、決算情報の漏洩を防ぎ、公平性を確保するために、四半期ごとの決算期日の翌日から決算発表日までを沈黙期間として定めています。この期間は、決算に関するお問い合わせへの回答やコメントは差し控えさせていただきます。ただし、この期間中に有価証券上場規程の開示規則に該当する事実が発生した場合には、適時適切に開示します。