経営方針

(統合報告書2024より)

社長メッセージ

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長
斉藤 恭彦

成長軌道を伸ばしつつ、
持続可能な社会の実現と
産業の発展に、
貢献してまいります

 

 

 

 

 

 

強みを生かして成長の軌道を伸ばす

当社の2024年3月期(2023年度)の決算は、前期に比べ減収減益となりましたが、以下のグラフに示しました通り成長軌道を伸ばしています。

これは製品構成、技術力、事業を推進する力、そして熟達した人財など当社が長年にわたり培ってきた力を発揮したことの成果です。

私たちは、売上、利益、そして主要な経営指標において高い水準を達成する一方で、地域社会や産業の発展に貢献していることを誇りとしています。

経常利益グラフ
 

 

配当政策について

当社の財務基盤はより強固となりました。年間配当金は一株当たり100円(株式分割後)とさせていただき、それに加えて1,000億円相当の自己株式の取得を実施しました。

直近10年間で当社の年間配当金は5倍に拡大しました。安定配当を基本方針として、配当性向は35%を目安としてきました。

過去10年の配当性向は31%でしたが、今後は配当性向の目安を40%に引き上げます。これは株主の皆さまから賜りましたご理解とご支援への感謝の気持ちによるものです。なお、当期の配当性向は38.5%でした。

 

資金配分について

当社の現預金の水準につきまして、ご質問をしばしば受けるようになりました。現預金の使途は、M&Aを含む大型の成長投資に加えまして、4年前に全世界が経験した感染症の大流行などによる経済危機への備え、そして株主の皆さまへの還元です。

私たちはエクイティスプレッドに留意しながら、現預金を適切に管理してきました。これからも、ここで述べました当社の目的を達成するために、現預金を有効に活用してまいります。

 

今後の成長に向けて

将来を見据え当社はさらなる成長を目指しています。この点につき、私たちはお客さまの課題解決に資する製品の提供を使命とし、そこに力を集中しています。

当社は、お客さまの課題を解決する取り組みを絶え間なく進めています。現在、急速に変化が進んでおり、お客さまからの要請はますます高まっていますが、この状況は当社の成長にとって好機ととらえています。

これまでにも増してお客さまとの連携を進め、お客さまのご要望やご期待にお応えしてまいります。最高水準の品質、技術、サービスの提供を通じて、全てのお客さまから最も信頼されるサプライヤーとご評価いただき、当社製品がさらに幅広く使用されるよう、なお一層の努力を続けてまいります。

 

各事業セグメントの現況と見通し

各事業セグメントの見通しや現在の取り組みについてご説明いたします。

●生活環境基盤材料事業

当社は、今秋に米国で塩化ビニルと苛性ソーダの新たな工場を稼働させます。そこでは最新鋭の技術が適用されます。この増設により塩ビの生産能力は年間40万トン増加しますが、これは世界の年間需要増加量の約30%に相当します。塩ビ製品は環境負荷の低い製品であり、加えて当社は、製造過程で出る二酸化炭素の削減に努めていきます。このようにして、当社は今後も塩ビ事業を伸ばしていきます。

●電子材料事業

半導体市場は、量、質、品種の3つの次元で目覚ましい拡大が見込まれています。当社は引き続き、生産能力の増強と製品開発に取り組んでいきます。その一環として、先端露光材料の新拠点を日本に設営します。半導体製造の新機軸が展開する中で、当社が培ってきた専門知識とノウハウを生かしていきます。当社は、半導体材料のオールラウンドの専門家として半導体産業に貢献していきます。車をはじめとして社会の電化が進み、いわゆるグリーントランスフォーメーションは後戻りしません。この分野でも当社は化学の力を余すことなく活用することで、顧客と産業の発展に貢献していきます。その一つの例として、当社は重希土類を全く使用せずに従来よりもさらに耐熱性の高い磁石を今年上市する予定です。

●機能材料事業

当社はさまざまな分野と用途で、より多く新製品を投入し、顧客の要望に応えていきます。そのために、珪素化学およびセルロース他の合成技術を極めていきます。これからも市場との接点をさらに増やすことで、当社の販売領域のさらなる拡大を図ります。製品開発に一層注力し、当社製品が用いられれば用いられるほど、産業や人々の暮らしがより良いものとなるよう努めていきます。

