サステナビリティの重要課題

サステナビリティの重要課題

サステナビリティの重要課題 主な取り組み
気候変動
人材戦略

サステナビリティの重要課題の特定

サステナビリティ委員会は2015年度に、当社グループが特に注力すべき取り組みを「サステナビリティの重要課題」として定めました。その後、2018年12月に、当社の全部門および国内の主要グループ会社において、重要課題と重要性について見直しを実施し、その内容についてサステナビリティ委員会で再検討しました。その結果、2015年に特定した重要課題を継承することとし、現在も全ての活動の礎である「法令遵守、公正な企業活動」をはじめとした9つの重要課題を特に注力すべき取り組みとしています。

当社では今後も、当社グループがおかれる外部環境の変化や、サステナビリティに関する国内外の動向を鑑みながら、当社グループの活動状況を踏まえ、サステナビリティ委員会において適宜見直していきます。

1.サステナビリティの重要課題の洗い出し

2015年12月、サステナビリティ委員会では、当社の全部門および国内の主要グループ会社に対して以下の調査を行いました。

  1. 各部門、各社におけるステークホルダーを再確認し整理する。
  2. ISO26000の中核主題を参考に、各部門、各社でサステナビリティの重要課題を挙げる。
  3. 各重要課題に対する当社グループにとっての重要度およびステークホルダーにとっての重要度を、それぞれ点数化する。

2.サステナビリティの重要課題の散布図の作成と課題の整理

2016年1月、各部門、各社から提出された重要課題と重要度の点数を元に、サステナビリティ委員会は重要課題の散布図を作成しました。その結果、大半の重要課題が「非常に重要」に集中する結果となりました。

サステナビリティ委員会は、挙げられた重要課題を整理しました。さらに、この散布図の重要度も反映したサステナビリティの重要課題の案を作成しました。

ステークホルダーにとっての重要度と当社グループにとっての重要度を軸に、「環境」「社会」「組織、体制」「事業」の項目ごとに配置

3.社外取締役へのヒアリング

2016年1月、作成した案を元に、社外取締役全員に個別にヒアリングを行いました。その中で、以下のような意見、指摘がありました。

  1. 法令遵守は、全ての課題に関係するのではないか。
  2. 挙げられたサステナビリティの重要課題は当社グループにとって全て等しく重要であり、順位を付けることは難しい。
  3. サステナビリティの重要課題の特定と同時に、当社グループが最終的に何を目指しているのかも打ち出したほうがよい。

4.サステナビリティ委員会における再検討と機関決定

社外取締役の意見と指摘を踏まえ、サステナビリティ委員会で重要課題に関する再検討を行いました。さらに、全役員による業務執行の決定機関である常務委員会でも審議を行い、当社グループのサステナビリティの重要課題を上の図に示した項目とすることを決定しました。

さらに、2018年12月に、当社の全部門および国内の主要グループ会社が見直したそれぞれの重要課題と重要性を、サステナビリティ委員会で検討の結果、2015年に特定した重要課題を継続することを決定しました。

当社グループは、これら全てのサステナビリティの重要課題には順序を付けず、等しく取り組んでいきます。

サステナビリティの重要課題のリスクと機会

信越化学グループは、全ての重要課題に対してリスクと機会を認識し、それぞれに対処しています。

重要課題 リスクと機会(代表例) 課題に対する主な取り組み
全ての活動の礎:法令遵守、公正な企業活動 リスク
  • 法令違反や不正の発生による企業経営への影響。
  • 社会からの信頼の喪失による企業価値の毀損。
  • 研修などを通じた役員および従業員へのコンプライアンス意識の徹底
  • 贈収賄の防止に関し、不当な便宜の供与や要求を絶対に行わないことを徹底するとともに、海外グループ会社各社で社内規程を整備
  • 反社会的勢力との関係を遮断
  • 下請事業者との望ましい取引慣行の遵守
  • 「パートナーシップ構築宣言」への賛同

KPI(2024年度実績)
法令違反件数:0件

機会
  • 法令遵守と公正な企業活動を徹底することで、

    ①企業価値の礎の形成。

    ②リスクの排除。

    ③顧客からの信頼の醸成と商機の拡大。

    ④優秀な人材の採用と定着につながること。

働く人の安全の確保と健康の促進 リスク
  • 事故、環境問題が地域社会と従業員に与える影響。
  • 台風、地震などの自然災害による設備への損害。
  • 感染症の流行に伴う操業への影響。
  • 防災訓練や教育講座などを通じた従業員への安全教育の実施
  • 環境保安監査の実施
  • 職場環境の改善や健康の促進

KPI(2024年度実績)
業務中に死亡した従業員数:0人(連結)
重大事故:0件(連結)
休業災害度数率:0.13(国内)、0.08(海外)
休業災害強度率:0.00(国内)、0.00(海外)

機会
  • 事故を未然に防ぐための対策と新しいプロセス開発が、安全な職場環境の形成ならびに安定生産と生産性の向上を可能にすること。
  • 優秀な人材の採用と定着。
  • 自然災害を想定した工場の設計とリスク対策による、操業継続、安全な操業停止と再稼働。
  • 従業員の健康増進とワークライフバランスの実現。仕事へのやりがいと充実感の醸成。
省エネルギー、省資源、環境負荷の低減 リスク
  • 温室効果ガス排出に関する規制の強化による追加費用の負担。
  • 原料の価格上昇、必要量の調達が困難になる。
  • 水の枯渇や洪水などの水リスクの増大。
  • 環境負荷低減の推進
  • 廃棄物削減
  • 汚染物質対策
  • 気候変動への対応
  • 資源循環
  • 水資源の保全、水質汚濁物質の削減
  • 生物多様性保全

