働く人の安全の確保と
健康の促進

方針

「事故を絶対に起こさない」、「休業災害ゼロ」を目標に、安全で快適な職場づくりに取り組みます。

課題の認識

信越化学グループは安全を何よりも優先しています。そのために、安心して働くことが出来る職場環境を整えています。事故や災害のない操業は、働く人を守り、顧客への供給責任を果たすこと、そして、企業の永続的な発展につながります。また、近年、自然災害が多く発生しており、その対策も重要な課題として取り組んでいます。

労働安全

信越化学グループは、①「規則や手順」を確実に守ること、②「職場に潜むリスク」を見つけ出し、速やかに排除すること、③「危険に対する感性」を高めること、という安全に関する三つの行動指針に従い、労働安全活動を行っています。レスポンシブル・ケアコード*1に従って「信越化学グループ環境保安管理計画」を毎年策定し、その中で労働安全に関する具体的な数値目標を設定しています。

当社グループの国内外の工場では、負傷または疾病につながるリスクを徹底的に洗い出し、リスクを排除するリスクアセスメント活動に取り組んでいます。リスクが判明した場合は、まずはリスクの排除、あるいは低減に取り組みます。リスクが残った場合は、作業者への個人用保護用具の提供や危険エリアに立ち入ることが出来ない措置と立ち入り禁止標識の掲示、機械や装置のロックアウト*2、タグアウト*3などの安全対策を施しています。機械装置には安全装置の取り付けやフェイルセーフ*4、フールプルーフ*5、インターロック*6、防護壁などの安全対策を講じています。また、作業の前にはKY*7や指差し呼称を実践し、安全を再確認しています。

また、作業者が体験したヒヤリとした、ハッとした事例や心配事などを、「ヒヤリハット・気掛かり提案」として収集し、対策を講じています。同時に、それらの情報を社内外に公表することにより、情報の共有と、類似災害の防止を図っています。

さらに、毎年7月に実施される全国安全週間*8では、当社グループで働く従業員に向けて、社長からメッセージが伝えられるとともに、当社の安全に関する三つの行動指針を周知徹底しています。

⼯場安全⼤会(2022年7⽉ 信越化学 直江津)

⼯場安全⼤会(2022年7⽉ 信越化学 直江津)

⼯場安全⼤会(2022年7⽉ 信越化学 直江津)

  1. *1 レスポンシブル・ケアコード
    レスポンシブル・ケアを実施する際の基本的な実施事項を定めたもの。環境保全、保安防災、労働安全衛生、物流安全、化学品・製品安全、社会との対話といった活動分野ごとの6つのコードと、これらをシステムとして共通に運用していくためのマネジメントシステムコードの計7つで構成されている。
  2. *2 ロックアウト
    機械や装置のスイッチなどを施錠して操作できないようにすることで、動力源を遮断すること。
  3. *3 タグアウト
    ロックアウトを行った箇所に取り付ける札。タグが取り除かれるまで機械や装置の再稼働を禁止することを意味する。
  4. *4 フェイルセーフ
    装置やシステムにおいて、誤操作や誤動作による障害が発生した場合、常に安全な方向に動作するよう制御すること。
  5. *5 フールプルーフ
    作業者が誤った操作をしても安全を確保できるよう、あらかじめ対策を講じること。
  6. *6 インターロック
    安全装置、安全機構の考え方の一つで、ある一定の条件が整わないと他の動作ができなくなるような機構。
  7. *7 KY
    危険予知活動。作業に従事する作業者が、その作業で想定される負傷または疾病の発生を防止するため、安全な作業方法などを確認し、確実にこれを実行する活動。
  8. *8 全国安全週間
    労働災害防止活動の推進を図り、安全に対する意識と職場の安全活動のより一層の向上に取り組む週間。厚生労働省と中央労働災害防止協会が主唱。

ヒヤリハットトピックス

2023.07.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2023.01.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2022.07.29 ヒヤリハット事例を更新しました
2022.01.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2021.07.30 ヒヤリハット事例を更新しました
2021.01.29 ヒヤリハット事例を更新しました
2020.07.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2020.01.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2019.07.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2019.01.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2018.07.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2018.01.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2017.07.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2017.01.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2016.07.29 ヒヤリハット事例を更新しました
2016.02.24 ヒヤリハット事例を更新しました
2015.07.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2015.01.30 ヒヤリハット事例を更新しました
2014.07.31 ヒヤリハット事例を更新しました
2014.01.30 ヒヤリハット事例を更新しました
2013.07.30 ヒヤリハット事例を更新しました
2013.01.30 ヒヤリハット事例を更新しました
2012.07.30 ヒヤリハット事例を更新しました
2012.01.30 ヒヤリハット事例を更新しました
2011.07.25 ヒヤリハット事例を更新しました
2011.01.24 ヒヤリハット事例を更新しました
2009.07.08 ヒヤリハット事例をアップデートしました
2007.05.01 ヒヤリハット事例の公表について
       日常の作業で感じた危険に関するアンケート

