経営方針

(アニュアルレポート2023より)

社長メッセージ

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長
斉藤 恭彦

お客さまや社会の課題解決に資する
製品提供に当社の力を結集し、
持続的な成長を実現してまいります

 

 

 

 

 

 

当社の強みを発揮して歴史的な成長を達成

当社は2023年3月期(2022年度)の決算で、これまでの実績を大幅に塗り替える歴史的な成長を達成しました。

この成果は、製品構成、技術力、事業を推進する力、そして熟達した人財など、当社が長年にわたり培ってきた力によるものです。売上、利益、そして主要な経営指標において記録を塗り替えるとともに、持続可能な社会の実現にも貢献することができました。

経常利益グラフ

 

株主還元と今後の成長について

この実績により財務基盤もより一層強化されましたので、年間配当金を一株当たり500円とすることとし公表しました(株式分割前)。これは前年に対して25%の増配で、当社の歴史の中で最も高い配当金になります。株主の皆さまによる日頃のご理解とご支援に対し、心からの感謝の気持ちを表するものです。

株主や投資家の皆さまは、この歴史的な利益水準の維持と成長に関心をお持ちと拝察します。この点につきまして、私たちはお客さまの課題解決に資する製品を提供することを使命とし、そこに力を集中しておりますことをお伝えします。当社は、お客さまの課題の解決への取り組みを絶え間なく進めています。変革が急速に進展しお客さまからの要請はますます高まっていますが、この状況は当社の成長への好機ととらえています。これまでにも増してお客さまとの協働を進め、お客さまのご要望やご期待にお応えしてまいります。最高水準の品質、技術、サービスの提供を通じて、全てのお客さまから最も信頼されるサプライヤーとご評価いただけるよう、なお一層の努力を続けてまいります。

 

各事業セグメントの現況と見通し

各事業セグメントの見通しや現在の取り組みについてご説明いたします。

●生活環境基盤材料事業

塩ビ事業が有する生産能力とコスト競争力をさらに磨き上げ、その強みを生かしながら製品の用途をさらに拡大してまいります。とりわけ社会的な要請の高まっている環境保全に資するインフラストラクチャー向け素材の強化に注力します。同時に製造過程における温室効果ガス排出量の削減を進めてまいります。

●電子材料事業

半導体デバイスの需要は、これからも拡大していきます。その成長は数量の面だけでなく質の面でも進展しており、当社は引き続き生産能力の増強と製品の開発に力を注いでまいります。また、進化を続けるデバイスの新しい製造方法に、当社が培ってきました専門知識とノウハウを生かしてまいります。あらゆるものの電化が急速に進展し、グリーントランスフォーメーションは不可逆的です。この分野でも私たちは化学の力を余すことなく活用することで、お客さまと産業の発展に貢献してまいります。主要国では経済の安全保障に舵を切り始めました。こうした事業環境の中で私たちは重要な使命を果たしてまいる所存です。

●機能材料事業

当社はこの事業では多岐にわたる分野に新しい製品を投入することに加え、お客さまのご要望にお応えできる力をさらに研鑽してまいります。これからも産業や市場との接点をさらに増やすことで、当社の販売領域のさらなる拡大を図ります。製品の開発に一層注力し、当社の製品が用いられれば用いられるほど、産業や人々の暮らしがより良いものとなるよう努めてまいります。

●加工・商事・技術サービス事業

このセグメントの事業は、当社グループ内のシナジー効果を高めることに貢献しています。

 

社会の皆さまのよきパートナーとして

当社は本年5月、カーボンニュートラル計画を発表しました。持続可能な社会の実現に向けて、世界の産業と人々の生活を支えるエッセンシャルサプライヤーとして、当社の役割を積極的に果たしてまいります。

お客さまと株主の皆さま、そして地域社会に寄与し続けていくためには、持続的な成長が不可欠です。当社はお客さまのご要望やご期待に焦点を合わせ引き続きお客さまのご要望にお応えすることに注力してまいります。企業統治を着実に行うことで、株主の皆さまにとり良き投資先であり続け、地域社会においても責任を果たしてまいります。

 

金川経営の継承と皆さまへの感謝

当社の成長を率いてきた前会長の金川が今年の初めに逝去しました。私たちは金川経営を受け継ぎ、常に前を向き力強く歩んでまいります。新任を迎えた取締役会においても、この課題に取り組んでまいります。株主の皆さまからのご信頼とお客さまのパートナーシップに厚く御礼申し上げ、信越化学グループに働く全ての皆さんの仕事への真摯な取り組みに感謝します。

代表取締役社長 斉藤恭彦
代表取締役社長 斉藤 恭彦

 

事業等のリスク


有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)においては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることにより、リスクの軽減を図っております。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、記載した事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

 

1. 経済動向および製品市況による影響

当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。 当社グループは事業の多角化・グローバル化等によってそのリスクをヘッジしていますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

2. 為替相場の変動による影響

2023年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は81%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、同様な可能性があります。

 

3. 自然災害・事故災害、感染症等の影響

当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めています。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備等が損害を被ったり、サプライチェーンの分断が発生した場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

4. 公的規制

当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

5. 資材等の調達

当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めていますが、これらについて供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の変更、また、それらに伴う価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

6. 急速な技術革新

当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速で、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めています。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、上記以外の業界向け製品についても、競争力の高い代替製品の出現により、同様の影響を及ぼす可能性があります。

 

7. 環境問題について

各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、効率を極めることにより、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでいます。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、技術的に対応が難しくなったり、大きな新たな設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

8. 製造物責任

当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

IR活動の基本方針


IR活動を通じて、当社の事業と経営を正確にご理解いただくとともに、株主・投資家の皆さまとの対話を重ね、ご意見に耳を傾けて経営に生かしてまいります。

情報開示方針


1. 基本方針

当社は、株主・投資家の皆さまに対する適時適切な会社情報の開示が、当社に対する理解の促進と適正な市場評価につながるとの認識のもと、金融商品取引法および当社が上場している証券取引所の定める有価証券上場規程に従い、公平かつ透明性のある情報開示を行います。

 

2. 情報開示方法

有価証券上場規程が定める重要事実に該当する情報は、東京証券取引所の適時開示情報伝達システム(TDnet)、当社ホームページ、および関係する記者クラブでの発表を通じて公開しています。

また上記以外にも、株主・投資家の皆さまの投資判断に実質的な影響を与えると考えられる情報や、当社の理解を深めていただく上で有用と考えられる情報は、本ホームページを通じて公平かつ迅速に開示していきます。

 

3. 将来の業績見通しに関する事項

当社が開示する情報のうち、将来の業績予想などに関する見通しを含むものは、公表時点で入手している情報による判断および仮定に基づいた見通しであり、リスクや不確実性を含んでいます。このため、さまざまな要素により実際の業績などが変動する可能性があることをご承知おき下さい。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、当社および当社グループ会社の事業領域をとりまく経済情勢、市場の動向、為替レートの変動などが含まれます。ただし、業績に影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。

 

4. 沈黙期間

当社は、決算情報の漏洩を防ぎ、公平性を確保するために、四半期ごとの決算期日の翌日から決算発表日までを沈黙期間として定めています。この期間は、決算に関するお問い合わせへの回答やコメントは差し控えさせていただきます。ただし、この期間中に有価証券上場規程の開示規則に該当する事実が発生した場合には、適時適切に開示します。