工場における環境負荷低減:直江津工場
工場における環境負荷低減:直江津工場
直江津工場の環境負荷低減の取り組み

信越化学 直江津工場は、日本列島の日本海側中央、新潟県の南西部に位置する上越市の北部に立地しています。北の雄大に広がる日本海、南の上信越高原国立公園や実り豊かな頸城平野、四季折々の変化に富んだ自然に囲まれています。古くから交通の要衝として栄え、重要港湾の直江津港をはじめ、陸路の北陸自動車道、上信越自動車道が走り、北陸新幹線といった近隣地域や関西圏、首都圏との往来に恵まれた環境にあります。
直江津工場では、か性ソーダ、クロロメタン、クロロシラン類、シリコーン製品、セルロース誘導体、合成性フェロモン、合成石英ガラス基板、フォトマスクブランクス、フォトレジスト、5G向け低誘電材料といった、多様な化学製品、高機能製品の生産と最先端のニーズに応える研究開発を推進しています。持続可能な社会の実現と暮らしや社会、産業への貢献を目指して活動しています。
省エネルギーの推進と温室効果ガス排出量の削減
コージェネレーションシステムの導入
直江津工場は2基の自家発電機(ガスタービンによるコージェネレーションシステム)を保有し、温室効果ガス、有害ガスの排出が少ない天然ガスを燃料に電気とスチームを作っています。スチームは直江津工場内の加熱プロセスなどで消費されるほか、一部は蒸気タービンを介して発電に利用されます(コンバインドシステム)。省エネルギーの推進と温室効果ガス排出量の削減を積極的に推進しています。


窒素回収装置の導入
直江津工場では化学反応プロセスや設備の保安用に、大量の酸素と窒素を使用しています。そのため、空気分離器によって、空気から酸素と窒素を分離し、品質的に安定したガスを得ています。この時に排出される排気ガスには窒素分が多く含まれているため、これを回収し窒素を得るための原料として再利用することで省エネルギーを図っています。

その他、化学プロセスの蒸留や溶剤回収で使用するスチーム使用量の削減、高効率冷却機やガス圧縮機への更新、クリーンルーム空調機の高効率化や工場照明のLED化の推進など、積極的な省エネルギー活動に取り組んでいます。
温室効果ガスの排出を削減できないか工場内で連携してアイデアを出し合うとともに、廃熱回収、CO2回収技術など高度な技術検討も実施しています。
今後も継続して、脱炭素社会の実現に向けて活動を推進していきます。

水資源保全の取り組み
直江津工場では大型の嫌気性排水処理設備を2基保有しており、排水浄化の過程で発生する副生メタン(バイオガス)をボイラー用燃料として有効に利用しています。また、好気性排水処理設備には菌類、バクテリア類を固定化する担体※を新たに既設の曝気槽へ導入し、排水処理能力を向上させた、より環境負荷の少ない処理水となる技術を導入しています。
また、沈降処理設備によって水中に浮遊する固体を分離処理し、濁りのない綺麗な水に浄化しています。
※担体
排出ガス成分の吸着や貴金属など他の物質を固定する土台となる物質。
廃棄物削減の取り組み
廃棄物の再資源化
直江津工場では、製造工程や加工工程などで廃棄されるものを減らす活動を推進しています。例えば、製造工程で廃棄される不要紙材を再生紙などへ有効利用しています。また、化学反応プロセスで使用している溶剤を再利用する処方の検討や、再資源化を積極的に推進しています。

廃棄物重量の削減
工場の排水処理設備では、排水中に含まれる無機物の濁質を分離、脱水処置し固形状の汚泥にします。この汚泥は産業廃棄物として外部業者で中間処理され、路盤材等に有効利用されています。
排水処理設備の脱水機を脱水性能に優れる型式に更新したことで廃棄汚泥中の水分量を低減でき廃棄物処分重量が減少しました。
このことで外部業者への廃棄物輸送に掛かるエネルギーの削減を実現しています。最終処理工程までの全工程を考慮し、環境負荷削減に貢献できる活動を推進しています。

使用済有機溶剤のリサイクル
化学反応プロセスなどで使用した有機溶剤は、産業廃棄物として焼却処理されますが、直江津工場では、一度使用した溶剤を精製してリサイクルすることで、産業廃棄物となる廃棄溶剤の削減に取り組んでいます。2023年度は、24tの廃棄溶剤の削減を達成し、資源の節約や環境負荷の軽減に寄与しました。