持続可能な調達

CSR調達についての考え方

12.つくる責任、つかう責任
16.平和と公正をすべての人に

信越化学グループはCSR調達に取り組んでおり、その基本となる「調達基本⽅針」を策定し、グループ内に周知するとともにホームページで公開しています。また、サプライチェーン全体での認識共有と活動の推進が重要であると考え、「CSR調達ガイドライン」を作成し、ホームページで公開するとともに、当社グループのお取引先に配布しました。お取引先には、当社グループのサステナビリティの取り組みをご理解いただくとともに、お取引先の川上のサプライチェーンにも取り組みの促進をお願いしています。

なお、お取引先と当社グループとの取引の透明性と公平性を確保するために、2018年1⽉にサプライヤーホットラインを設置しました。当社グループのお取引先は、匿名で当社のホームページから通報することができます。

信越化学グループ調達基本方針

1.法令の遵守

信越化学グループは、経営目標の冒頭に法令遵守を掲げ、従業員一人ひとりが社会的責任を自覚し、法令、倫理および会社の諸規程を遵守した業務活動を行っています。購買、調達活動においては相互の信頼を第一に取り組んでいます。誠実かつ公平にこれを行い、不当に便宜を図ったり、不当な要求をいたしません。

また、直接お取引する調達先はもちろん、その先の供給者までを含むサプライチェーンにおける国際労働機関(ILO)の主要な労働基準の遵守をはじめ、環境に関係する法令や小規模の事業者を含むお取引に係る法令などに則った行動を推進しています。

2.企業の社会的責任の推進

信越化学グループは、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility=CSR)を果たすために多岐にわたります活動を推進しています。CSRの推進にはお取引先の皆様の協力も不可欠であり、次の事項をお願いするとともに、相互の信頼関係を築き高めていくことに努めます。

  1. 社会規範、倫理および法令の遵守の強化と推進を図ること
  2. 安全防災と環境保全を最優先事項とし、環境規制化学物質の管理ならびにグリーン調達に協力し、自らも配慮すること
  3. 納入物品の安全性と信頼性の確保、不測の事態への迅速な対応について的確で公正な情報開示に努めることなど、リスクマネジメントを展開すること
  4. 人権を尊重し不当な差別を排除し、国際労働機関(ILO)の主要な労働基準を守り不当な労働行為をさせないこと
  5. 機密情報および個人情報の漏洩を防止すること。第三者の知的財産の権利を尊重すること
  6. 生物多様性の保全に配慮すること
  7. 紛争地域および高リスク地域における紛争や人権侵害などへの関与が明らかな鉱物を調達しないこと

3.取引先の選定

信越化学グループは、取引先を広く世界に求め、公平、公正、機会均等を基本に、①国際競争力のある品質と価格、②納期および供給安定性、③お取引先の経営安定性、信頼性、技術力、④企業の社会的責任の推進で掲げた事項等を総合的に勘案し、お取引先の選定を行います。

4.取引先育成と見直し

信越化学グループは、取引のために必要不可欠な情報をお取引先様に提供するとともに、お取引先におけるVA、VE*の改善活動や品質の維持、向上に協力いたします。信越化学グループは定期的にもしくは必要に応じて、お取引先のパフォーマンスの評価と見直しを行います。

*VA、VE (Value Analysis:価値分析、Value Engineering:価値工学)
顧客満足の高い価値ある新製品の開発や、既存製品の改善のための手法

CSR調達に向けた取り組み

下請法の遵守

購買・調達担当者は下請法を理解するために、下請法講習を受講しています。下請法の対象となるお取引先の漏れがないよう、既存の取引内容や新規取引の報告を定期的に確認しています。2024年11月には下請法遵守の自主点検を実施しました。

「パートナーシップ構築宣言」の公表

当社は、「大企業と中小企業がともに成長できる持続可能な関係を構築する」という理念に賛同し、2020年12月に「パートナーシップ構築宣言」を公表しました。特に、取引対価の決定に当たっては、下請事業者の適正な利益を含むよう協議に応じ、不合理な原価低減の要請を行わないことを徹底しています。

なお、2025年5月に下請中小企業振興法の振興基準の変更および下請法の指導基準の変更などを踏まえ、宣言の内容を改訂しました。

持続可能な調達

当社グループは全ての調達品から紛争地域および高リスク地域における紛争や人権侵害などへの関与が明らかな鉱物を排除することを、調達基本方針で宣言しています。お取引先にはその方針の遵守をお願いするとともに、スズ、タングステン、タンタル、⾦といった該当鉱物について、責任ある鉱物イニシアチブ(RMI)が発行している紛争鉱物報告テンプレート(CMRT)を使い、定期的に製錬所までさかのぼって調査しています。2020年度に該当する43品目、22社に対して調査を実施しました。今後は、コバルトおよび天然マイカが追加された拡張鉱物報告テンプレート(EMRT)への対応も検討していきます。

また信越化学は、森林破壊の防止や生物多様性の保全、人権や労働問題に配慮し、2021年2月にRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)に参加するとともに、RSPO認証を活用した持続可能なパーム油の調達を推進しています。RSPOは、サプライチェーン内の協力とその利害関係者との開かれた対話を通じて、持続可能なパーム油の成長と使用を推進する非営利団体です。当社はRSPOの主旨に賛同、参加を決定し、2023年3月にマスバランス認証を取得しました。

主要な原材料である木材パルプについては、全てのサプライヤーが持続可能な方法で製造していることを認証によって確認しています。また、梱包材に焦点を当て、バージン素材をリサイクル素材に部分的に置き換えるためにいくつかのプロジェクトを開始し、再利用の方法を探っています。さらに一部のグループ会社では、グリーンエネルギーで製造されたか性ソーダの購入も検討しています。

調達監査

お取引先にサプライヤーCSR調達調査票にご回答いただくことで、お取引先が当社グループの「CSR調達ガイドライン」に沿った事業活動を行っているかを確認しています。また、必要に応じて、国内外のお取引先の訪問監査を実施しています。

さらに2023年に引き続き2024年は、国内グループ会社に対し、資材管理規程の整備の状況確認とそれに対する内部監査、下請法の遵守などの状況を把握し、当社グループのガバナンス向上を図りました。

資材会議の開催

当社資材部では半期に1回、全社の調達部門担当者を集め、資材調達に関する全社会議を開催しています。この会議では資材調達の報告だけでなく、CSR調達ガイドラインに沿った調達部門担当者の教育やCSR調達の推進状況を確認、社内外のCSR調達の最新事例の学習なども行っています。

原材料の化学物質管理

環境負荷の少ない物質を購入するために、お取引先のISO14001の取得状況を確認し、ISO取得の納入業者に対しては、優先的な取引を検討しています。原材料の納入に関する仕様の締結においては、以下の状況の把握に努めています。

  • 製品、梱包材料の環境負荷化学物質の使用に関する関連法規の遵守状況
  • RoHS指令への遵守状況
  • SDS/chemSHERPAを活用した物質管理