知的財産の尊重と保護

方針

全ての知的財産を尊重するとともに、情報資産を適切に管理します。

課題の認識

信越化学グループは、自社で開発した製品や技術などの知的財産は重要な情報資産であり厳格な管理が必要と考えています。同時に、他者の知的財産を尊重することも重要と認識しています。
知的財産、営業情報、技術情報などの当社グループが保有する情報を適切に管理し、情報漏洩やサイバー攻撃への対策も細心の注意を払いながら取り組んでいます。

知的財産管理

信越化学は、「事業を守り、事業価値を高めるための有効な特許を出願・権利化し、また他社特許を侵害しない」という方針のもと知的財産基本規程を策定し、知的財産の取得、管理、活用を行っています。この規程に基づいて、「独創性」の高い有用な知的財産を取得するとともに、取得した当社の知的財産を第三者による侵害から保護しています。同時に、第三者の全ての知的財産に関する権利を尊重することも定めています。その他の具体的な活動の一つとして、テーマに関する継続的な特許のウオッチング(SDI:selective dissemination of information)に力を入れており、知的財産管理に活用しています。
また、研究員一人一人が特許出願の明細書を作ることができるように教育し、特許を念頭に置きながら研究できるような仕組みづくりに力を入れています。
さらに、業務上有益な発明、改良、工夫、考案をした従業員を、以下のような制度で表彰しています。

実績補償表彰

特許権などの形で会社に⼤きく貢献した発明や考案を⾏った従業員を表彰する制度
2022年度 :33件(信越化学)

多数発明者表彰

多数の発明を⾏い、かつ、会社に多数の特許権を取得させた従業員を表彰する制度
2022年度:14件(信越化学)

関連情報

サステナビリティデータ集

社員の取り組み

信越ポリマー社 開発本部 知的財産部 RAさん

信越ポリマー社
開発本部 知的財産部
RAさん

1.担当業務を教えてください。
半導体ウエハーの搬送容器やキッチニスタ社を含むラッピングフィルムに関する特許などの国内外への出願、権利化を主に担当しています。部門から相談を受けた海外の模倣品への対応や、総務部から依頼される契約文案の確認業務なども担当しています。
また、在宅勤務の導入を機に文書のデジタル化を開始し、これらの管理も行っています。
その他、新入社員研修や知財経験の短い方を対象とした知財研修での説明、初級知財研修eラーニング教材の作成、特許担当者会議や特許委員会にて、最新トピックスや全社で共有すべき事案などの報告と提案を行っています。

2.どのようにして御社の知的財産を保護しているか教えてください。
開発のコンセプト設計または試作を終えた早い段階での特許出願を行うとともに、その後の事業の進展に合わせて、優先権主張出願や分割出願など多面的な出願をすることで、権利の最大化に努めています。また、他社の参入を防止する周辺技術の出願を行うことで、事業の競争優位性を確保できる知的財産を保護、活用しています。海外の模倣品対策として特許のほかに意匠による保護や、国によっては有効な実用新案権を活用することもあります。公開せずにノウハウとして秘匿すべき技術については、公開前取下げのほか、定期的に部門からノウハウリストを提出してもらい、適切に秘匿化されるように促しています。
これらの活動は各部門から選ばれた特許担当者や発明者などから提供してもらう、動向に関する最新かつ正しい情報が重要となります。事業で将来必要となる知的財産を十分に保護できるよう、部門とのコミュニケーションも重視しています。
また、タイムスタンプ*を用いた先使用権の確保にも取り組み始めました。開発者自身がタイムスタンプを付与し始めたことにより、「情報の保護」という観点で知的財産に関する意識が大きく変わったと感じています。

3.他者の知的財産権を侵害しないための取り組みを教えてください。
各部門の開発テーマおよび製品に関係する特許公報を毎月部門へ配布するとともに、部門が注目した公報の継続的な定期調査(SDI)を行っています。他者の権利範囲によっては対策が必要な場合があるため、他者公報の審査請求や権利化などの事案の発生時にアラートメールが配信されるよう設定し、必要なアクションの有無を都度確認しています。

