ニュース
会長・社長人事について
信越化学工業株式会社(代表取締役社長 金川 千尋)は本日(5月20日)開催の取締役会にて、下記の通り代表取締役の異動につきまして内定しましたのでお知らせします。なお、来る6月29日開催予定の定時株主総会終了後に開催されます取締役会において、正式に就任する予定です。
代表取締役会長 金川 千尋 (現 代表取締役社長)
代表取締役社長 森 俊三 (現 代表取締役副社長)
1. 新体制が目ざすもの
金川社長が進めてきた経営をさらに強化し、当社の持続的な発展を目指します。
当社グループは、主要事業の基盤を固めながら収益を伸ばし、同時に新しい事業の育成にも注力してきています。塩ビ事業では、アメリカのシンテック社を中核として事業を展開し、半導体シリコン事業では、大きく変動する市況の先行きを見据えながら大型の投資を実施して事業を拡大してきました。また、シリコーン樹脂、合成石英、希土類磁石、セルロース誘導体、フォトレジストなどの特色のある製品をもつ強みを生かしながら会社の成長に取組んでいます。今後は台頭著しい中国をはじめとした成長市場での販売を増やすこと、加えて地球環境への貢献を重要な経営課題と位置づけています。
このように、当社が取り組むべき経営の課題は多様化し、今まで以上に世界各地で事業が拡大することが必要になります。当社は、これらの取り組みをさらに推し進め、企業価値の持続的な向上に取り組んでまいります。
2. 金川社長の経営と実績 (略歴書は添付のとおりです)
金川社長は1990年に代表取締役社長に就任。尊敬する山本五十六連合艦隊司令長官の「常在戦場」の言葉のとおり、刻々と変化する市況を注視しながら経営を積み重ねるとともに、中・長期的な会社の発展を見据えた大型の設備投資、研究開発、さらには会社の合理的な運営に取り組み、信越化学に大きな変革をもたらしました。
金川社長は米国のシンテック社(信越化学工業株式会社の100%子会社)を自ら設立し、その経営では、自ら販売の指揮を取るとともに、12回の大型の増設をすべて成功させ、拡大する米国と世界の塩ビの需要を着実に取り込み、同社を世界一の塩ビメーカーに育てあげました。金川社長はこのシンテック社で実践している理想的で合理的な経営のノウハウをグループ内の他の事業にも導入され、信越化学グループの発展のために革命的な貢献をしてまいりました。
当社のもう一つの主力事業である半導体シリコンウエハー事業でも、金川社長は大変革を行いました。300mmウエハーの需要の急速な伸びを捉えて設備投資を行い、お客様との信頼関係を築きながら販売を推し進めました。また、デバイス業界が活況を呈していた2006年、将来を見据え、ウエハーの減価償却を従来の5年から3年に短縮しました。これらの経営施策の結果、2008年10月以降の世界金融危機の後、急速に需要が落ち込む中でも、当社のウエハー事業は底堅く利益を上げることができました。
2000年、光ファイバーの急速な伸びを確信した金川社長は光ファイバープリフォームの新工場の建設を決断。同時に、当社が直接販売するよう改革した結果、顧客からの活きた情報が迅速かつ正確に入るようになり、市況の急落時にも適切な経営判断を行うことができました。これらの施策により、プリフォーム事業は3年半という短期間で、投資額の2倍の利益を会社にもたらしました。
また、事業拡大の方策としてM&Aも案件を厳選して実施。買収した後の経営を見据えた買収交渉と買収事業の経営改革の結果、いずれの事業も連結決算に貢献しています。
工場の理想的な操業と合理化を追求する部門横断的な「G委員会」を社長就任直後に立ち上げ、不況の中でも闘えるコスト競争力の実現に注力しました。また、中長期的な会社の発展をめざした新規事業の立ち上げを目指した「Z委員会」も同時期に設立し、エキシマ用のフォトレジストなどの新製品を生みだしました。