保安防災

当社グループでは重大な事故の未然防止を最重要課題とし、さまざまな保安防災活動に継続して取り組んでいます。プロセスのリスクアセスメントによって判明した危険な箇所への対策の実施や、設備の計画的な補修などによって配管や設備の保全管理を行っています。2014年度からは、大地震などの重大災害や最悪のプラント事故を想定して、被害の局所化、最小限化の対策、検討も実施することにより、保安管理の強化を図っています。

当社は、特定非営利活動法人 保安力向上センターに2012年度の発足時から加入しています。各工場では、同センターの「保安力評価システム」を活用して改善に取り組み、保安防災力の一層の向上に努めています。

安全管理活動の実績(信越化学)

テーマ 2020年度 2021年度 2022年度
改善件数 7,807 5,062 5,050

事故、休業災害の報告

2022年度も重⼤事故はありませんでした。休業災害は、国内は0件、海外は57件ありました。それぞれの要因の解析を⾏い、危険な作業の排除、設備的な安全防護を基本とした対策を速やかに実施しました。また、作業マニュアルの改訂によって事故の再発防⽌に取り組むことで、労働災害を防⽌しています。

なお、労働災害の発⽣状況を、毎⽉の営業報告会議で役員および部⾨⻑に報告しています。

休業災害人数と度数率の推移(国内)※

休業災害人数と度数率の推移(国内)※

休業災害人数と度数率の推移(海外)※

休業災害人数と度数率の推移(海外)※

  • ※ 国内と海外では労働災害の定義が異なるため、グラフを分けて表示しています。

関連情報

サステナビリティデータ集

安全教育

プラントを安全に安定して運転し続けるためには、当社グループの敷地内で働く人の技能と知識の絶え間ない向上と、安全への感性を高めることが重要となります。そのために、従業員や業務委託先などに対して、取り扱い物質やプロセスの危険性を理解する教育や、危険の擬似体験、装置や安全器具の正しい使い方といった安全教育を行っています。

2022年4月に、鹿島工場ではフルハーネス型墜落制止用器具の講習を2日間にわたって開催し、50人以上が参加しました。講習では、器具の着用の仕方や耐久性などの基礎知識についての説明に加えて、参加者全員が指導を受けながらフルハーネス型墜落制止用器具を実際に着用しました。

また、製造設備の運転技術の伝承にも注力しています。さらに、作業の手順や規則を守るといった、安全を重視する文化の醸成にも努めています。

フルハーネス型墜落制止用器具の教育(2022年4月 信越化学 鹿島)

フルハーネス型墜落制止用器具の教育(2022年4月 信越化学 鹿島)

フルハーネス型墜落制止用器具の教育
(2022年4月 信越化学 鹿島)

工場で働く従業員の他に、工事関係者や納入、商談で入講する社外の方々にも安全教育を実施しています。直江津工場は2022年9月に延べ5回の安全教育を実施し、253人が受講しました。教育では、工場内の危険個所や取扱物質を説明し、工場で定められている安全規則を厳守することの重要性を理解していただきました。また、工場内で有事があったときには、特に自身の安全を確保するための行動を最優先するようお願いしています。今後も新規入講者へ定期的に教育を行い、人命第一の対応を継続していきます。

入講者安全教育(2022年9月 信越化学 直江津)

入講者安全教育
(2022年9月 信越化学 直江津)

防災訓練

大地震や火災などの異常事態を想定した防災訓練や、シナリオを作成せずに基本行動を元に行う「ブラインド型訓練」を毎年計画的に実施しています。訓練では、消火活動や負傷者の救助活動、災害対策本部への情報伝達、地域への広報活動、報道機関への対応などの訓練を実施しています。その他、寮、社宅での防災訓練も実施し、避難経路の確認、消防署への通報訓練、消火器の操作訓練を行っています。

地域から安心していただける工場となるよう今後も防災意識を高めるとともに、有事災害への迅速な対応ができるよう努めています。

新入社員消火訓練(2022年5月 信越化学 群馬)

新入社員消火訓練
(2022年5月 信越化学 群馬)

寮、社宅での防災訓練(2022年10月 信越化学 白河)

寮、社宅での防災訓練
(2022年10月 信越化学 白河)

環境保安監査

各工場の環境保全や労働安全衛生、保安防災などの活動が計画通り実施されていることを検証し確認するため、当社グループでは国内外で社内監査を実施しています。2022年度は国内29事業所、海外9事業所の延べ38事業所でオンラインによる監査を実施しました。監査の結果については、経営トップにも報告しています。

2022年は、工場の環境保安全般にかかる管理項目の1年間の活動実績に加えて、行動災害の防止、可燃性液体などの開放系での安全な取り扱いおよびプロセス災害防止の取り組みを重点項目として、実施状況を実施事例とともに監査しました。

総合環境安全監査(2022年11月 信越化学 群馬)

総合環境安全監査
(2022年11月 信越化学 群馬)

健康への配慮

定期健康診断の受診や生活習慣病に関する保健指導、メンタルヘルス対策、健康体力づくり活動を推進し疾病予防に取り組んでいます。また、新型コロナウイルスをはじめとする感染症の予防のためにあらゆる対策を実施しています。

