従業員インタビュー3

Interview 03

生産プロセスの絶え間ない革新が
生産性向上と環境負荷低減をもたらす

群馬事業所 シリコーン製造部
K.T.

2011年に信越化学に入社。
シリコーン製品工場での生産技術者として、商業スケールの試行や立ち上げ、設備、処方の見直し、設備の増強などを担当。

センサーを使って生産性を2倍に

シリコーンは多様な分子構造を持つ特性があり、当社は5,000品種以上の製品を開発しています。これらの製品は日常生活から太陽光発電、風力発電、ハイブリッド車、電気自動車まで幅広い分野で重要な役割を果たし、カーボンニュートラルの達成にも欠かせない部材となっています。例えば、タイヤに使用されるシリコーンは転がり抵抗を減らし、燃費の向上に寄与しています。

私は主に、開発段階にあるシリコーンの試作品を、商業化のために工場で試作、量産化するための役割を担いながら、日々生産性の向上に取り組んでいます。

私の担当する工場では年間300品種以上の製品を製造しています。その中には反応率を高精度で監視しなければならない製品があるため、オペレーターが1時間ごとにサンプルを採取し、研究部門に持ち込んで測定していました。しかし、あるセンサーを見つけて製造ラインに組み込んだところ、リアルタイムで反応率を測定できるようになり、従来のオペレーターや研究部門の負担がゼロとなりました。同時に、反応温度を上げて反応時間の短縮を図ったところ、温度の上昇で原料の溶解性が高まり、原料溶解用の有機溶剤を90%削減することができました。さらに、この有機溶剤は焼却処理していたため、CO2排出量も50%(年間15 CO2-トン)削減することができました。そして、反応の高速化とも相まって一度に生産できる製品の収量が増え、生産性は2倍に高まりました。

柔軟な発想で改善に取り組む

製造現場では、至るところにさまざまな改善の余地があります。ここで述べた改善事例は、オペレーターや研究部門の負荷を軽減するという視点から検討を進め、大幅な生産性向上と環境負荷低減につながる思いがけない成果となり、非常に驚きました。

私たちの製品は世界市場で競争しており、現状に満足すれば未来はありません。常に「こうあるべき」という理想をイメージして課題を見つけ出し、原理原則に従って日々改善を続けることが重要であると考えています。ほんの少しの改善でも毎日積み重ねれば、5年後、10年後には大きな競争力となると信じ、高品質かつ生産性の高いプロセスを貪欲に諦めることなく追求し続けます。