省エネルギー、省資源、環境負荷の低減

水資源の保全、水質汚濁物質の削減

2020年度
目標:取水量を原単位で平均年率1%削減する。
水質汚濁物質の排出量を、原単位で平均年率1%削減する。

実績:2018年度から2020年度までの年平均率は取水量3.2%増加、BOD排出量は3.5%削減。
評価:取水量は目標を未達成、BODは達成。

2021年度
目標:取水量を原単位で平均年率1%削減する。
水質汚濁物質の排出量を、原単位で平均年率1%削減する。

実績

世界では水が不足している地域があり、国連環境計画は、2025年には一部の地域で水不足がさらに深刻になると予測しています。

信越化学グループの主な生産拠点は、比較的水が豊富な地域にあります。しかしながら、世界での水不足への取り組みは当社が取り組むべき重要な課題と認識しています。

当社グループは水リスク評価を行うとともに、取水量の削減や水のリサイクル利用の徹底、排水の浄化処理と水質管理の徹底など、水資源の保全に向けた技術の研鑽に積極的に取り組んでいます。

また、水は極限までリサイクルすることに取り組んでおり、最終的に排水される水についても適正な処理を行い、水質汚濁物質に関する規制値を遵守し、水質分析により確認しています。

取水量の推移

取水量の推移

循環水量の推移

循環水量の推移

BOD排出量の推移

BOD排出量の推移

COD排出量の推移

COD排出量の推移

関連情報

サステナビリティデータ集

環境データ集

社員の取り組み

信越化学 直江津 環境保安部 TSさん

信越化学 直江津
環境保安部
TSさん

工場からのさまざまな排出を適切に管理しています

1.担当業務を教えてください。
当社グループの工場での生産工程からはさまざまな物質が排出されますが、法令の規制値の遵守に留まることなく、積極的な環境改善に取り組んでいます。工場の課題として主に生産工程からの廃水の工場外への放流リスクの低減に取り組んでいます。具体的には、排水系統の最適化、生産工程からの排水と雨水の分離、放流水の水質改善などです。

2.直江津工場では、どのようにBODやSS*1低減に取り組んでいるのですか。
当工場では生産工程で発生する高濃度のBODやSSを含む廃水を、生物処理設備(嫌気性処理、好気性処理)や沈降処理設備で、排出基準未満に処理、調整した後に河川に放流しています。現在、生物処理の効率化と処理能力の増強、排水系統の見直しや最適化によって、BODやSSの河川への放流リスクの低減を進めています。合わせて、早期の異常検知によって環境汚染のリスクを低減するため、工場の排水溝の各所でのTOC*2、濁度*3、pH*4の計測監視の機器類も増強しています。
工場の排水総量は多量のため、少しのBOD削減でも年間のBOD成分の排出量としては大きな削減となります。立地条件やレイアウトの規制などの多くの関係法令の遵守項目を満たしつつ、最適な場所で、どのように廃水処理をするかを、実現性も踏まえて最適化を進めることは難しいです。しかし、事業の発展、新製品の開発に向けた設備増強が行われている中でも環境負荷の抑制を実現することは、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」の達成に繋がっています。

  1. *1 SS (Suspended Solids)
    水中に浮遊する粒子径が2mm以下の不溶解性物質の総称。水質指標の一つ。
  2. *2 TOC(Total Organic Carbon)
    全有機炭素。水中の有機物に含まれる炭素の量。有機性汚濁の指標として用いられている。
  3. *3 濁度
    水の濁りの程度を表す指標。
  4. *4 pH
    水素イオン指数。溶液の酸性、アルカリ性の程度を表す

信越化学 群馬事業所の水資源保全の取り組み

信越化学 群馬事業所では、シリコーンを中心とした高機能材料の生産を行っています。群馬県の南西部という内陸にあることから、生産に必要な水のほとんどを周囲の河川から取水し、工場から出る水は浄化処理を行い河川に戻しています。

群馬事業所は自然豊かな環境にあります。周囲の河川の下流には首都圏があり、それらの河川は首都圏住民の生活や工業、農業を支えています。化学製品の製造には大量の水を必要としますが、同事業所は河川からの取水を最小限に抑えて、貴重な水資源の保全に努めています。そのために、取水を事業所内で再生循環させて、製造工程や冷却水などに可能な限り再利用しています。

また、河川への放流の際には浄化処理を行うとともに、水質の管理を徹底しています。水処理設備の運転状態を常時モニタリングし、最適な状態を保つように努めています。定期的に放流水の水質分析を行い、高い水準で基準を遵守していることを確認しています。処理設備の自然災害への対策として、豪雨時の雨水流入防止のために雨水を分離しています。さらに、2014年からは大規模地震を想定した耐震補強工事などを行っています。

群馬事業所では今後も限られた水資源を有効に利用するとともに、河川の上流に立地する工場としての責任を果たしていきます。

工場での蒸気と電気の流れ

信越化学 群馬事業所の水の流れ(2020年度)

