水資源の保全に向けた考え方

12.つくる責任 つかう責任

世界では水が不足している地域があり、国連環境計画は、2025年には一部の地域で水不足がさらに深刻になると予測しています。

信越化学グループの主な生産拠点は、比較的水が豊富な地域にあります。しかしながら、世界での水不足への取り組みは当社が取り組むべき重要な課題と認識しています。当社グループは水リスク評価を行うとともに、取水量の削減や水のリサイクル利用の徹底、排水の浄化処理と水質管理の徹底など、水資源の保全に向けた技術の研鑽に積極的に取り組んでいます。

また、水は極限までリサイクルすることに取り組んでおり、最終的に排水される水についても適正な処理を行い、水質汚濁物質に関する規制値を遵守し、水質分析により確認しています。

水資源の保全に向けた取り組み

取水の有効活用と水質管理の徹底(群馬事業所)

信越化学 群馬事業所では、シリコーンを中心とした高機能材料の生産を行っています。群馬県の南西部という内陸にあることから、生産に必要な水のほとんどを周囲の河川から取水し、工場から出る水は浄化処理を行い河川に戻しています。

群馬事業所は自然豊かな環境にあります。周囲の河川の下流には首都圏があり、それらの河川は首都圏住民の生活や工業、農業を支えています。化学製品の製造には大量の水を必要としますが、同事業所は河川からの取水を最小限に抑えて、貴重な水資源の保全に努めています。そのために、取水を事業所内で再生循環させて、製造工程や冷却水などに可能な限り再利用しています。

また、河川への放流の際には浄化処理を行うとともに、水質の管理を徹底しています。水処理設備の運転状態を常時モニタリングし、最適な状態を保つように努めています。定期的に放流水の水質分析を行い、高い水準で基準を遵守していることを確認しています。処理設備の自然災害への対策として、豪雨時の雨水流入防止のために雨水を分離しています。さらに、2014年からは大規模地震を想定した耐震補強工事などを行っています。

群馬事業所では今後も限られた水資源を有効に利用するとともに、河川の上流に立地する工場としての責任を果たしていきます。

群馬事業所における具体的な取り組み事例は、工場における環境負荷低減:群馬事業所をご参照ください。

雨水の利用(タイ:アジア シリコーンズ モノマー社)

世界的に水資源の保護がうたわれる中、アジア シリコーンズ モノマー社(タイ)では、雨量が大変多いタイに立地していることを生かして、会社設立当初から雨水を活用しています。

敷地内の貯水槽に雨水をためて、工業用水などの原水やガス焼却炉の冷却水として利用しています。また、常に一定量をためておき、万が一の時の消火用水としても利用できるようにしています。さらに、当社グループのシンエツ シリコーンズ タイランド社や隣接している関係企業にも、この雨水を利用した工業用水などを供給しています。

写真:アジア シリコーンズ モノマー社(タイ)社員
写真:雨水貯水施設

指標と目標

2023年度

目標
取水量を原単位で平均年率1%削減する。
水質汚濁物質の排出量を、原単位で平均年率1%削減する。
実績
2020年度から2023年度までの年平均率は原単位で取⽔量17.7%削減、BOD排出量は1.6%増加。
評価
取水量は目標達成、BODは未達成。

2024年度

目標
取水量を原単位で平均年率1%削減する。
水質汚濁物質の排出量を、原単位で平均年率1%削減する。

2023年度は、CODを輩出する国内拠点の排水の削減や、廃水処理能力の増強を行った結果、COD排出量が削減しました。

取水量の推移

グラフ:(百万m3)工業用水34.9、河川水98.5、井戸水22.4、市水7.0、その他1.2。

循環水量の推移

グラフ:2023年度 リサイクル率93.5%、循環水量2,372百万m3

BOD排出量の推移

グラフ:2023年度 排出量737トン

COD排出量の推移

グラフ:2023年度 2,790トン

関連データ

項目 内訳 対象範囲 単位 2021年度 2022年度 2023年度
水資源保全 水使用量 連結 百万m3 2,606 2,618 2,536
取水量 連結 百万m3 187 193 164
循環水量 連結 百万m3 2,420 2,425 2,372
循環水率 連結 92.8 92.6 93.5
排水量 連結 百万m3 174 183 161
BOD排出量 連結 t 747 699 737
COD排出量 連結 t 4,941 3,259 2,790

水使用量
取水量と循環水量の合計です。