働く人の安全の確保と健康の促進

方針

「事故を絶対に起こさない」、「休業災害ゼロ」を目標に、安全で快適な職場づくりに取り組みます。

課題の認識

信越化学グループは安全を何よりも優先しています。そのために、安心して働くことができる職場環境を整えています。事故や災害のない操業は、働く人を守り、顧客への供給責任を果たすこと、そして、企業の永続的な発展につながります。また、近年、自然災害が多く発生しており、その対策も重要な課題として取り組んでいます。

KPI

  • 業務中に死亡した従業員数:0人
  • 重大事故:0件
  • 休業災害度数率:0.15(国内)、0.75(海外)
  • 休業災害強度率:0.01(国内)、0.03(海外)

(2023年度実績)

基本的な考え方

製造業である当社にとって安全は事業経営の大前提です。労働安全衛生と保安防災の水準を向上させ、当社グループで働く人の安全と健康、安定操業を確かなものとするために、環境保安管理規程を策定、遵守しています。

労働安全衛生、保安防災マネジメント

重点課題と実施項目

信越化学グループは、①「規則や手順」を確実に守ること、②「職場に潜むリスク」を見つけ出し、速やかに排除すること、③「危険に対する感性」を高めること、という安全に関する三つの行動指針に従い、安全管理活動に取り組んでいます。

レスポンシブル・ケアコード※1に従って「信越化学グループ環境保安管理計画」を毎年策定し、その中で労働安全と保安防災に関する具体的な数値目標を設定しています。

この管理計画に基づいて、グループ全体で爆発や火災などの重大災害の防止や労働災害の防止などに取り組んでいます。

  • ※1レスポンシブル・ケアコード
    レスポンシブル・ケアを実施する際の基本的な実施事項を定めたもの。環境保全、保安防災、労働安全衛生、物流安全、化学品・製品安全、社会との対話といった活動分野ごとの6つのコードと、これらをシステムとして共通に運用していくためのマネジメントシステムコードの計7つで構成されている。

労働安全衛生の取り組み

作業者の安全の確保

当社グループの国内外の工場では、負傷または疾病につながるリスクを徹底的に洗い出し、リスクを排除するリスクアセスメント活動に取り組んでいます。リスクが判明した場合は、まずはリスクの排除、あるいは低減に取り組みます。リスクが残った場合は、作業者への個人用保護用具の提供や危険エリアに立ち入ることができない措置と立ち入り禁止標識の掲示、機械や装置のロックアウト※1、タグアウト※2などの安全対策を施しています。機械装置には安全装置の取り付けやフェイルセーフ※3、フールプルーフ※4、インターロック※5、防護壁などの安全対策を講じています。また、作業の前にはKY※6や指差し呼称を実践し、安全を再確認しています。

毎年7月に実施される全国安全週間※7では、当社グループで働く従業員に向けて、社長からメッセージが伝えられるとともに、当社の安全に関する三つの行動指針を周知徹底しています。また、労働災害の発⽣状況を、毎⽉の営業報告会議で役員および部⾨⻑に報告しています。

2023年に信越半導体武生工場では、厚生労働省労働基準局から第5種無災害記録証を授与されました。この記録証は、業種ごとに設定される無災害時間(死亡災害、休業災害の発生なし)を達成した事業所へ授与されるもので、当工場は1970年の操業開始以来2023年4月までの約53年間を経て1,680万時間を達成しました。

  • ※1ロックアウト
    機械や装置のスイッチなどを施錠して操作できないようにすることで、動力源を遮断すること。

  • ※2タグアウト
    ロックアウトを行った箇所に取り付ける札。タグが取り除かれるまで機械や装置の再稼働を禁止することを意味する。

  • ※3フェイルセーフ
    装置やシステムにおいて、誤操作や誤動作による障害が発生した場合、常に安全な方向に動作するよう制御すること。

  • ※4フールプルーフ
    作業者が誤った操作をしても安全を確保できるよう、あらかじめ対策を講じること。

  • ※5インターロック
    安全装置、安全機構の考え方の一つで、ある一定の条件が整わないと他の動作ができなくなるような機構。

  • ※6KY
    危険予知活動。作業に従事する作業者が、その作業で想定される負傷または疾病の発生を防止するため、安全な作業方法などを確認し、確実にこれを実行する活動。

  • ※7全国安全週間
    労働災害防止活動の推進を図り、安全に対する意識と職場の安全活動のより一層の向上に取り組む週間。厚生労働省と中央労働災害防止協会が主唱。