4.知的財産の尊重と保護について、今後どのようなことに注力していくことを考えていますか?
直近では、販売店へ知的財産権の調査結果報告書を提出して販売可否を判断した事例があります。不正競争防止法を含めた知的財産の尊重に対する意識が高まっていると感じています。
法令や企業倫理、社会規範を遵守した事業活動を行うことで自社の知的財産と信越ブランドを保護するとともに、知的財産を尊重した知財活動を行いたいと考えています。

  • *タイムスタンプ
    スタンプが刻印された時点に電子データが存在していたこと、さらにそれ以降の修正や改ざんが行われていないことを証明する技術。

「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーターTM」を12年連続受賞

当社は、世界で最も革新的な企業や機関を選出する「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター」を、12年連続で受賞しました。
同賞は、世界的な情報サービス企業であるクラリベイト社(英国)が、保有する特許データを基に知的財産や特許動向を分析し、独創的な発明のアイデアを知的財産権によって保護し、事業化を成功させることによって、世界のビジネスをリードする企業や機関に授与されます。12年連続受賞は、国内では当社を含め9社であり、化学企業では当社だけです。

情報資産管理の取り組み

⽇々の業務活動や円滑なコミュニケーションのためには、情報資産の有効利⽤が⾮常に重要です。⼀⽅、情報資産の不適切な管理による情報漏えいなどが起きるリスクも増⼤しています。このため、情報を扱う当事者が情報資産の重要性を認識し、それらを適切に管理、利⽤することが求められています。また、万⼀の事態においては、他への影響や拡⼤を防⽌することで、当社グループ全体の情報セキュリティの確保に最⼤限取り組まなければなりません。
当社グループでは「情報資産管理規程」に従って情報資産の保護、活⽤、管理、運⽤を⾏っています。
さらに、「情報資産管理基準」などの関連規程で、お客さま、お取引先さまなどに関する全ての情報の取り扱い、管理、保存期間、廃棄などの詳細を定めています。また、技術流出を防ぐため、「技術流出防⽌基準」を定めています。
なお、情報資産管理に関わる教育の実施や、情報資産管理規程などの遵守状況の定期的な確認、社内監査を⾏っています。信越化学本社および各地区に設置した情報管理事務局が中心となり、情報資産の保存及び管理状況について全社の各部門を対象とした監査で確認し、情報漏えいの防止、情報の整理と有効活用をさらに進展させるべく取り組んでいます。

個人情報保護

当社は「個人情報の保護に関する法律」に基づき、個人情報を適切に保護するため、「個人情報保護ポリシー」を制定し、ホームページで公開しています。
また、個人情報の適切な取り扱いと保護の徹底のために、法令に関する教育の実施や、階層別研修で個人情報保護に関する講義を行っています。
なお、EU域内のグループ会社では、2018年5月に施行されたEUの一般データ保護規則(GDPR)*に適切に対応しています。

  • * 一般データ保護規則(GDPR)
    General Data Protection Regulation。個人情報の処理、移転について定めた法律。EU加盟国にはそれぞれデータを保護する規則があったが、2018年5月から「データ保護規則」に統一された。

サイバーセキュリティ

サイバー攻撃に備えて、24時間365日対応の侵入検知サービスにより監視を強化しています。外部業者のセキュリティ診断を受け、必要なセキュリティ対策も継続して行っています。また、外部有識者を招いてサイバーセキュリティ講演会も実施しています。2022年は8月をセキュリティ強化月間に設定し、「外国への技術流出のリスク」、「警察におけるサイバー攻撃対策」をテーマに、警察庁による講演会を開催しました。

標的型メール攻撃対策システムも導入しています。侵入を防ぐ対策に限らず、攻撃を受けた際の検知、分析の対策を強化しています。さらに、情報系ネットワークと制御系ネットワークの分離により、インシデント発生時の影響を最小化しています。また、社員のセキュリティ意識を高めるため、信越化学およびグループ会社を対象に、標的型メール攻撃訓練を毎年実施しています。最新の標的型攻撃の手法を模したメールを全員に年4回送信し、訓練終了後には全ての対象者に標的型攻撃メールの解説資料を配布し、2回以上標的型メールを開封した対象者には個別に教育を実施しています。