●加工・商事・技術サービス事業

このセグメントの事業は、当社グループのシナジー効果を高めることに貢献しています。

当社は二つの新しい事業を立ち上げました。一つはGaNデバイスのための新技術を展開するもので、もう一つは微小材料システムなる名称の下、ディスプレイパネルや照明デバイス、さらには半導体パッケージ基板製 造のための製造装置や材料を提供するものです。

 

サステナビリティに関して、先般、当社のサステナビリティ基本方針を改訂いたしました。引き続き人々の暮らしと産業を支えるエッセンシャルサプライヤーとして、その役割を果たしてまいります。

 

カーボンニュートラルへの取り組み

当社は2023年5月に2050年までに温室効果ガス排出量(スコープ1、スコープ2)を実質ゼロとするカーボンニュートラルを達成するための計画を発表しました。この計画の中軸を担うのは当社が綿々と取り組んできた生産における原単位の削減、製造プロセスから発生する熱の回収能力の向上、そしてエネルギー効率を高めることです。過去30年間で、当社は温室効果ガス排出量の生産量原単位を1990年比で半減しています。一方、当社は生産能力を拡大し続けながら事業を成長させています。その過程でエネルギー消費の絶対量は増加します。原料とエネルギーを使って生産を行う素材メーカーにとり、カーボンニュートラルの達成は大きな挑戦です。しかしながら、当社は生産性の向上と省エネルギーを止むことなく追及していきます。例えば、当社の製造には燃焼やクラッキングを要するものがあります。導入を検討すべき実用化が期待される先端技術や新たな試みが生まれてきており、これらを選択肢として計画に取り入れます。リサイクルも重要な役割を果たすもので、顧客や業界とともに推進していきます。使用するエネルギー(大部分が電気)について、幅広い調達の選択肢を検討し、供給先との協議を進めています。さらに、当社は燃料を天然ガスから水素に転換する経済的にも可能な技術を検討しています。太陽光発電、二酸化炭素回収・貯留プロジェクトについても評価を進めてい ます。これらの対策はコスト競争力を犠牲にせずに実施しなければなりません。コスト競争力を維持し、同時に客先の要請にお応えしながら、カーボンニュートラルを実現するために革新的であり続け、活用できるものは全て取り入れてまいります。

当社の日本国内生産拠点で運用している天然ガスコージェネレーションシステムは「コージェネ大賞2023」で最高位の賞を受賞しました。水力発電の地産地消型PPA※にも参加しています。一方、当社グループの製品の多くは、温室効果ガス排出量の削減に寄与し、エネルギー効率の向上と環境への負荷低減に貢献しています。日本政府はカーボンニュートラルにとって不可欠な14分野を挙げていますが、当社グループの製品の売上高の約7割がこの分野に向けたものです。対象となる分野には、住宅やインフラ、電気自動車、DX、GXなどが含まれます。
※「Power Purchase Agreement」の略。電力使用者が発電事業者から一定期間、単価を固定して電力を購入する契約形態

 

人的資本とダイバーシティ

働く人のプロの職業人としての能力を高め強化するために、私たちはさまざまな方法による人財への投資を行っています。ダイバーシティ推進の一環として、女性の独立社外取締役・監査役と女性社員による座談会を開催しました。その目的は、女性の活躍と仕事に関する意見交換を促進することです。日本の人口動態より、昨今のダイバーシティは、女性活用という働き手(量)の 話になりがちですが、私はむしろ多様な発想(質)が企業価値につながることを期待しています。

 

サプライチェーン全体の人権尊重

当社は責任あるサプライチェーンを構築するために、サプライヤーに「信越化学グループ人権方針」、「調達基本方針」、「CSR調達ガイドライン」をご理解いただくことに注力しています。その中で、差別を排除し、国際労働機関の労働基準を守り、不当な労働行為をさせないことに取り組んでいます。 また、全ての調達品から紛争や人権侵害などへの関与が明らかな鉱物を排除することも積極的に行っています。

 

働く人の安全の確保

従業員の安全は当社が事業を行う上での大前提です。現場でのゼロ災害を達成するために、潜在的な小さなミスや事故を排除する基本的なことを行っています。そのために、決められた規則や手順を必ず守り、危機に対する感性を高め、リスクを速やかに排除するという3つの行動指針を徹底しています。

 

