省エネルギー、省資源、環境負荷の低減

方針

省エネルギーと資源の有効利⽤をさらに推し進め、地球の未来のために、さまざまな環境課題の解決に向けて対応します。

課題の認識

気候変動への具体的な対策、限りある資源の有効利⽤、サーキュラーエコノミー*は、企業が取り組む重要な課題と認識しています。信越化学グループでは、省エネルギーと資源の有効利⽤、製造⼯程における環境負荷の低減に取り組み、地球環境に貢献するだけでなく、当社の競争⼒を⾼め永続的な発展につなげていきます。

  • *サーキュラーエコノミー
    利用後の廃棄物を別の事業の資源にしたり再活用するなど、既存の資源を再生し、循環させていく経済活動

水資源の保全、水質汚濁物質の削減

2022年度
目標:取水量を原単位で平均年率1%削減する。
水質汚濁物質の排出量を、原単位で平均年率1%削減する。

実績:2019年度から2022年度までの年平均率は取⽔量16.8%削減、BOD排出量は4.9%削減。
評価:目標達成。

2023年度
目標:取水量を原単位で平均年率1%削減する。
水質汚濁物質の排出量を、原単位で平均年率1%削減する。

実績

世界では水が不足している地域があり、国連環境計画は、2025年には一部の地域で水不足がさらに深刻になると予測しています。

信越化学グループの主な生産拠点は、比較的水が豊富な地域にあります。しかしながら、世界での水不足への取り組みは当社が取り組むべき重要な課題と認識しています。

当社グループは水リスク評価を行うとともに、取水量の削減や水のリサイクル利用の徹底、排水の浄化処理と水質管理の徹底など、水資源の保全に向けた技術の研鑽に積極的に取り組んでいます。2022年度は、CODを多く排出する海外拠点の排水の二次処理を当社グループ会社で行った結果、COD排出量が大幅に削減しました。

また、水は極限までリサイクルすることに取り組んでおり、最終的に排水される水についても適正な処理を行い、水質汚濁物質に関する規制値を遵守し、水質分析により確認しています。

取水量の推移

取水量の推移

循環水量の推移

循環水量の推移

BOD排出量の推移

BOD排出量の推移

COD排出量の推移

COD排出量の推移

関連情報

サステナビリティデータ集

信越化学 群馬事業所の水資源保全の取り組み

信越化学 群馬事業所では、シリコーンを中心とした高機能材料の生産を行っています。群馬県の南西部という内陸にあることから、生産に必要な水のほとんどを周囲の河川から取水し、工場から出る水は浄化処理を行い河川に戻しています。

群馬事業所は自然豊かな環境にあります。周囲の河川の下流には首都圏があり、それらの河川は首都圏住民の生活や工業、農業を支えています。化学製品の製造には大量の水を必要としますが、同事業所は河川からの取水を最小限に抑えて、貴重な水資源の保全に努めています。そのために、取水を事業所内で再生循環させて、製造工程や冷却水などに可能な限り再利用しています。

また、河川への放流の際には浄化処理を行うとともに、水質の管理を徹底しています。水処理設備の運転状態を常時モニタリングし、最適な状態を保つように努めています。定期的に放流水の水質分析を行い、高い水準で基準を遵守していることを確認しています。処理設備の自然災害への対策として、豪雨時の雨水流入防止のために雨水を分離しています。さらに、2014年からは大規模地震を想定した耐震補強工事などを行っています。

群馬事業所では今後も限られた水資源を有効に利用するとともに、河川の上流に立地する工場としての責任を果たしていきます。

工場での蒸気と電気の流れ

信越化学 群馬事業所の水の流れ(2022年度)

海外グループ会社での雨水の利用

世界的に水資源の保護がうたわれる中、アジア シリコーンズ モノマー社(タイ)では、雨量が大変多いタイに立地していることを生かして、会社設立当初から雨水を活用しています。

敷地内の貯水槽に雨水をためて、工業用水などの原水やガス焼却炉の冷却水として利用しています。また、常に一定量をためておき、万が一の時の消火水としても利用できるようにしています。さらに、当社グループのシンエツ シリコーンズ タイランド社や隣接している関係企業にも、この雨水を利用した工業用水などを供給しています。