海外グループ会社での雨水の利用

世界的に水資源の保護がうたわれる中、アジア シリコーンズ モノマー社(タイ)では、雨量が大変多いタイに立地していることを生かして、会社設立当初から雨水を活用しています。

敷地内の貯水タンクに雨水をためて、工業用水などの原水やガス焼却炉の冷却水として利用しています。また、常に一定量をためておき、万が一の時の消火水としても利用できるようにしています。さらに、当社グループのシンエツ シリコーンズ タイランド社や隣接している関係企業にも、この雨水を利用した工業用水などを供給しています。

海外グループ会社での雨水の利用 写真1

海外グループ会社での雨水の利用 写真2

廃棄物削減

2020年度
目標:廃棄物ゼロエミッション(廃棄物発生量に対する最終埋め立て処分量の割合1%以下)の達成。
実績:信越化学グループの廃棄物最終埋め立て処分率は1.14%、信越化学は1.44%。
評価:目標を未達成。

2021年度
目標:廃棄物ゼロエミッションの達成。
原単位による廃棄物発生量の削減の推進。

実績

2020年度は2019年度に比べて廃棄物発生量の減少に伴い、再資源化量も減少しました。2020年度は、銅イオン含有廃水の内部処理化や排水処理槽への沈殿剤添加量の削減、 汚泥脱水設備の使用率の向上などに取り組みました。

なお、廃棄物の処理は外部の廃棄物処理業者に委託しています。委託先の処分業者の現地確認を定期的に行うなど、適切に処理されていることを確認しています。

廃棄物の処理フロー

廃棄物の処理フロー

  • ※ 廃棄物は各国の基準が異なるため、国内の当社グループの集計です。

廃棄物再資源化量の推移

廃棄物再資源化量の推移

廃棄物最終処分量の推移

廃棄物最終処分量の推移

  • ※ 信越化学および国内連結会社の集計です。

関連情報

環境データ集

資源循環

当社グループでは、お客さまや関連の業界団体とも協力し、最新の技術を駆使して使用済みの製品を回収し資源を取り出して当社グループの製品に再利用しています。この取り組みにより、お客さまと当社グループの廃棄物を削減することができます。さらに、資源の再利用により環境の保全にも貢献しています。

レア・アースマグネットのリサイクル

当社グループでは原料からさまざまなレア・アースを取り出す分離精製技術を用いて、レア・アースマグネットの原料からの一貫生産をしています。

原料の安定調達を図るための対策の一つとして、2007年からレア・アースマグネットの加工工程で出る磁石粉のリサイクルを行ってきました。さらに、2013年3月からはこの技術を発展させて、資源の再利用のために回収された省電力エアコンやハイブリッドカーに使用されているレア・アースマグネットのリサイクルにも取り組んでいます。

これらの取り組みによって、レア・アースという貴重な資源の安定的な確保と、資源開発に伴う環境負荷を低減することが可能になります。当社グループのレア・アースマグネットは省エネルギーにも貢献する循環型製品として、経済的にも社会的にも大きな貢献をしています。

レア・アースマグネットのリサイクルの流れ

レア・アースマグネットのリサイクルの流れ

塩ビ製品のリサイクル

塩ビを使用した製品は、リサイクルが進んでいます。さまざまなリサイクルの方法がありますが、最も多く行われているのはマテリアルリサイクルです。

マテリアルリサイクルは、使用済みの塩ビ製品を原料にして新しい塩ビ製品に再生する方法です。塩ビ管や床材などの塩ビ製品は、異物混入の影響も小さいため、さまざまなマテリアルリサイクルが実施されています。中でも、使用済みの塩ビ管や継手の6割が再び塩ビ管および継手に再生され、農業用フィルムは7割が床材として再生されています。

塩ビ製品の再資源化例

塩ビ製品の再資源化例

関連情報

塩ビ工業・環境協会

製品輸送用梱包箱のリサイクル利用

当社は2018年度から、放熱シリコーングリースの輸送用梱包箱のリサイクルを開始しました。

放熱シリコーングリースの品質を安定させるためには、冷凍状態で輸送しなければなりません。そのため、従前は使い捨て梱包箱にドライアイスを使用して冷却し、輸送していました。当社は顧客と協力して研究を重ねた結果、最適な温度を維持しながら何度もリサイクルできる梱包箱を新たに開発しました。この新しい梱包箱によってドライアイスが不要となったため、年間28.2トンの二酸化炭素を削減することにも成功しました。

海洋プラスチック問題

化学業界として、海洋プラスチック問題は重要な課題の一つです。既存の製品では解決できそうにない課題であるがゆえに、そこに事業機会があり、当社グループが挑戦する価値がある、と考えています。当社グループは海洋プラスチック問題対応協議会とともに、この課題に取り組んでいます。

  • * 海洋プラスチック問題対応協議会(JaIME)
    2018年9月に、海洋プラスチックごみ問題に対して化学業界全体での対応するために、日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、プラスチック循環利用協会、石油化学工業協会、塩ビ工業・環境協会が設立した団体。