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シンテック社 能力を増設 ~12.5億ドルを投資、塩ビ事業を更に強化~


2021.01.27

 信越化学工業株式会社は米国子会社であるシンテック社(会長、創業者:金川千尋)の生産能力をさらに増強することを決定した。

 シンテック社は2018年7月にルイジアナ州プラケマインで更地での新工場建設を開始。当該工場は今年半ばに完工する予定。この投資を基盤として今回の投資を行う。

 増加する生産能力は塩ビモノマー(VCM)580千トン/年、塩ビ樹脂(PVC)380千トン/年、か性ソーダ390千トン/年。完成時のシンテック社の総能力(公称)は、PVC 3,620千トン/年、VCM 2,950千トン/年、か性ソーダ1,950千トン/年。投資金額は12.5億ドルを見込む。2023年末の完工を予定し、当増強分の稼働はPVCとか性ソーダの国際的な需給を踏まえ柔軟に実施する。

 世界のPVCの需要は、今年の見込みを含む直近10年間で、年平均1,000千トン/年強(中国市場を除いても、年平均200千トン/年強)増えてきた。PVCは、温室効果ガス低減と社会・生活インフラの拡充とを両立するに大いに資する素材として、さらなる需要の増加が見込まれる(注1)。有利な原料事情と規模の経済を活用し、きめ細やかな対応で培った世界の顧客との取引関係をさらに拡充していく。

 環境規制の厳しい米国において、最新の技術で環境適合するとともに、シンテック社は州政府及び地元自治体と良好な関係を築き、地元の強い支持と理解を得ている。そのこともシンテック社がまれに見るPVCとか性ソーダの供給基地になったゆえんとなっている。

以 上

 

(注1)

温室効果ガス低減と社会・生活インフラの拡充とを両立するに大いに資する素材(米国The Vinyl Institute,塩ビ工業・環境協会の資料より)

 

1. 塩ビ(PVC)の特徴
 1) 製品の寿命が長い(耐候性、難燃性、電気絶縁性等)
 2) 幅広い用途(各種建築材料、電線被覆材、シート他)
 3) 環境への貢献(詳細は次項)

2. 環境への貢献
 1) 原料の約6割が地球に豊富にある塩
   化石燃料(石油、天然ガス)への依存度が低く、限りある資源の有効利用に貢献。
 2) 断熱性
   断熱性に優れたPVCの樹脂窓は省エネルギーに効果を発揮し、温室効果ガス排出の抑制に貢献。
 3) 耐候性
   耐候性に優れるため、錆や腐食防止のため補修コストが安価。
   米国ではPVCの用途の4分の3は製品寿命が長いインフラと建築用途。
   国交省のデータによれば、塩ビ管の期待耐用年数40年。
 4) 強くて軽量
   PVCの建築材料は他素材の建築材料に比べ重量が軽いため、輸送及び敷設時に消費する燃料の削減に貢献。
 5) リサイクル
   日本ではPVCのマテリアルリサイクル比率は約33%と他のプラスチックに比べて高い。
   業界では新たに樹脂窓等のマテリアルリサイクルにも取り組んでいる。

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