ガバナンスとリスクマネジメント

取締役会は企業統治の中核です。取締役会は取締役9名で構成され、うち5名は独立社外取締役(うち、米国人1名、女性1名)です。また、当社には監査役会があります。監査役4名のうち3名は独立監査役(うち、女性2名)となっております。皆さまには、株主還元、投資、サステナビリティなどをはじめ当社の重要案件について審議に参加していただき、提言や指摘をいただいています。また、世界情勢や経済の不確実性を考えると、リスク管理は非常に重要です。当社では、設備投資や原材料調達においてカントリーリスク等の評価を重視しております。さらに情報セキュリティを強化し、サイバー攻撃や情報漏えいへの対策にも鋭意取り組んでおります。

 

社会の皆さまのよきパートナーとして

お客さまと株主の皆さま、そして地域社会に寄与し続けていくために、私たちは成長し続けなければなりません。当社はお客さまとお客さまのご要望に焦点を合わせ、企業統治により株主の皆さまにとり良き投資先であり続け、地域社会ではその責任を果たしてまいります。
 株主の皆さまからのご信頼とお客さまのパートナーシップに厚く御礼申し上げ、信越化学グループに働く全ての皆さんの仕事への真摯な取り組みに感謝いたします。

 

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長 斉藤 恭彦

情報開示方針


1. 基本方針

当社は、株主・投資家の皆さまに対する適時適切な会社情報の開示が、当社に対する理解の促進と適正な市場評価につながるとの認識のもと、金融商品取引法および当社が上場している証券取引所の定める有価証券上場規程に従い、公平かつ透明性のある情報開示を行います。

 

2. 情報開示方法

有価証券上場規程が定める重要事実に該当する情報は、東京証券取引所の適時開示情報伝達システム(TDnet)、当社ホームページ、および関係する記者クラブでの発表を通じて公開しています。

また上記以外にも、株主・投資家の皆さまの投資判断に実質的な影響を与えると考えられる情報や、当社の理解を深めていただく上で有用と考えられる情報は、本ホームページを通じて公平かつ迅速に開示していきます。

 

3. 将来の業績見通しに関する事項

当社が開示する情報のうち、将来の業績予想などに関する見通しを含むものは、公表時点で入手している情報による判断および仮定に基づいた見通しであり、リスクや不確実性を含んでいます。このため、さまざまな要素により実際の業績などが変動する可能性があることをご承知おき下さい。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、当社および当社グループ会社の事業領域をとりまく経済情勢、市場の動向、為替レートの変動などが含まれます。ただし、業績に影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。

 

4. 沈黙期間

当社は、決算情報の漏洩を防ぎ、公平性を確保するために、四半期ごとの決算期日の翌日から決算発表日までを沈黙期間として定めています。この期間は、決算に関するお問い合わせへの回答やコメントは差し控えさせていただきます。ただし、この期間中に有価証券上場規程の開示規則に該当する事実が発生した場合には、適時適切に開示します。

IR活動の基本方針


IR活動を通じて、当社の事業と経営を正確にご理解いただくとともに、株主・投資家の皆さまとの対話を重ね、ご意見に耳を傾けて経営に生かしてまいります。

情報開示方針


1. 基本方針

当社は、株主・投資家の皆さまに対する適時適切な会社情報の開示が、当社に対する理解の促進と適正な市場評価につながるとの認識のもと、金融商品取引法および当社が上場している証券取引所の定める有価証券上場規程に従い、公平かつ透明性のある情報開示を行います。

 

2. 情報開示方法

有価証券上場規程が定める重要事実に該当する情報は、東京証券取引所の適時開示情報伝達システム(TDnet)、当社ホームページ、および関係する記者クラブでの発表を通じて公開しています。

また上記以外にも、株主・投資家の皆さまの投資判断に実質的な影響を与えると考えられる情報や、当社の理解を深めていただく上で有用と考えられる情報は、本ホームページを通じて公平かつ迅速に開示していきます。

 

3. 将来の業績見通しに関する事項

当社が開示する情報のうち、将来の業績予想などに関する見通しを含むものは、公表時点で入手している情報による判断および仮定に基づいた見通しであり、リスクや不確実性を含んでいます。このため、さまざまな要素により実際の業績などが変動する可能性があることをご承知おき下さい。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、当社および当社グループ会社の事業領域をとりまく経済情勢、市場の動向、為替レートの変動などが含まれます。ただし、業績に影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。

 

4. 沈黙期間

当社は、決算情報の漏洩を防ぎ、公平性を確保するために、四半期ごとの決算期日の翌日から決算発表日までを沈黙期間として定めています。この期間は、決算に関するお問い合わせへの回答やコメントは差し控えさせていただきます。ただし、この期間中に有価証券上場規程の開示規則に該当する事実が発生した場合には、適時適切に開示します。