働き方の未来を変える挑戦の始まり
深夜にシステムから届いた1通のメール。そこには、翌朝までに、添付されたファイルへのタスク完了が要求されている。しかし次の日、出社すると作業はすでに完了され、普段と変わらず業務が始まる――。
PC上で日常的に行う業務を、このように人間に代わって自動実行する技術がRPA(Robotic Process Automation)だ。信越化学では現在、20以上の部署で120を超える定型業務が自動化されている。
信越化学のRPAへの取り組みのきっかけは2017年頃に遡る。働き方改革が推進されRPAが広まり始めた当時、業務効率化の手段として信越化学もいち早く着目し、活用を進める計画が立ち上がった。Sを含む限られたメンバーが集められ、まずはRPAの情報取集が始まった。「RPAにはプログラミング経験がなくても開発できる製品もあります。ですが今後、高度な操作をさせたり保守運用をしていくことを見据えるとIT知識は必須となるため、開発は信越スカイワードシステムズが主導で進めることになったのです」。
トライアルと比較検証を重ね、Sのチームはついに信越化学のシステムに適したRPA製品にたどり着く。次は実務への導入だ。今では信越化学グループ全体を巻き込むまでになったRPAプロジェクトが始まった瞬間だった。