第5種無災害記録証が授与される
(2023年5⽉ 信越半導体 武生)
安全従業員賞2023
(2023年6月 シンエツ シリコーンズ オブ アメリカ)

ヒヤリハット・気掛かり提案

作業者が体験したヒヤリとした、ハッとした事例や心配事などを、「ヒヤリハット・気掛かり提案」として収集し、対策を講じています。同時に、それらの情報を社内外に公表することにより、情報の共有と、類似災害の防止を図っています。

日常の作業で感じたヒヤリハット事例

2025.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2024.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2024.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2023.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2023.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2022.07.29
ヒヤリハット事例を更新しました
2022.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2021.07.30
ヒヤリハット事例を更新しました
2021.01.29
ヒヤリハット事例を更新しました
2020.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2020.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2019.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2019.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2018.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2018.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2017.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2017.01.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2016.07.29
ヒヤリハット事例を更新しました
2016.02.24
ヒヤリハット事例を更新しました
2015.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2015.01.30
ヒヤリハット事例を更新しました
2014.07.31
ヒヤリハット事例を更新しました
2014.01.30
ヒヤリハット事例を更新しました
2013.07.30
ヒヤリハット事例を更新しました
2013.01.30
ヒヤリハット事例を更新しました
2012.07.30
ヒヤリハット事例を更新しました
2012.01.30
ヒヤリハット事例を更新しました
2011.07.25
ヒヤリハット事例を更新しました
2011.01.24
ヒヤリハット事例を更新しました
2009.07.08
ヒヤリハット事例をアップデートしました
2007.05.01
ヒヤリハット事例の公表について
日常の作業で感じた危険に関するアンケート

従業員の健康への配慮

当社グループは、一人一人が心身ともに健康でいることで、職場全体の雰囲気や生産性の向上につながるという考えのもと、快適で安全な職場づくりに取り組んでいます。定期健康診断の受診や生活習慣病に関する保健指導、メンタルヘルス対策、健康体力づくり活動を推進し疾病予防を行っています。また、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の予防のためにあらゆる対策を実施しています。2023年に群馬では「セルフケアを身に付けよう」というテーマのもとメンタルヘルス研修が実施され、48人の従業員が参加しました。

本社および支店では衛生委員会を、各工場地区では安全衛生委員会を設置しています。委員会では産業医から情報提供と指導を受けながら、職場環境の改善や健康の促進などに取り組んでいます。また、体力測定やセミナー、体力向上のためのイベントを開催しています。さらに、健康保険組合が保険会社と提携し、従業員の家族も利用できる24時間対応のファミリー健康相談窓口を設置しています。

健康づくり講習会
(2023年10⽉ 信濃電気精錬)

保安防災の取り組み

設備・プロセスの安全性の向上

当社グループでは重大な事故の未然防止を最重要課題とし、さまざまな保安防災活動に継続して取り組んでいます。プロセスのリスクアセスメントによって判明した危険な箇所への対策の実施や、設備の計画的な補修などによって配管や設備の保全管理を行っています。2014年度からは、大地震などの重大災害や最悪のプラント事故を想定して、被害の局所化、最小限化の対策、検討も実施することにより、保安管理の強化を図っています。

当社は、特定非営利活動法人 保安力向上センターに2012年度の発足時から加入しています。各工場では、同センターの「保安力評価システム」を活用して改善に取り組み、保安防災力の一層の向上に努めています。

安全管理活動の実績(信越化学)
テーマ 2021年度 2022年度 2023年度
改善件数 5,062 5,050 5,819

設備および保全管理の向上

当社グループは、工場の設備および保全管理の向上のため、労働安全衛生法、消防法、高圧ガス保安法で定める機械などの定期自主検査を確実かつ適正に実施しています。また、インターロック、緊急遮断システム、漏洩検知システム等の安全装置・安全システムの機能維持や故障の早期発見につながる管理方法も構築しています。今後は、AIやIoT/DX技術を取り入れた先進の予防保全も検討していきます。

シンエツPVC社(オランダ)の取り組み

HAZOPにより潜在的な問題を洗い出し、設備改善を常に実行

オランダのペルニスにあるシンエツPVC社のポリ塩化ビニル工場では、従業員と請負業者は、最初に安全意識を高める教育を受けています。また、安全な作業手順と許可手続きが明確に定められ、保守活動を含めて安全性が高いレベルで確保されています。

