従業員インタビュー

Shin-Etsu Challengers

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失敗を恐れず、困難に挑戦していく研究開発の環境で、新たな領域にもチャレンジしたい

群馬事業所 シリコーン電材研 第1部 オイル
E.A.

2005年、信越化学入社。化粧品に配合される変性シリコーンの研究開発を担当。

開発は個人の裁量に任せられている部分が大きい

変性シリコーンの開発を行う部署に所属しています。入社以来、化粧品に配合される変性シリコーンの開発を担当してきました。化粧品に配合される変性シリコーンには、乳化剤や被膜形成剤といった種類がありますが、現在はゲル剤の開発が主な業務になります。ゲル剤は、化粧品の粘度を高め安定性を向上させたり、ソフトフォーカス効果と言ってしわや毛穴をぼかしたり、あるいは、ベタツキのない感触改良に使用される成分です。しかしながら、そういった特性に影響を及ぼすファクターが多いため、いろいろな角度から条件を変えて試行錯誤を繰り返し、開発しています。ですから、依頼を受けて試作品を作る際、納期は決まっていますが、新たな機器の購入を含めどのように取り組むかは、開発担当者の裁量に任せられている部分が大きいように思います。実際、当社の方針としてシリコーンの研究開発にはかなり重点を置いていただいており、非常にやりがいを感じています。

三位一体のモノづくりで納期遅延を回避

CITE JAPAN2023の信越化学ブース
(2023年5月)

当社は、営業、開発、製造の三位一体のモノづくりを特徴としています。ある時、欧州現地法人の複数の取引先に聞き取りを行っている営業の方から、ゲル剤の試作品を作ってほしいという依頼が舞い込みました。そこで、試作したサンプルの評価結果を基に改良品を提案した結果、大手の取引先からまとまった量の発注をいただくことができました。そこまではよかったのですが、この開発品に使用する原料には海外メーカー品を含んでおり、時期が新型コロナウイルスの流行と重なったため、原料がなかなか届かない、いつ届くか分からない、という状況に陥ってしまいました。納期の大幅遅延も覚悟したところでしたが、製造部の方がスケジュールをうまく調整し、原料が到着したらすぐに製造できるようにしてくださったことで、大きな遅延もなく供給することができました。これは、営業、製造部と密に連絡をとりあった成果だと思います。この開発品は、当社が拡販を目指す原料として、国内最大規模の化粧品産業技術展示会(CITE JAPAN2023)でも紹介されました。現地法人が起案したオリジナル製品としては初めてのことです。

「思うようにやってよい」上司の言葉を励みに困難に挑戦

信越化学の研究開発部門には、失敗を恐れるよりも、まずは困難な問題にどう対処するかを考える研究員が多いと思います。

私がゲル剤の担当になったのは、前任の担当者が急遽海外に赴任することになったからですが、立ち上げた製品の製造が難航している中、志半ばで渡航されてしまったため、最初の仕事は製造トラブルの対応でした。ゲル剤は、それまで担当していた製品と特性が違っており、また、製造装置も全く別の設備を使用していました。さてどこから手を付けようかと考えていた時、当時の上司から、「失敗した時は俺が謝るから、思うようにやっていい」と声をかけていただきました。その言葉のお陰か、冷静に各工程を分析し、無事原因を見付けることができました。現在は問題なく製造できるようになり、製造部の方からも、製造しやすい製品の1つと、お言葉をいただいています。

さらに知識を習得し、環境に貢献できる製品の開発を目指したい

今の私は、ゲル剤という分野で知識や経験を積み重ねていることが強みですが、一方で狭い範囲に限定される知識は弱みでもあると思っています。現状、業務以外の実験や検討に着手することは難しいですが、化粧品以外の変性シリコーンについても、技術的な理解を深めるよう心がけています。また、業務に生かせるよう、環境や化学品に関する情報、法規制や品質管理の知識、開発した原料が使用される化粧品に関する知識の習得にも努めています。昨今は、地球温暖化や海洋汚染、大気汚染などの環境問題に配慮した製品やその製造方法の開発が求められています。これまでの知見を活かし、そのような製品の開発に携われればと思っています。

シリコーン電材研が拠点をもつ群馬事業所