海外グループ会社での雨水の利用 写真1

海外グループ会社での雨水の利用 写真2

廃棄物削減

2022年度
目標:廃棄物ゼロエミッション(廃棄物発生量に対する最終埋め立て処分量の割合1%以下)の達成。
実績:国内連結の廃棄物最終埋め⽴て処分率は1.05%
評価:国内連結で目標達成

2023年度
目標:廃棄物ゼロエミッションの達成。
原単位による廃棄物発生量の削減の推進。

  • ※廃棄物削減目標の対象は国内連結会社です。

実績

2022年度は2021年度に比べて、国内の廃棄物発生量は微減し、再資源化率は増加しました。2022年度は、製造プロセスの改善による廃棄物発生量の削減や、マテリアルリサイクルなどに取り組みました。

なお、廃棄物の処理は外部の廃棄物処理業者に委託しています。委託先の処分業者の現地確認を定期的に行うなど、適切に処理されていることを確認しています。

廃棄物再資源化量の推移

廃棄物再資源化量の推移

国内

海外

廃棄物最終処分量の推移

廃棄物最終処分量の推移

国内

海外

廃棄物の処理フロー(国内)

廃棄物の処理フロー

  • ※国内と海外では廃棄物の定義が異なるため、グラフを分けて表示しています。
  • ※廃棄物の処理フローの図は国内連結の集計です。

関連情報

サステナビリティデータ集

資源循環

当社グループでは、お客さまや関連の業界団体とも協力し、最新の技術を駆使して使用済みの製品を回収し資源を取り出して当社グループの製品に再利用しています。この取り組みにより、お客さまと当社グループの廃棄物を削減することができます。さらに、資源の再利用により環境の保全にも貢献しています。

レア・アースマグネットのリサイクル

当社グループでは原料からさまざまなレア・アースを取り出す分離精製技術を用いて、レア・アースマグネットの原料からの一貫生産をしています。

原料の安定調達を図るための対策の一つとして、2007年からレア・アースマグネットの加工工程で出る磁石粉のリサイクルを行ってきました。さらに、2013年3月からはこの技術を発展させて、資源の再利用のために回収された省電力エアコンやハイブリッドカーに使用されているレア・アースマグネットのリサイクルにも取り組んでいます。

これらの取り組みによって、レア・アースという貴重な資源の安定的な確保と、資源開発に伴う環境負荷を低減することが可能になります。当社グループのレア・アースマグネットは省エネルギーにも貢献する循環型製品として、経済的にも社会的にも大きな貢献をしています。

レア・アースマグネットのリサイクルの流れ

レア・アースマグネットのリサイクルの流れ

塩ビ製品のリサイクル

塩ビを使用した製品は、リサイクルが進んでいます。さまざまなリサイクルの方法がありますが、最も多く行われているのはマテリアルリサイクルです。

マテリアルリサイクルは、使用済みの塩ビ製品を原料にして新しい塩ビ製品に再生する方法です。塩ビ管や床材などの塩ビ製品は、異物混入の影響も小さいため、さまざまなマテリアルリサイクルが実施されています。中でも、使用済みの塩ビ管や継手の6割が再び塩ビ管および継手に再生され、農業用フィルムは7割が床材として再生されています。

塩ビ製品の再資源化例

塩ビ製品の再資源化例

関連情報

塩ビ工業・環境協会

シンテック社が Vinyl Sustainability Council (VSC) の
Vantage Vinyl 認証を取得

塩ビ製品の再資源化例

Vinyl Sustainability Council (VSC) は、北米の持続可能性と関連問題に対処するビニール業界の取り組みをさらに推進するために、2016年に設立されました。シンテック社は2016年にVSC に参加し、業界全体の継続的な改善につながる先進的な実践とイノベーションの開発と実装に協力してきました。これらの努力により、同社は2019年に認証プログラムが開始された初年度にVantage Vinyl認証も取得し、それ以降も毎年取得しています。VSCには、プログラムをさらに推進するために数々の委員会があり、多くの人がこのプログラムに参加しています。各会員企業は、リサイクル、HSE (健康、安全、環境)、排出(土壌、大気、水への)といった3つのカテゴリーの活動に参加する必要があり、各カテゴリの下にサブ委員会を設けることができます。塩ビは持続可能な素材の 1 つであり、リサイクルも進んでいます。私たちは今後も VSC と協力して、塩ビの持続可能性と私たちが取りくもうとしていることを世界に理解してもらえるよう努めていきます。