本社および支店では衛生委員会を、各工場地区では安全衛生委員会を設置しています。委員会では産業医から情報提供と指導を受けながら、職場環境の改善や健康の促進などに取り組んでいます。また、体力測定やセミナー、体力向上のためのイベントを開催しています。さらに、健康保険組合が保険会社と提携し、従業員の家族も利用できる24時間対応のファミリー健康相談窓口を設置しています。

女性の健康講演会(2022年9⽉ 直江津電子工業) 女性の健康講演会
(2022年9⽉ 直江津電子工業)

海外グループ会社健康診断(2022年4月 シンエツマグネティクスフィリピン) 海外グループ会社健康診断
(2022年4月 シンエツマグネティクスフィリピン)

新型コロナウイルス感染症対策

当社グループでは、新型コロナウイルスから従業員とその家族を守るために、さまざまな対策を実施しています。

2021年2月に信越化学本社に社長を本部長とする新型コロナウイルス全社対策本部を設置し、刻一刻と変化する状況に対応した感染防止対策を全社に対して逐次発信しています。各地区においても新型コロナウイルス地区対策本部を設置し、全社対策本部の通達に基づいて、それぞれの地域に即した感染防止と操業継続に向けた対策を実施しています。

2023年3月に、国による本感染症対策の考え方の変更がありました。また、国内の新規感染者は減少傾向ですが、当社の対策本部では、引き続き「職場にウイルスを持ち込まない」ことを常に意識した行動を心がけるよう、社内に呼びかけています。

課題と実績

当社グループは毎年度、レスポンシブル・ケアコードに従って環境保安管理計画を作成しています。この管理計画に基づいて、グループ全体で爆発や火災などの重大災害の防止や労働災害の防止などに取り組んでいます。

働く人の安全の確保と健康の促進に関する課題、実施状況、評価、実施予定項目

社員の取り組み

シンエツPVC社(オランダ) PVC 工場長 SSさん

シンエツPVC社(オランダ)
PVC 工場長
SSさん

1.担当業務を教えてください。
2021年9月からオランダのペルニスにある塩ビ工場の工場長を務めています。工場長として工場の運営を担うとともに、現場で働く人々の健康と安全を含む当社グループのサステナビリティの重要課題への取り組みも行っています。

2.工場の労働安全管理について教えてください。従業員の健康と安全を守るためにどのようなことに取り組んでいますか?
ペルニス工場では、全従業員の安全が最優先事項です。工場の安全について、適切に定義された手順と作業プロセスを使用して、組織内のすべてのレベルで対策を講じています。当工場で働く従業員と請負業者は、工場で働き始めると、まず安全意識を高めるために安全教育を受けます。製造現場で働く従業員は、7 ~ 8 年間の教育プログラムを受けます。また、新入社員を研修するための指導員もいます。その他、作業許可手続きにより、すべての保守活動が安全に実行されることが保証されています。さらに、プラントの安全性は、HAZOP(Hazard and Operability Studies)の実行、最先端の設計基準の適用、変更管理の手順に従って設備改善を常に実行することによって確保しています。当社は、現場で働く人々の安全な作業環境を保証することに重点を置いています。

3.工場の労働衛生管理について教えてください。各職場の作業環境を適切な状態に保つために、どのように取り組んでいますか?
従業員の安全な労働環境を確保するために、いくつかの具体的な対策を講じています。例えば、このプラントには、作業環境の塩化ビニル(VC)の濃度を継続して監視する多数の分析装置が装備されています。このようにして、工場で働く人々の健康と安全を保証しています。さらに、従業員が危険な濃度のVCにさらされていないことを確認するために、専門のコンサルタントによって毎年モニタリングも行っています。また、建物内の塩ビの粉末は排気装置によって常に排出されています。従業員と請負業者の作業環境を改善するために、工場内の粉末の排出量を削減するための新しいプログラムを開始しました。

4.工場では従業員の健康管理にどのように取り組んでいますか?
人事部は、従業員の健康状態を毎月工場の管理者に報告しています。必要に応じて、経験豊富な医師によるフォローアップを行い、従業員からの質問や健康アドバイスにも対応しています。さらに、作業スタッフには呼吸用保護具の取り扱いについて、事務スタッフには人間工学に基づく職場環境改善の啓発などの特定のトレーニングを提供しています。すべての従業員に対してメンタルヘルスと社会的安全の側面を含む定期的な健康チェックを行っています。

5.労働者の安全確保と健康増進について、今後注力していきたいことは何ですか?
第一に、すでに実施されているすべての措置と手順を継続します。化学業界では、安全性能を継続的に改善するための注意を怠ってはならないと考えています。工場での安全な作業への取り組みをさらに強化するために、2023年1月に新しい安全プログラムを開始しました。経験豊富な安全コンサルタントと協力して、組織全体がこのプログラムに関与しています。このプログラムは、私たちの組織と作業プロセスにおける潜在的な改善の機会を見つけることを目的としています。人々が経験している可能性のあるボトルネックを取り除くことで、私たちは工場の安全性能をさらに向上させたいと考えています。このプログラムには、社内で働くすべての従業員と請負業者が対象となっています。安全に関する目標を達成するには、全員の協力が必要と考えています。