これらの経営の執行の積み重ねにより、当社は連結決算で15年連続の増益、13年連続の最高益を達成することができました。社長就任前の1990年3月期と2008年3月期の数字を比較しますと、売上高は3倍、経常利益は6倍、当期純利益は7倍、配当金は一株当たり7円25銭から100円と実に14倍に増加しました。また、時価総額は、2007年7月13日には4兆1,400億円に達し、社長就任直前1990年3月末の時価総額4,784億円から約9倍にまで拡大しました。
事業の拡大とともに、財務の安定性も実現しました。20年前はグループ会社で借入金が1,857億円ありましたが、現在は実質無借金。自己資本比率は80%と高い水準を維持しています。さらには、格付け機関ムーディーズからは、Aa3という世界の全化学メーカーの中で最高の格付け評価を得ています。また、日本経済新聞によります「経営者による今年の推奨銘柄」では2009年、2010年と2年連続して第1位に選ばれました。
3. 森 俊三(新)社長 (略歴書は添付のとおりです)
新社長に就任予定の森俊三副社長は1963年に当社に入社。若い頃からパキスタンやニカラグアなど過酷な環境の中での工場建設に従事したあと、当社の塩ビ事業の中核であるシンテック社に駐在しました。国内ではシリコーン事業の主力工場である群馬事業所、半導体の白河工場の建設や工務部門の責任者を歴任し、1992年には電子材料製品の製造拠点である武生工場の工場長に就任しました。
1996年からは電子材料事業部の事業部長として、営業、製造、原料の調達そして研究開発などに取り組んでいます。事業部長就任直後に発生したアジア通貨危機に端を発した急激な円高により、日本でつくる製品の国際競争力が急速に失われるという難しい局面で、速やかに生産拠点をマレーシア、インドネシア、フィリピンに移すなどの施策を進め、危機を乗り越えながら電子材料事業を発展させてきました。希土類磁石では自動車用などの新しい用途を開拓し、有機材料では、今後大きな伸びが期待されるLED向け製品の開発にも取組んでいます。
また、発展が続いている中国へもプラント建設や原料の調達のため何度も訪問するなど、海外での業務経験も積み重ねてきました。2001年からは総務、2002年からは人事担当も兼務するなど、管理部門から金川社長の経営を支え、当社の発展に取り組んできました。
信越化学工業株式会社 金川千尋 新会長の略歴
氏 名: 金川 千尋 (かながわ ちひろ)
生年月日: 1926(大正15)年3月15日生まれ
学 歴: 東京大学法学部政治学科卒業
職 歴: 1962(昭和37)年 2月 当社入社
1970(昭和45)年 12月 海外事業本部長
1975(昭和50)年 1月 取締役
1976(昭和51)年 8月 常務取締役
1978(昭和53)年 3月 シンテック INC.取締役社長(現任)
1979(昭和54)年 1月 専務取締役
1983(昭和58)年 8月 代表取締役副社長
1990(平成 2)年 8月 代表取締役社長(現任)
2010(平成22)年 6月 代表取締役会長(予定)
信越化学工業株式会社 森 俊三 新社長の略歴
氏 名: 森 俊三 (もり しゅんぞう)
生年月日: 1937(昭和12)年6月27日生まれ
学 歴: 新潟大学工学部機械工学科卒業
職 歴: 1963(昭和38)年 9月 当社入社
1985(昭和60)年 5月 信越エンジニアリング(株)取締役
1988(昭和63)年 5月 同常務取締役
1992(平成 4)年 1月 武生工場長
1992(平成 4)年 6月 取締役
1996(平成 8)年 6月 常務取締役
電子材料事業本部長(現任)
1998(平成10)年 6月 専務取締役
2001(平成13)年 11月 総務関係担当(現任)
2002(平成14)年 6月 人事関係担当(現任)
2007(平成19)年 7月 代表取締役専務
2009(平成21)年 6月 代表取締役副社長(現任)
2010(平成22)年 6月 代表取締役社長(予定)
以 上