KPI(2024年度実績)
温室効果ガス排出量(スコープ1+スコープ2):6,770千CO2-t
1990年比生産量原単位指数:56.9%(信越化学グループ)、48.6%(信越化学)
エネルギー使用量の生産量原単位平均年率:0.9%削減
取水量原単位平均年率:7.9%削減
BOD排出量原単位平均年率:8%削減
廃棄物最終埋め⽴て処分率:0.86%(国内連結)
大気汚染物質の生産量原単位平均年率:ばいじん14.1%増加、SOx1.3%増加

機会
  • 絶え間のない技術革新への挑戦が「ものづくり力」を高めることにつながる。
  • 省エネルギー、省資源、環境負荷の低減と生産性の向上による競争力強化。
  • 環境に貢献する製品の需要の拡大。
  • 水を循環利用する技術開発は事業の継続性に貢献。
製品の品質の向上、
製品の安全性管理
リスク
  • 品質問題による信頼喪失。
  • 製品の安全性に係る直接的、間接的な影響。
  • 品質管理
  • 品質監査、支援
  • 製品の安全性管理
  • 品質保証、検査の自動化推進(人的関与の削減)
  • 検査バラツキ、規格幅の統計的妥当性の検証
機会
  • 約束した品質の製品を期日どおりに納入し続けるという実績は、お客さまからの信頼を高めることにつながる。
  • 製品の安全性確保への誠実な取り組みと実績の積み重ねが、顧客と社会からの信用につながる。
CSR調達の推進、
原料調達の多様化
リスク
  • 原材料が調達できないことによる製造の停⽌、顧客への出荷への影響。
  • サプライチェーンでの問題発生。
  • 「信越化学グループCSR調達ガイドライン」を策定し適宜改訂する
  • 講習の受講や内部監査による下請法の遵守
  • 紛争鉱物排除の取り組み
  • お取引先へのサプライヤーCSR調達調査票の実施
  • RSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」への参加
機会
  • 調達先を多様化することで、安定した調達、最適価格での購買、公正な取引による原材料などの調達が可能になる。
  • CSR調達を徹底することによる、顧客と社会からの信頼につながる。
人間尊重、人材育成、多様性の推進 リスク
  • 自社の事業活動やサプライチェーンにおける人権侵害の発生。
  • OJTの実効性における差や偏りが生じること。
  • 実績主義がもたらす負の影響の発生。(短期成果に重点をおくことや部署によって評価に偏りが生じること、外的要因による実績低下など)
  • 働き方の多様化に対するニーズに応えられないことによる離職率の上昇や求職者の減少。
  • 世界人権宣言に基づいた人権尊重の推進。
  • 人権デューデリジェンスの実施。
  • 研修制度を通じた個人の成長支援の強化。
  • 上司と部下のコミュニケーションの促進。
  • 能力開発に主眼を置いた評価報酬制度の浸透促進。
  • 性別や年齢にかかわらず活躍できる環境の整備。
  • ワークライフバランス制度の充実。

KPI(2024年度実績)
児童労働件数:0件
強制労働件数:0件

採用時の女性比率:事務系52.6%、技術系9.0%(信越化学および出向者)
係長を含む女性の管理職者数2014年度比:4.00倍(信越化学および出向者)

機会
  • 人権尊重を推進することで市場評価の向上。
  • OJTを通じて実践力を養った優れた人材の活躍。
  • 知識や技能、経験の蓄積。
  • 目標達成に向けた高い挑戦意欲がもたらす組織活力の維持向上。
  • 有能な人材の採用、育成、抜擢による事業の成長と新規事業の育成。
知的財産の尊重と保護 リスク
  • 当社の知的財産が侵害されたことによる、製品販売への悪影響。
  • 他者の特許による当社の製品販売と事業への制約。
  • サイバー攻撃による生産、販売、研究活動への影響。
  • 情報漏洩の発生による当社への信頼の喪失。
  • 知的財産の管理
  • 情報資産の管理
  • 個人情報保護の取り組み
  • サイバーセキュリティーの取り組み
機会
  • 当社の知的財産を守り活用することで、製品開発と独自の製造方法を促進。
  • 発明を公開することによる、産業の発展と社会への貢献。
  • 情報資産の保護と管理、サイバー攻撃への対策を徹底した上で、デジタル技術を活用し、技術の革新と業務の改革を実現。
社会貢献活動 リスク
  • 社会貢献活動が地域の要望と合致しないことによる、地域社会からの信頼の喪失。
  • SDGsが目指す持続可能な世界の実現の遅れが世界に与える影響。
  • SDGsのゴールとターゲットへの貢献
  • 国連「世界難民の日」募金活動
  • 工場周辺の清掃活動を実施
  • 松林の再生プロジェクトに参加
  • 工場近隣の小学校のスポーツの振興と子どもたちの健全な成長を支援
  • 交通立哨活動
  • 工場近隣の小学生にサマースクールを開催
  • 海外グループ会社の社会貢献活動
機会
  • 事業が発展することによる雇用機会の創出と安定雇用、納税による貢献。
  • 地域社会との対話と継続的な活動による信頼関係の醸成。
  • 事業を通じたSDGsの課題解決に取り組むことで、より良い世界の実現に貢献。
適時、的確な情報開示、ステークホルダーとの対話 リスク
  • 情報の非開示や不十分な開示による企業価値の毀損。
  • 説明責任を果たさないことによる、ステークホルダーをはじめとする社会からの信用の喪失。
  • 適時、的確な会社情報の開示
  • ステークホルダーとの対話
  • 決算発表後のアナリスト、投資家との電話会議へのマスメディアの参加
  • 展示会の開催
機会
  • 適正な市場評価の形成と企業価値の向上。
  • ステークホルダーと社会からの信頼の獲得。