プラントの安全性についても、HAZOP(Hazard and Operability Studies)によって潜在的な危険性や運転上の問題を洗い出し、最先端の設計基準の適用や変更管理手順に従った設備改善を常に実行することによって確保しています。また、従業員が危険な濃度の塩化ビニルモノマーにさらされていないことを確認するために、プラントには作業環境の塩化ビニルモノマーの濃度を継続して監視する多数の分析装置が装備され、専門コンサルタントが定期的にモニタリングを行っています。加えて、工場内の塩化ビニル樹脂の粉末排気と粉末排出量の削減によって、現場の作業環境を適切な状態に保っています。

さらに毎月、従業員の健康状態を工場の管理者が把握し、必要に応じて経験豊富な医師がフォローアップをしています。

教育、訓練

安全教育

プラントを安全に安定して運転し続けるためには、当社グループの敷地内で働く人の技能と知識の絶え間ない向上と、安全への感性を高めることが重要となります。そのために、従業員や業務委託先などに対して、取扱物質やプロセスの危険性を理解する教育や、危険の擬似体験、装置や安全器具の正しい使い方といった安全教育を行っています。

2023年に直江津工場ではVRを使用した危険作業体験会を開催し、56人が参加しました。体験会は危険予知能力や安全意識の向上を目的とし、参加者は100を超えるシナリオの中から自身の職場の作業に類似するものを選んで体験しました。 さらに、より安全な自己防衛を目的とし保護具展示会も開催しました。工場の各部門から77人が参加し、展示会では最新の保護具や防災機材、保存食などが紹介されました。

また、製造設備の運転技術の伝承にも注力しています。さらに、作業の手順や規則を守るといった、安全を重視する文化の醸成にも努めています。

工場で働く従業員のほかに、工事関係者や納入、商談で入構する社外の方々にも安全教育を実施しています。教育では、工場内の危険個所や取扱物質を説明し、工場で定められている安全規則を厳守することの重要性を理解していただきました。また、工場内で有事があった時には、特に自身の安全を確保するための行動を最優先するようお願いしています。今後も新規入構者へ定期的に教育を行い、人命第一の対応を継続していきます。

VRでの危険作業体験会
(2023年10月 信越化学 直江津)
保護具展示会
(2023年10月 信越化学 直江津)

防災訓練

大地震や火災などの異常事態を想定した防災訓練や、シナリオを作成せずに基本行動を元に行う「ブラインド型訓練」を毎年計画的に実施しています。訓練では、消火活動や負傷者の救助活動、災害対策本部への情報伝達、地域への広報活動、報道機関への対応などの訓練を実施しています。その他、寮、社宅での防災訓練も実施し、避難経路の確認、消防署への通報訓練、消火器の操作訓練を行っています。

地域から安心していただける工場となるよう今後も防災意識を高めるとともに、有事災害への迅速な対応ができるよう努めています。

新入社員消火訓練
(2023年5月 信越化学 群馬)
寮での防災訓練
(2023年10月 信越半導体 白河)

環境保安監査

各工場の労働安全衛生、保安防災などの活動が計画どおり実施されていることを検証し確認するために、当社グループでは「環境保安監査基準」 に従い、国内外で社内監査を実施しています。監査の結果については、経営トップにも報告しています。

2023年度の監査状況

2023年度は国内30事業所、海外事業所の延べ4事業所でオンラインによる監査を実施しました。労働安全衛生マネジメントシステムの実効性の向上、変更管理の整備と厳格な運用、設備やプロセスの安全性の向上、大型工事や定修中の安全確保、作業の安全性の向上などを重点項目として、実施状況を実施事例とともに監査しました。

総合環境安全監査
(2023年9月 日本酢ビ・ポバール)
総合環境安全監査
(2023年9月 日信化学工業)

関連データ

項目 内訳 対象範囲 単位 2021年度 2022年度 2023年度
マネジメント ISO45001/OHSAS18001認証※1の取得率
(従業員ベース)
連結生産会社 35 34 33
労働安全衛生 安全教育受講者(延べ人数) 連結 56,236 75,406 87,349
休業災害度数率※2 国内 0 0 0.15
海外 1.71 1.15 0.75
業界平均(日化協) 0.41 0.43 0.47
不休以上の災害度数率※2 国内 0.53 0.37 0.25
海外 3.82 3.18 1.60
休業災害強度率※2 国内 0 0 0.01
海外 0.07 0.03 0.03
業界平均(日化協) 0.01 0.07 0.04
業務中に死亡した従業員数 連結 0 0 0
  • ※1ISO45001/OHSAS18001認証
    認証を取得していない事業所にも、ISO45001/OHSAS18001と同レベルの労働安全衛生マネジメントシステムがあります。

  • ※2休業災害度数率、不休以上の災害度数率、休業災害強度率
    暦年で集計しています。