関連情報

Vinyl Sustainability Council

製品輸送用梱包箱のリサイクル利用

当社は2018年度から、放熱シリコーングリースの輸送用梱包箱のリサイクルを開始しました。

放熱シリコーングリースの品質を安定させるためには、冷凍状態で輸送しなければなりません。そのため、従前は使い捨て梱包箱にドライアイスを使用して冷却し、輸送していました。当社は顧客と協力して研究を重ねた結果、最適な温度を維持しながら何度もリサイクルできる梱包箱を新たに開発しました。この新しい梱包箱によってドライアイスが不要となったため、年間28.2トンの二酸化炭素を削減することにも成功しました。

社員の取り組み

シンテック社ルイジアナ工場(アメリカ)環境部門 LFさん

シンテック社ルイジアナ工場(アメリカ)
環境部門
LFさん

1.担当業務を教えてください。
環境コンサルティングエンジニアとして入社し、現在は当社工場の環境管理責任者を務めています。具体的には、当社の環境専門家チームの統括、環境報告書の作成とレビュー、工場内の環境に関する懸念事項への対応、環境教育の実施です。また、大気、水、廃棄物などに関する規制への対応も行っています。

2.工場は環境への影響をどのように管理していますか?
当社では、環境保護は全員の責任であり、環境負荷低減への取り組みは従業員の評価を行う上で重要な指標の一つであると考えています。製造現場では、社内および社外の環境要件への準拠状況の確認のために、各ユニットで毎週、環境検査を実施しています。各ユニットの検査結果を毎月環境部門が確認し、四半期ごとに各ユニットとミーティングを行い、今後の取り組みについて話し合っています。また、シンテックのルイジアナ工場には、当社の環境対応のさまざまな側面に焦点を当て、提案された変更と実施案について環境管理部門および経営陣に直接報告や指摘をする内部監査人がいます。また、当社は、大気、水、および廃棄物の要件を遵守するために、現地の規制当局による検査にも対応しています。これらの検査により発見された潜在的な環境リスクについては、製造現場に伝えています。その他、当社は工場の建設中に、周辺の湿地や森林地帯に影響を与えないような対策を施し、ルイジアナ州の豊かな自然資源への影響を最小限に抑えています。

3.シンテックの省資源への取り組みについて教えてください。
廃棄物削減は、当社での研究、製造プロセス設計、および生産活動における主要な考慮事項です。安全や歩留まり、損害防止と同様に重要である、と経営陣は考えています。また、当社は塩ビメーカーとして、プラスチック製品の使用に注意を払っています。現在、工場で使用されるプラスチックのリサイクルへの取り組みはその一環です。最近では、製造工程で使用される化学品の梱包材であるプラスチックバッグと容器のリサイクルにつながるプロジェクトを開始しました。
また、水の使用量を抑えるために、当社は冷却塔に閉鎖系の循環システムを導入して水の再利用を行っています。さらに、当社のいくつかの工場では、処理された廃水の一部を製造工程に戻して再利用し、雨水の有効活用もしています。
その他、廃熱の利用やその他の熱回収により、大気への化学物質の排出減や化石燃料の使用量の削減にも取り組んでいます。更に設備上で 天然ガスの代わりに水素を使用するための改修工事も開始しました。塩水を電気分解して塩素を得るための電解工程で水素が生成されます。今まで工場のボイラーで使用していた天然ガスの代わりとするか大気に放出していた水素ですが、他の工程でも燃焼時の天然ガスを代替、補完の拡大を図ると同時に、利用方法について他社との提携を検討しています。

4.従業員への環境負荷低減対策の教育は行っていますか?
当社はすべての従業員に対して毎年研修を実施しています。また、資源保全の取り組みについて各ユニットと会合を持ち、環境負荷を減らし、製造設備の運転方法を改善するためのベストな実行案やアイデアを共有しています。私たちは当社の工場で働く人々だけでなく、工場周辺の地域社会に対しても、環境に配慮する責任があると考えています。

5.省資源に関して、今後注力していきたいことは何ですか?
今後は、水素を活用することによる温室効果ガスの排出削減や大気汚染物質の排出量の削減、製造設備の運転方法の改善による化石燃料使用量の最小化、原材料の使用原単位向上による廃棄物の削減の3点に注力します。環境問題への意識を高め、我々の働く、製造設備や地域社会をより良くするための活動に携わります。また、当社の従業員と関係者を教育するためのトレーニングプログラムの改善にも、引き続き取り組んでいきます。