気候変動:カーボンニュートラルに向けた取り組み
気候変動:カーボンニュートラルに向けた取り組み
2050年カーボンニュートラル達成策
信越化学グループは2050年カーボンニュートラルに向け、温室効果ガス排出量(スコープ1、スコープ2)を実質ゼロとするための計画を策定しました。
現在取り組んでいる削減策
当社グループでは現在、以下の削減策に取り組んでいます。また、新たな削減策の検討にも注力していきます。
削減策 | 詳細 |
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①電力における排出量の低減 |
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②製法、製造の改善と革新など |
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③カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天然ガス)、水素などの活用 |
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④リサイクルの推進 |
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具体的な取り組み事例は、工場における環境負荷低減をご参照ください。
「地産地消型PPA(群馬モデル)」への参加により温室効果ガス排出量を削減
2024年3月に、信越化学は群馬県が提供する「地産地消型PPA※(以下、群馬モデル)」への参加を決定しました。
群馬モデルは、群馬県営水力発電所の電気を群馬県内事業者へ提供する新たな制度です。水力発電により生み出される電力は、温室効果ガスを排出しないグリーンな電力となります。同制度を通じて新たに調達する電力は、信越化学群馬事業所横野平分工場で使用する電力の全てを賄い、同分工場における温室効果ガス排出量を約90%削減できるようになります。
※PPA
「Power Purchase Agreement」の略。電力使用者が発電事業者から一定期間、単価を固定して電力を購入する契約形態。

群馬県内の水力発電所

群馬版PPAモデル(群馬県提供資料を元に作成)
コージェネ大賞2023 産業用部門 理事長賞を受賞
信越化学の群馬事業所と直江津工場では、天然ガスを使用したコージェネレーションシステム※を導入、蒸気と電力を作り、製造設備の稼働を支えています。群馬事業所は2022年11月、温室効果ガス排出量削減に向けて磯部工場に2基、松井田工場に1基のガスタービン発電設備を増強しました。
コージェネ財団によるコージェネ大賞2023で、これらのコージェネレーションシステムが、最高位の「産業用部門 理事長賞」を受賞しました。選考委員会から、「遠く離れた熱電比率の異なる工場間で蒸気を融通し、2つの工場全体の熱電比率をコージェネにマッチさせた。また、大規模なコージェネの増設によって、電力と熱の自給率を飛躍的に向上させた。さらに、停電時に向けてあらゆる手法で準備している点も高く評価した」との講評をいただきました。
磯部工場および松井田工場は、これらのコージェネレーションシステムの導入により電力の自給率が将来的に100%になり、CO2排出量を年間約24,000t-CO2削減することが可能になりました。

※コージェネレーションシステム(熱電供給)
天然ガスや石油、液化石油ガスなどを燃料として、エンジンやタービン、燃料電池などの方法で発電し、その際に生じる熱をスチームとして同時に回収するシステム。電力と廃熱の両方を有効利用することでCO2排出量の削減、省エネルギーによる経済性向上ができる。

関連情報
2050年に向けた取り組み
現時点で想定している削減策は以下のとおりです。
削減策 | 詳細 |
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①電力における排出量の削減 |
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②グリーン水素とブルー水素の活用 |
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③製法、製造の改善などの継続 |
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④CO2の分離回収および活用 |
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⑤バイオマス燃料の活用 |
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⑥リサイクルの推進 |
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⑦カーボンオフセット |
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当社グループの削減策

※「製法、製造の改善と革新など」は、水素の活用、バイオマス燃料の活用、リサイクルの推進を含みます。「電力に関するもの」は、再生可能エネルギーの購入と太陽光発電設備の設置を含みます。
当社が想定している2050年に向けた削減策の構成比は、上図のとおりです。今後の技術革新に応じて、最適な削減手段を選択していきます。
なお、今後米国子会社のシンテック社が生産能力の増強を予定しているため、当社グループの温室効果ガス排出量は2025年頃に増加しますが、引き続き2050年カーボンニュートラル達成に向けて排出量の削減に取り組んでいきます。
カーボンニュートラル社会の実現に貢献するためのその他の取り組み
ライフサイクルアセスメント実施のための取り組み
当社グループは、ライフサイクルアセスメントを実施することで、サプライチェーン全体での温室効果ガスの削減に貢献していきます。
物流における温室効果ガス排出量の削減
製品輸送時に排出される温室効果ガスの削減に取り組んでいます。この取り組みは、温室効果ガスのスコープ3排出量の削減に寄与します。
削減例 | 削減に寄与しているスコープ3排出量のカテゴリー |
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メタノール輸送におけるモーダルシフト※ (タンクローリー→鉄道) |
カテゴリー4「製品の輸送時による排出」 |
シリコンウエハー輸送におけるモーダルシフト (航空機→船舶) |
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シリコーン製品輸送におけるモーダルシフト (トラック→鉄道) |
※モーダルシフト
トラックなどによる貨物輸送を、環境負荷の小さい鉄道や船舶に転換すること。
温室効果ガス排出量の削減に貢献する製品の製造販売の拡大
当社グループの製品は住宅やインフラストラクチャー、電気自動車、DX、GXをはじめとした幅広い分野に利用され、生活や産業の基盤を支えています。これらの製品の多くは、温室効果ガスの削減にも寄与しています。2021年6月に日本政府が2050年カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な14の分野を掲げましたが、当社グループの2022年度の連結売上高に占める当該14分野への売上比率は約7割に上ります。今後とも、こうした製品の開発、製造、販売の拡大に注力することで、社会全体のカーボンニュートラルに貢献していきます。
成長が期待される14分野

成長が期待される14分野※1 | グリーン成長戦略で挙げられている製品や技術 | グリーン成長戦略に貢献する信越化学グループ製品や技術※2 |
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①洋上風力・太陽光・地熱産業 |
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②水素・燃料アンモニア産業 |
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③次世代熱エネルギー産業 |
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④原子力産業 |
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⑤自動車・蓄電池産業 |
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⑥半導体・情報通信産業 |
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⑦船舶産業 |
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⑧物流・人流・土木インフラ産業 |
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⑨食料・農林水産業 |
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⑩航空機産業 |
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⑪カーボンリサイクル・マテリアル産業 |
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⑫住宅・建築物産業・次世代電力マネジメント産業 |
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⑬資源循環関連産業 |
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⑭ライフスタイル関連産業 |
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※1出典:「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月 日本政府発表)
※2将来の製品も含みます。また、製品や技術の文字の色は事業セグメントを表しています。
- 生活環境基盤材料
- 電子材料
- 機能材料
- 加工・商事・技術サービス
※3半導体材料は、シリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス、封止材、ペリクル、合成石英ガラス基板、高純度シランなどを指します。半導体材料は分野⑥の半導体産業に該当しますが、半導体材料を使用して製造された半導体はさまざまな分野の制御システムなどに貢献するため、⑥以外の分野にも記載しました。